中小企業の資金調達の実態とは?銀行以外の資金調達方法も紹介!

中小企業が成長するためには、「投資」が不可欠です。

企業で保有する現預金が潤沢であれば、そこから投資を行うこともあるでしょうが、中小企業の場合は外部から資金調達をすることがほとんどではないでしょうか?

実際に中小企業の自己資本比率は借入に依存するため低水準になりがちで、ほとんどの業種で中小企業の自己資本比率は平均3割未満というデータもあります。

参考:経済産業省「商工業実態基本調査」

この記事では、中小企業の資金調達の実態や銀行融資について、また銀行以外の資金調達方法を紹介します。

中小企業の資金調達の実態

中小企業の資金調達方法の傾向について紹介します。

成長のための課題解決に必要な資金の調達先

中小企業庁の2016年の調査によると、既に借入を行っている中小企業のうち、86%が資金調達を受ける場合に銀行などの金融機関から融資を受けると回答しています。

ただし、企業規模別に見た金融機関からの貸出の推移を見てみると、リーマンショック以降大手企業に対する貸出は増えているものの、中小企業に対する貸出に関しては大手企業ほど伸びてはいません。

つまり、銀行との付き合いのある企業と、ない企業が二極化している傾向にあると言えるでしょう。

無借金経営は一見良い面ばかりにも感じられますが、設備投資にかける割合も少ない傾向にあり、投資を行うライバル企業との競争に勝ちにくくなり得ます。

また金融機関との接点も薄くなり、緊急で資金調達が必要になったという場合の対応が遅れる場合もあるでしょう。

今回の新型コロナウイルス感染症の影響のように急に資金繰りが悪化する可能性もありますので、普段は無借金でも金融機関との定期的なコンタクトは続けるようにしたほうが良いといえます。

参考:中小企業庁調査室

メインバンクとの関係構築について

メインバンクとは、融資や決済の窓口として一番取引量が多い銀行を指します。

契約などを交わすわけではなく、金融機関と企業の相互同意により定着していきます。

メインバンクには、経営難に陥ったときに緊急で融資をお願いできるような関係にしておく必要があります。

通常では難しい融資でも担当者・担当支店が「メインバンクとして支援したい」という思いが強ければ融資が承認される可能性が高まるからです。

そのためにも定期的な情報交換やお付き合いも非常に大切です。

中小企業のメインバンクにおいては、売上規模に関係なく「地方銀行・第二地方銀行」をメインバンクにしている企業が最も多いです。

一方、売上規模が大きくなるにつれて、「都市銀行」をメインバンクにしている企業が増えますが「信用金庫・信用組合」をメインバンクにしている企業は少なくなります。

銀行に対しては融資などの支援を受けるだけではなく、地方銀行や信用金庫・信用組合に対しては地域情勢の情報収集、都市銀行や政府系銀行に対しては世界情勢の情報収集などにも期待ができます。

参考:中小企業庁

中小企業のための融資制度

ここからは中小企業が利用できる融資制度について、幅広く説明します。

政府系金融機関の日本政策金融公庫や商工中金の融資制度

日本政策公庫商工中金は政府系の金融機関です。

民間の銀行では、実績や信頼がない創業期に融資を行うことや赤字の時期に融資を行うことはハードルが高いですが、このようなケースでも融資が受け易いのが政府系金融機関の特徴です。

一般的に、創業間もない企業や中小企業は日本政策金融公庫を利用し、ある程度の規模になった中小企業が商工中金を利用します(上場企業は利用不可)。

商工中金には預金・決済機能がありますが、日本政策金融公庫には預金・決済機能がありません。

日本政策金融公庫には目的に合わせてさまざまな融資制度があり、幅広い用途で利用できる一般貸付では、最大4,800万円の融資を受けることができます。

一方、商工中金は企業の財務状況により融資限度額が異なります。

銀行・保証協会・自治体による制度融資

制度融資とは、民間の金融機関・信用保証協会・自治体が協調して融資を行うことです。

信用力が低く、担保がない中小企業に融資を行うのは、貸し倒れリスクもあり民間の金融機関としては避けたいところです。

しかし、信用保証協会の保証をつければ万が一債務不履行になった場合に代位弁済が行われ、通常は残債の8割を回収できます

また、自治体の補助による利子補給が受けられれば、中小企業にとっては保証料の負担が少なくなるなどのメリットがあります。

制度融資について詳しく知りたい方は、別記事「中小企業が利用しやすい「制度融資」とは?種類や申込方法を紹介」を参考にしてみてください。

中小企業が利用しやすい「制度融資」とは?種類や申込方法を紹介

金融機関以外からの資金調達の方法

金融機関の融資以外にもさまざまな資金調達方法があります。

返済不要の補助金・助成金の活用

国の政策目標を達成させるための事業を行う事業者に対して交付される補助金助成金は、融資とは異なり返済不要の資金調達ができます。

要件をクリアするために計画を作りこむ必要があるので申請には手間がかかります。
それでも、承認が下りればまとまった金額を受け取ることができるなどメリットは大きいです。

たとえば、設備投資を行う企業向けの「ものづくり補助金」は最大1,000万円を受け取ることができます。

融資の場合は元本の返済だけではなく金利の支払も発生するので、このような補助金が利用できると負担ゼロで資金調達ができるのです。

各種補助金や助成金の紹介をした記事がございますので、参考にしてみてください。

経営者コネクト
ものづくり補助金の2020年の傾向や申請のコツについてより詳細な解説を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください!

【ものづくり補助金まとめ】制度概要や申請方法、採択結果などわかりやすく解説【2021年度版】

経営者コネクト
また2021年春には、最大1億円が補助される「事業再構築補助金」の応募も始まる見込みです。
感染症拡大による経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態・事業・業種転換等を検討される企業様は、ぜひ次の記事もお読みください。

【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説

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最大650万円!経営資源引継ぎ補助金とは?制度の概要から利用方法まで解説!

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プロジェクトが認められることにより資金調達できるクラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金を調達する方法です。

クラウドファンディングには「購入型」「寄付型」「融資型」「株式型」「ファンド型」「ふるさと納税型」などさまざまな形態があります。

たとえば「購入型」の場合は、起案されたプロジェクトに対して支援者が支援金を支払い、起案者から商品やサービスを得ます。
支援した金額は返ってこないので、支援したことにより得られる商品やサービスの価値が高いと思われれば支援は受けやすくなるでしょう。

融資の場合は金融機関の審査を受けるので、将来性や採算が取れない事業だと資金調達のハードルが高くなります。
保守的な銀行の場合、今までにないビジネスモデルの場合は審査に通りにくい傾向にあるのです。

一方、クラウドファンディングの場合は事業の面白さや起案者の人柄などが評価されれば、資金調達ができる可能性もあり夢があります。

緊急性の高い資金調達が可能になるビジネスローン

銀行以外のノンバンクから融資を受けるビジネスローンを利用する方法も一つです。

ビジネスローンは銀行に比べると審査がゆるく、融資実行までが早いというメリットがあります。

そのため、緊急の資金調達が必要になった場合に便利です。

ただし、金利は銀行からの融資に比べると高い傾向にあります。

そのため、金利の負担が大きくてさらに経営を圧迫する可能性があるので長期の借入には向きません。

そのため、どうしても資金調達が必要な逼迫した状況以外は利用を控えた方が良いといえます。

固定資産が必要な場合はリースの検討も

固定資産が必要な場合に、自分で購入するのではなくリースとして借りる方法も考えましょう。

固定資産を購入すると、購入時に資産、融資を受けた場合は負債の計上がされ、毎月融資の返済を行います。

しかし、リースの場合はリース会社が契約者に変わり固定資産の購入をしてくれるので契約者自身の初期収支はなく、毎月リース料を支払うだけです。

リースは負債計上されないので、いざというときのための融資枠を残せたり、固定資産に対する事務の手間を減らせることがメリットになります。

ただし、通常の融資に比べるとリース料金が割高になる場合もありますし、契約終了時には固定資産をリース会社へ返却する必要がある点は覚えておきましょう。

売掛債権を売却して早期の資金調達ができるファクタリング

ファクタリングとは、商取引で発生した売掛債権をファクタリング会社に売却することにより売掛債権の期日前に資金化できる方法です。

銀行融資のABL(売掛債権担保融資)は売掛債権を担保に融資を受けますが、ファクタリングはファクタリング会社に売掛債権を譲渡してしまう点が異なります。

契約完了すると売掛債権の金額から手数料を差し引いた金額が入金されます。

ファクタリングはファクタリング会社・売掛先・契約者の3社間で契約を結ぶ3社間ファクタリングと、ファクタリング会社・契約者の2社で契約を結ぶ2社間ファクタリングがあります。

一般的には3社間ファクタリングの方が手数料が低くなりますが、売掛先の承諾を得るのが難しかったり知られたくないという場合には2社間ファクタリングを利用しましょう。

まとめ

中小企業は外部からの資金調達として銀行などの金融機関を頼る企業が圧倒的に多いことがわかりました。

ただし、以前に比べると内部留保が増えて無借金経営をする企業も増えているようです。
無借金経営は悪いことではありませんが、投資に対して保守的になる傾向にあります。
保守的な経営を行えば、当然成長スピードは落ちることを忘れないようにしましょう。

資金調達は銀行からの融資以外にもさまざまな方法があります。

  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • ビジネスローン
  • リース
  • ファクタリング

企業の状況や目的に合わせた資金調達方法を検討してみてください。

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