大規模成長投資補助金|投資額20億円以上の要件をどう満たすのか

補助対象経費の考え方と実務上の注意点

大規模成長投資補助金を検討するうえで、
多くの企業が最初につまずくのが
「投資額20億円以上」という要件です。

なお、100億宣言企業については、
投資額要件が15億円以上とする特例が設けられています。

本記事では、制度の基本的な考え方を整理するため、
特例の有無にかかわらず、
原則要件である「20億円以上」を前提に説明します。
(100億宣言企業の場合は、該当箇所を読み替えて考えることができます)

ここで重要なのは、
「20億円という金額そのもの」よりも、
何を、どこまで積み上げれば20億円と見なされるのか
という点です。


「投資額20億円以上」とは、何を基準にした金額なのか

大規模成長投資補助金における投資額要件は、
補助対象経費ベースで20億円以上
と整理されています。

この「補助対象経費ベース」という考え方が、
投資額要件を分かりにくくしている最大のポイントです。

一般にイメージされる
「会社として使うお金の合計(総投資額)」
と、
制度上の「投資額(補助対象経費)」
は、必ずしも一致しません。

そのため、
総投資額としては大きな投資であっても、
補助対象経費が十分に積み上がらず、
要件未達となる可能性があります。


補助対象経費ベースとはどういう意味か

補助対象経費ベースとは、
制度上、補助の対象として認められる経費だけを積み上げて、
投資額要件を判定するという考え方です。

同じ投資規模であっても、

  • 補助対象として認められる経費の比率が高い計画
  • 補助対象外の経費が多い計画

では、
投資額要件の満たしやすさが大きく変わります。

この切り分けを曖昧にしたまま進めると、
「総投資額は十分なのに、要件を満たせない」
という事態が起こり得ます。


補助対象経費として整理されている主な項目

補助対象経費として整理されている主な項目は、次のとおりです。

建物費

補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設等について、
建設、増築、改修、中古建物の取得等に要する経費
(一定の単価要件等が設定されています)

機械装置費

補助事業のために使用される機械装置、工具、器具
(測定工具・検査工具等を含む)の購入、製作、借用等に要する経費
あわせて行う改良・修繕、据付け、運搬等に要する経費が含まれる場合があります

ソフトウェア費

補助事業のために使用される専用ソフトウェアや情報システム等の
購入、構築、借用、クラウドサービス利用等に要する経費
あわせて行う改良・修繕に要する経費が含まれる場合があります

外注費

補助事業遂行のために必要な加工、設計、検査等の一部を
外注(請負・委託)する場合の経費
(全体の中で考え方や上限が設定される点に注意が必要です)

専門家経費

補助事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
(こちらも全体の中で考え方や上限が設定されます)

重要なのは、
項目名だけで機械的に判断するのではなく、
実際の投資内容が制度趣旨に合致しているか
という観点で整理される点です。


総投資額と補助対象経費の違い

ここまでを踏まえると、
投資額要件を考える際の軸は次のように整理できます。

総投資額

会社として実際に支出する投資金額の合計
(補助対象外の経費を含む)

補助対象経費

補助金の対象として認められる経費の合計
(投資額要件の判定に使われる)

投資額20億円という数字は、
総投資額の大きさではなく、
補助対象経費として20億円を満たしているか
という観点で判断されます。


自己資金・資金調達はどのように見られるか

補助金は投資額の全額を賄うものではなく、
補助率は1/3以下とされています。

そのため、
投資規模が大きくなるほど、
自己資金や資金調達計画の重要性が高まります。

審査では、単に
「資金があるかどうか」
だけでなく、

  • 補助金が入るまでの資金繰りが成立しているか
  • 補助金を前提にしなくても、投資判断として妥当か
  • 資金調達の見通しが、事業計画と整合しているか

といった点が見られます。


金融機関との関係はどのように関わるのか

大規模な投資計画では、
金融機関が関与するケースも少なくありません。

申請にあたっては、

  • 金融機関による確認書の提出を求められる場合がある
  • 二次審査において、金融機関担当者の同席を求められることがある

といった対応が必要になるケースがあります。

そのため、
融資を予定している場合はもちろん、
自己資金中心で投資を行う場合であっても、
早い段階から金融機関と相談しながら計画を整理していくこと
が一般的です。


投資額要件を満たしやすいケース・満たしにくいケース

実務上、投資額要件の満たしやすさには
次のような傾向があります。

投資額要件を満たしやすいケース

  • 建物、機械装置、システム導入などが一体となった投資
  • 補助対象経費に該当する項目の比率が高い計画
  • 投資内容と事業拡大の関係が明確なケース

投資額要件を満たしにくいケース

  • 補助対象外となる経費の割合が大きい投資
  • 汎用的な設備や端末が中心の投資
  • 事業構造の変化が見えにくい投資

重要なのは、
「いくら使うか」ではなく、
「何に使い、それがどのように成長につながるか」
が整理されているかどうかです。


まとめ:投資額20億円は「金額の壁」ではない

投資額20億円以上という要件は、
金額そのものよりも、
補助対象経費としての積み上げ方が核心になります。

  • 補助対象経費と対象外経費を切り分ける
  • 総投資額ではなく、補助対象経費ベースで考える
  • 資金計画や金融機関との関係も含めて整合させる

この整理ができていれば、
投資額要件は
「不透明なハードル」ではなく、
検討可能な論点として扱うことができます。

次の記事では、
補助対象経費に含まれやすいもの・含まれにくいものを、
もう一段具体的に整理します。