日本に会社っていくつあるの?業種別企業数とその増減、開業数と倒産数、黒字と赤字の傾向を調べてみた

 

日本の企業等の数は386万。うち法人が188万

日本に「会社」はいくつあると思いますか?
質問されてすぐに答えるのは難しいですよね。

私は、日本の人口が1億2600万人なので、その2~3%と考えて200~300万社くらいかなと予想しました。

実際のデータを探したところ、2018年発表の
「経済センサス- 活動調査(確報)」にみつけることができました。

この調査によれば、2016年の企業等の数は386万とのことです!

より細かく見ていくと、会社以外も含めて「法人」に該当するものが188万、「個人経営(個人事業主)」が198万と、およそ半々となっています。


2012年の調査と比べると、6.6%の減少との事で、この間の日本の会社数は減少傾向にあるようです。

さらに、事業所の数は、557万8975事業所(同3.3%減少)との事で、こちらも減っています。

なお、中小企業に絞ると、中小企業白書で1999年から2014年の15年間の企業数の推移を見ることができました。

なんと、484万社から381万社まで、なんと21%も減少しています。
これは、開業を廃業が上回っているためです。


出典:中小企業白書

さらに今後、団塊の世代が2025年に75歳に達することに伴い、その世代の経営者が一斉に引退することで、企業数が10年間で80万社一気に減少するという推計もあります。

出典:M&Aセンター

業種別に多いのは卸売・小売業、宿泊業・飲食サービス業、建設業の順

次に、業種別の企業数を調べてみました。

1位はどんな業種だと思いますか?

答えは、卸売・小売業です。
それ以降、下記の通り、宿泊・飲食サービスや、建設業が続きます。

1位:卸売業・小売業      ・・・ 84万(22%)

2位:宿泊業・飲食サービス業  ・・・ 51万(13%)

3位:建設業          ・・・ 43万(11%)

4位:製造業          ・・・ 38万(10%)

5位:生活関連サービス・娯楽業 ・・・ 37万(10%)


この上位5業種の合計で、企業数全体の66%(=2/3)と、限られた業種でなかなか高いシェアを占めていることがわかりました。

また、さらに細かい業種別に、12年・16年の企業数とその増減率は下記のように
なっています。
医療・福祉、農林漁業、電気・ガス・熱供給・水道業を除いた、大半の業種で、企業数が減っていることがわかります。

出典:経済センサス – 活動調査

医療・福祉は、高齢化社会の中で増えてきていると考えられます。
電気等のインフラ事業においては、電力自由化の影響で事業者数が増えたといった理由が考えられます。
しかしながら、これらの業種の企業の増加数を合計しても2万社程度であり、全体で減少している企業27万社と比べてごく一部です。

特に、卸売業・小売業では9万社、製造業では5万社と、大きく企業数を減らしています。

私はこのデータを見て、市場自体は拡大している情報通信業においても、他の業種と比較するとゆっくりですが企業数が減少している点に驚きました。

都道府県別の企業数は?

都道府県別の企業数ランキングは、以下の通りです。

1位:東京都  ・・・ 42万社

2位:大阪府  ・・・ 27万社

3位:愛知県  ・・・ 21万社

4位:神奈川県 ・・・ 19万社

5位:埼玉県  ・・・ 16万社

 

都道府県別の人口は、東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉の順で多くなっています。神奈川や埼玉に住みながら、東京の会社に勤務している、東京に会社を設立している方が多いということですね。

逆に、企業数が少ないのは、鳥取県1.6万社、島根県2.2万社、佐賀県2.4万社の順でした。


出典:中小企業庁

起業・開業する会社数は年間13万社

2018年の新設法人数は13万社でした。
リーマンショック後の2010年からは新設法人数は増えていましたが、9年ぶりに前年割れをしています。

2019年の数字、さらには、リーマンショック以来、約10年ぶりに大きな経済インパクトを与えている新型コロナ感染症の発生している2020年の数字に注目していきましょう。

出典:東京商工リサーチ

新設法人数を産業別に見ていくと、下記の順位です。
既存の法人数で言えば卸・小売業が1位でしたが、新設法人数はサービス業が1位となっていますね。

1位:サービス業他 ・・・ 5.3万件

2位:不動産業   ・・・ 1.6万件

3位:建設業    ・・・ 1.4万件

4位:情報通信業  ・・・ 1.1万件

5位:小売業    ・・・ 1.0万件
 

出典:東京商工リサーチ

また業種別の新設法人数について、前年比の増加率を見ると、運輸業、金融・保険業、情報通信業の順に大きいことがわかります。
運輸業に関しては、楽天やAmazon等のインターネットショッピング(EC)の増加等により、小口配送が増加していると言えそうです。

なお法人格別では、株式会社が8.8万社(構成比68%)、合同会社は2.9万社社(同23%)です。
合同会社は、2006年の会社法が新たに設けた会社形態です。
制度ができてから10年強が経過し、設立や会社運営に関わる費用が安く、経営の自由度が高い合同会社は、増加の傾向にあります。

倒産する企業数は年間1万社程度

2019年の負債総額1,000万円以上の倒産件数は、8,383件です。2014年から6年連続1万件を下回ってきました。

しかしながら、2020年に入り新型コロナ感染症の被害が拡大しており、今年は7年ぶりに1万件を超えるという予想もされています。

出典:東京商工リサーチ

倒産企業数を産業別に見てみると、宿泊業・飲食業が含まれるサービス業他が約2,600件と最も多くなっています。
2019年10月の消費税増税の影響に加え、新型コロナの影響も強く受ける産業ですから、さらに注目していく必要がありそうです。

出典:東京商工リサーチ

10年間生存できる企業はたった10%?

「企業の10年間の生存率はたった10%」という割合を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?

ベンチャー企業の場合は、「創業から5年後は15.0%、10年後は6.3%。20年後は0.3%」という情報もあります。

※出典:日経ビジネス

一方で、私としては10年間の生存率がそこまで低いという感覚はないですし、実際に、知人の会社もそこまで多く廃業した話を聞きません。

そこで生存率については、私も調べてみましたが、情報が古かったり、出典が不明だったりして、確証を持てる数字がすぐには見つかりませんでした。

最も新しく、また信頼できるのは、以下のグラフにあるデータでした。

このグラフによると5年間生存できる企業は日本では82%と比較的高くなっています。

ただし、この数字は、

  • 帝国データバンクのデータをもとにしているため、比較的大きな規模の会社について集計されている
  • データの反映までに時間がかかるため、生存率が高く集計されている可能性がある

という点で注意が必要です。

また、このグラフからは、日本は欧米諸国に比べると生存率は高いとも考えられます。

出典:中小企業白書

100年以上続く老舗企業は、3.3万社

2019年に業歴100年となる老舗企業は3.3万件、全体の2.3%となります。

業種別に見ると、製造業、小売業、卸売業の順に多いことが分かります。

さらに、細分類で見ると、貸事務所、清酒製造、旅館・ホテルの順に多いことがわかります。

出典:帝国データバンク

そして1000年以上は7社!

驚くべきことに、業歴1000年を超える企業も7社ありました。

最も老舗の金剛組は、聖徳太子が大阪四天王寺を建立するため、百済から招いた宮大工の3人うちの一人である金剛重光が、飛鳥時代の578年に創業した会社と言われています。現存する世界最古の企業です。(業歴1439年!)

出典:東京商工リサーチ

日本の企業の99.7%が中小企業

日本には、中小企業が多いと言われますが、実際にはどうなのでしょうか。

企業規模別に企業数を見ると、大企業は約1.1万社で構成比0.3%、中小企業は約358万社で構成比99.7%でした。
本当に中小企業が多いですね!

中小企業をさらに細かく見ると、中規模企業が53万社で構成比15%、小規模事業者が約305万社で85%とのことで、大部分が小規模事業者であることもわかります。

出典:中小企業白書

まさに「日本経済は中小企業に支えられている」ことがよくわかります。

一方で、従業員数で見ると、中小企業の従業員は全体の約70%付加価値額で見ると、中小企業は全体の約53%となります。
つまり大企業のほうが中小企業に比べて生産性(従業員1人あたりの付加価値額)が高いことが分かります。

このような背景もあり、「 日本の生産性が低い最大の原因は中小企業だ」と言われることもあります。

企業の規模が大きくなれば、自動化のためのロボットや機械等の設備投資が可能になる、人数が多いことでノウハウが蓄積されオペレーション効率があがる等、生産性が上がることが容易に想像できます。

なお、中小企業の定義は以下になります。

出典:中小企業庁

上場企業は4000社以上

上場企業の数は、4,000以上あります。内訳は以下の通りです。

日本取引所(東証等) ・・・ 3,713社

名古屋証券取引所   ・・・ 292社

福岡証券取引所    ・・・ 110社

札幌証券取引所    ・・・ 58社

※2020年5月1日時点

ただし、一部の会社は複数の取引所に重複上場しています。

なお、最も大きな取引所である東京証券取引所への新規上場(IPO)件数の推移は以下のとおりです。
上場企業数は毎年、概ね100件弱を推移しています。

 

  新規上場企業数
2015年 95
2016年 84
2017年 93
2018年 97
2019年 90

一方で、2019年の上場廃止となったのは企業はミサワホーム、大京、昭和シェル等42社です。そのうち、倒産による上場廃止は、民事再生法を申請したシベール1社です。

売上別の会社数は?

売上別に企業数を見ていきましょう。

300万円~1,000万円が最も多く84万社(構成比23%)、次いで1,000万円~3,000万円未満が74万社(構成比21%)となっています。

1億円以上は69万社(構成比19%)となっています。つまり、1億円未満の企業が全体の81%を占めることになります。
まさに、零細企業とも呼ばれる企業が大半であり、また日本経済を支えているといえます。
一方で、この売上規模の会社では、組織の層が薄くなりがちであり、付加価値や生産性を高めるのが難しい状況も、想像がつきます。

出典:経済センサス – 活動調査をもとに作成

 

業種別に見ると、教育・学習支援業、生活関連サービス業・娯楽業は40%超が300万円未満、サービス業も38%が300万円未満と小規模な企業が多い傾向にあります。

一方で、電気・ガス・熱供給・水道業は1億円以上が68%、鉱業・採石業・砂利採取業52%、運輸・郵便業は48%と比較的大規模な企業が多いことが分かります。

出典:経済センサス – 活動調査

資本金別の会社数は?

資本金別の会社数は、以下の通りです。

・1000万円未満    ・・・ 88万社(構成比56%)

・1000~3000万円未満 ・・・ 55万社(構成比34%)

・3000万~1億円未満  ・・・ 11万社(構成比7.3%)

・1億円以上      ・・・ 2.8万社(構成比1.8%)

2006年の会社法施行に伴い、それ以前に1000万円以上の資本金が必要だった株式会社が、資本金1円から設立可能になりました。
それ以前にも有限会社は300万円以上で設立できたこと、株式会社の資本金必要金額が下がったことから、1000万円未満の少額の資本金の会社が半数以上を占めています。

出典:経済センサス – 活動調査

赤字会社は全体の63%で169万社

黒字と赤字の会社はどの程度あるのかを見ていきましょう。

・利益計上法人 = 黒字会社 ・・・ 101万社(構成比37%)

・欠損法人 = 赤字会社 ・・・ 169万社(構成比63%)

出典:国税庁

なお、過去推移で見ると、リーマン・ショック後の2009年(平成21年)以降、赤字会社の企業数、割合ともに下がっています。

ただし、2020年は、新型コロナ感染症の影響で、欠損法人の比率が大幅に増えると予想できます。数字に注目していきましょう。

出典:国税庁

まとめ

日本の企業等は、約400万あります。
しかし、開業を廃業数が上回っており、企業数は減少傾向です。
さらに今後、団塊の世代の経営者の引退により急速に企業数が減少する可能性が指摘されています。

また、日本の企業は中小企業が大半で、赤字会社が半数以上を占めています。
日本の生産性は欧米諸国に比べて低いという指摘がありますが、中小企業で特に赤字企業が多い傾向にあります。

今後はさらに、新型コロナ感染症による経済の停滞が見込まれます。
そのような中でも、開業や高齢経営者からの事業承継等が少しでも円滑に進み、意欲的に事業拡大を図る企業の数が増加し、日本経済が早期に上向くことを願っています。