大規模成長投資補助金|投資額20億円以上の要件をどう満たすのか

補助対象経費の考え方と実務上の注意点

大規模成長投資補助金を検討するうえで、
多くの企業が最初につまずくのが
「投資額20億円以上」という要件です。

なお、第5次公募では、100億宣言企業については
投資額要件が15億円以上とする申請類型が設けられています。

本記事では、制度の基本的な考え方を整理するため、
特例の有無にかかわらず、
原則要件である「20億円以上」を前提に説明します。
(100億宣言企業の場合は、該当箇所を15億円以上と読み替えて考えることができます)

ここで重要なのは、
「20億円という金額そのもの」よりも、
何を、どこまで積み上げれば20億円と見なされるのか
という点です。

※本記事は2026年9月時点で公表されている制度情報を確認し、内容を更新しています。

「投資額20億円以上」とは、何を基準にした金額なのか

大規模成長投資補助金の第5次公募では、
投資額要件について、

20億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)

と整理されています。

100億宣言企業については、
同じ考え方で15億円以上が要件となっています。

この点が、投資額要件を考えるうえで重要です。

一般にイメージされる
「会社として使うお金の合計(総投資額)」と、
制度上の「投資額要件の判定対象となる金額」は、
必ずしも一致しません。

そのため、
総投資額としては20億円を超えていても、
制度上の投資額要件に算入できる経費が十分に積み上がらず、
要件未達となる可能性があります。

「補助対象経費ベース」とはどういう意味か

大規模成長投資補助金では、
制度上、補助対象として認められる経費のうち、
専門家経費と外注費を除いた金額をもとに、
20億円以上という投資額要件を判定します。

同じ総投資規模であっても、

  • 投資額要件に算入できる経費の比率が高い計画
  • 補助対象外経費や、投資額要件に算入されない経費が多い計画

では、
要件の満たしやすさが大きく変わります。

この切り分けを曖昧にしたまま進めると、
「総投資額は十分なのに、20億円要件を満たせない」
という事態が起こり得ます。

補助対象経費として整理されている主な項目

第5次公募では、補助対象経費として
主に次の項目が整理されています。

建物費

補助事業のために使用される拠点の新設・増築等に要する経費です。

工場や生産施設など、大規模な成長投資に直接必要となる建物に関する費用が対象となります。

機械装置費

補助事業のために使用される機械装置、器具、備品等に要する経費です。

生産設備、省力化設備、自動化設備など、
事業成長や生産性向上に直接関係する設備投資が中心になります。

ソフトウェア費

補助事業のために使用される専用ソフトウェアや情報システム等に要する経費です。

設備投資と一体となって導入するシステムや、
事業拡大・省力化に必要となるソフトウェアなどが想定されます。

外注費

補助事業遂行のために必要となる外注費も、
補助対象経費として整理されています。

ただし、20億円以上という投資額要件の判定には算入されません。

専門家経費

補助事業遂行のために必要な専門家への支払いも、
補助対象経費として整理されています。

こちらも外注費と同様に、
投資額20億円以上の判定には算入されません。

重要なのは、
「補助対象経費に入るか」と
「20億円の投資額要件に算入できるか」は
同じではないという点です。

総投資額・補助対象経費・投資額要件の違い

ここまでを踏まえると、
大型投資を検討する際には、金額を3つに分けて考えると整理しやすくなります。

総投資額

会社として実際に支出する投資金額の合計です。

補助対象外となる経費も含まれます。

補助対象経費

制度上、補助金の対象として認められる経費です。

建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費などが含まれます。

投資額要件の判定対象

第5次公募では、
補助対象経費のうち専門家経費・外注費を除いた金額について、
20億円以上であることが求められます。

100億宣言企業の場合は15億円以上です。

したがって、

総投資額が20億円を超えている=要件を満たす

とは限りません。

この違いを早い段階で把握しておくことが重要です。

自己資金・資金調達はどのように見られるか

補助金は投資額の全額を賄うものではなく、
第5次公募の補助率は1/3以下、補助上限額は50億円とされています。

そのため、
投資規模が大きくなるほど、
自己資金や資金調達計画の重要性が高まります。

審査においても、
大規模投資の実現可能性は重要な評価項目の一つです。第5次公募の概要では、審査項目として「実現可能性」も明示されています。

そのため、

  • 補助金が入るまでの資金繰りが成立しているか
  • 大型投資を完遂できる財務体力があるか
  • 資金調達の見通しが事業計画と整合しているか

といった点も、投資計画とあわせて整理しておく必要があります。

金融機関との関係はどのように関わるのか

大規模な投資計画では、
金融機関が関与するケースも少なくありません。

特に借入によって投資資金を調達する場合には、
補助金の申請とは別に、
金融機関側から見ても実現可能な投資計画になっている必要があります。

そのため、
融資を予定している場合は、
制度の公募が始まってから資金調達を考えるのではなく、
早い段階から金融機関と相談しながら計画を整理していくこと
が重要です。

投資額要件を満たしやすいケース・満たしにくいケース

実務上、投資額要件の満たしやすさには
次のような傾向があります。

投資額要件を満たしやすいケース

  • 建物、機械装置、システム導入などが一体となった大型投資
  • 投資額要件に算入できる経費の比率が高い計画
  • 投資内容と事業拡大・生産性向上との関係が明確なケース

投資額要件を満たしにくいケース

  • 補助対象外となる経費の割合が大きい投資
  • 外注費・専門家経費の割合が大きく、投資額要件に算入できる金額が不足するケース
  • 事業構造の変化や成長との関係が見えにくい投資

重要なのは、
単に「20億円を使う計画をつくる」ことではありません。

何に投資し、そのうちどこまでが投資額要件に算入され、
その投資によって企業がどのように成長するのか

まで整理することが重要です。

まとめ:投資額20億円は「総投資額」だけでは判断できない

投資額20億円以上という要件を考える際に重要なのは、
総投資額の大きさだけではありません。

第5次公募では、
専門家経費・外注費を除く補助対象経費で20億円以上
という考え方になっています。

100億宣言企業では15億円以上です。

そのため、

  • 総投資額と補助対象経費を切り分ける
  • さらに、投資額要件に算入されない外注費・専門家経費を分ける
  • 建物・機械装置・ソフトウェア等で必要な投資額を積み上げる
  • 資金計画や事業成長との整合性まで確認する

という整理が必要になります。

この整理ができていれば、
投資額要件は
「20億円という不透明な金額の壁」ではなく、
具体的に検討できる条件として捉えることができます。