新型コロナウイルス感染症の影響により、営業自粛の要請などを受けて売上が激減した中小企業も多いかと思います。
政府から自粛の要請ということもあり、営業活動をしたくても思うようにできない状況の中で、家賃だけ払い続けるのは非常に苦しい状況です。
そこでこの度、売上減で家賃の支払が厳しくなっている方のために、「家賃支援給付金」という制度が用意されました。
この給付金は法人で最大600万円、個人事業主で最大300万円の一括受給が可能です。
給付対象になるケースや受給できる給付金の計算方法、申請方法について紹介します。
新型コロナの影響で支給される家賃支援給付金とは
家賃支払給付金とは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により前年同月比50%以上の売上減などとなり、家賃の支払が苦しくなった中堅・中小企業、個人事業主向けに給付される制度です。
制度内容について紹介していきます。
参考:中小企業庁
賃貸借契約の場合に給付される
今回の家賃支援給付金は、賃貸借契約(土地・建物)を結んでいる場合に支給されるもので、土地や家賃を購入する売買契約の場合は対象になりません。
対象になる費用は賃料・管理費・共益費で、光熱費や保険料は対象でない点に注意です。
また、賃貸借契約として以下の条件にすべてあてはまる必要があります。
- 2020 年 3 月 31 日の時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日時点で、有効な賃貸借契約があること。
- 申請日より直前 3 か月間の賃料の支払いの実績があること。
法人に対しては最大600万円の給付金
家賃支援給付金の特徴として、給付金を一括で受け取ることができます。
複数の土地・建物を借りているケースでは、すべての賃料を合計した総額を基礎として計算します。
法人の場合
法人の場合、支払家賃が月額75万円以下であれば支払家賃の2/3が支給対象となります。
月額75万円以上の場合には50万円+[支払家賃の75万円の超過分×1/3]です。
※ただし月額100万円が上限。
この算出した月額の6倍が支給されることになるので、法人の場合は最大600万円が支給されます。
たとえば、家賃が60万円の場合、60万円×2/3=40万円で40万円×6の240万円の受給が可能です。
個人の場合
個人事業主・フリーランスの場合、支払家賃が月額37.5万円以下であれば支払家賃の2/3が支給となります。
月額37.5万円以上の場合には25万円+[支払家賃の37.5万円の超過分×1/3]です
※ただし月額50万円が上限。
算出した金額の6倍が支給されるため、個人事業主の場合は最大300万円が支給されます。
中堅・中小企業からフリーランスまで幅広く受給できる
家賃支援給付金を申請できるのは、2020年4月1日時点で次の(1)~(4)すべてにあてはまる法人であることが条件となります。
(1)2020年4月1日時点で、次のいずれかにあてはまる法人であること。
①資本金の額または基本金などの出資の総額が、10億円未満であること。
②資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、 (※)常時使用する従業員の数が2,000人以下であること。
※「常時使用する従業員」とは、労働基準法第20条の規定に基づく「解雇の予告を必要とする者」を指し、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員および出向者については個別に判断します。
(2)2019年12月31日以前から事業収入(以下、売上という。) (※)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
※事業収入は、確定申告書(法人税法第二条第一項三十一号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとします。
(3)2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響により以下のいずれかにあてはまること。
①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている
(4)他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。
個人事業主の場合、以下のすべてにあてはまる方が対象です。
(1)2019年12月31日以前から事業収入(以下、売上という。)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
(2)2020年5月から2020年12月までの間 で、新型コロナウイルス感染症の影響により 、以下のいずれかにあてはまること。
①いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比較して50%以上減っている
②連続する3か月の売上の合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている
(3)他人の土地・建物をご自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益(物を直接に利活用して利益・利便を得ること)をしていることの対価として、賃料の支払いをおこなっていること。
引用:中小企業庁
売上の減少が、新型コロナウイルス感染症の影響によるものではないのにも関わらず、それを偽って給付の受給をした場合、不正受給として厳しく対応される可能性があります。
新型コロナウイルス感染症以外の要因で売上が下がった場合には絶対に申請しないようにしてください。
業種などにより非対象となるケースもある
資本金や従業員数などの規定をクリアしていても非対象となるケースもあります。
- 国、法人税法別表第一に規定する公共法人
- 風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律に規定する「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」をおこなう事業者
- 政治団体
- 宗教上の組織もしくは団体
①~④に掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者
また、今回の給付金は賃貸契約を結び家賃を支払う方が対象のため、自身が所有する土地のローンを支払う場合などは対象となりません。
申請の行い方
支給対象になるかを計算する方法
売上減が認められるのは2020年5月から12月の間で次に紹介する2つの内1つに当てはまる場合です。
①売上が昨年度同月比50%以上減
たとえば昨年度5月の売上が500万円で、今年の5月の売上が200万円とします。
この場合昨年度同月比で50%以上売上が減少しているため支給対象になります。
②連続する3か月の売上の合計が、前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている
たとえば、2019年度の売上が5月800万円、6月800万円、7月800万円で、
2020年度の売上が5月500万円、6月500万円、7月500万円とします。
この場合、昨年度3か月の売上は(800万円+800万円+800万円)=2,400万円です。
2,400万円の30%は720万円なので、売上が720万円以上減っている場合、
つまり1,680万円以下になったとしたら対象となります。
2020年度の売上は(500万円+500万円+500万円)=1,500万円なので支給対象です。
申請にあたっての必要書類
法人が家賃支援給付金の申請をするために必要になる書類は以下の通りです。
- 自署の誓約書
- 2019年分の確定申告書別表一の控え
- 法人事業概況説明書の控え
- 受信通知(e-Taxで申請を行った方)
- 売上は減った月や期間が分かる売上台帳※1
- 賃貸借契約書の写し
- 直前3か月間の賃料の支払実績を証明する書類※2
- 給付金の振込先がわかる口座情報※3
※1売上データは経理ソフトから抽出したデータ、エクセルなどで作成したデータ、手書きの売上データなどを添付します。売上が減少したことが明確に分かるように記してください。
※2賃料の支払実績が分かる書類として、銀行通帳の表の写し及び支払い実績が分かる部分の写し(3 か月分)・ 銀行取引明細書(振込明細書)・ 賃貸人(かしぬし)からの領収書・ 所定の様式による賃料を支払っている旨の証明書があります。
※3通帳の表紙と通帳をひらいた1・2ページの両方を添付します。申請者と通帳の口座名義が一致している必要があります。
申請はスマホだけで完結できる!
家賃支援給付金の申請は必要書類をスキャン・スマホなどで撮影して取り込み、電子申請で行います。
添付書類の保存形式は、PDF・JPG・JPEG・PNGで、画像の容量は1ファイル10MBまでです。
アップロードできる書類は1つの書類につき1ファイルまでなので、書類が複数ページにある時には、全ページを1つのPDFファイルに出力して添付する必要があります。
電子申請では手続き用ログインIDとパスワードを登録し、マイページから各種情報を登録してください。
審査に通った場合に給付通知書が発送され、登録した口座に給付金が入金されます。
また、申請サポート会場も用意されているので、Webでの手続きに自信がない場合に活用してみてはいかがでしょうか。
申請サポート会場にはコピー機の用意がないため、必要書類は必ずプリントアウトして持ち込むようにしてください。
会場でスムーズに登録ができるように申請補助シートに必要情報を記入をしましょう。
もし、申請に対して不明な点がある場合にはコールセンターが用意されているのでこちらに連絡をしてみてください。
0120-653-930
受付時間:8:30〜19:00
8月31日まで:全日対応
9月1日以降:平日・日曜日対応(土曜日・祝日除く)
まとめ
家賃支援給付金は、本社や店舗などを賃貸借契約をして家賃や管理費などを支払っている場合に利用できる制度です。
支払っている家賃の金額によりますが、法人の場合は最大600万円、個人事業主の場合は最大300万円を一括で受給できます。
受給できるのは、2020年5月から12月の間で前年度同月に比べて1か月の売上が50%以上減少、または連続する3か月の売上の合計が前年度同期間で30%以上減少した場合です。
申請は電子申請で行うことになり、書類をスキャンまたは撮影したものをアップロードし、必要情報を入力します。
申請サポート会場も用意されているので、ご自身での申請に自信がない場合には活用してみましょう。
売上減で悩んでいる方は家賃支援給付金だけではなく「持続化給付金」の受給も可能ですので、要件に当てはまる場合には合わせて申請をしてくださいね。
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