銀行融資の借り換えメリットは?注意点や流れについても解説!

銀行からの融資を長期間で借りている場合、融資実行当時の金利より現在の金利水準の方が低くなっていることもあります。

そのため、他の融資制度や他の銀行へ借り換えの相談をすると、今まで支払っているよりも低水準の金利で借り換えを進めてくれることもあるでしょう。

金利負担が減れば、その分のキャッシュを投資に使えたり、現金として確保しておくことができたりと経営上プラスに働く可能性が高いです。

今回の記事では、法人が銀行融資を借り換えるメリット・デメリット、検討するポイントや手続きの流れについて紹介します。

法人で銀行融資を借り換えするメリット、デメリット

借り換えのメリット

法人融資の借り換えとは、既に銀行から借りている運転資金や設備投資に対する融資を他の制度や他の銀行融資へ借り換えることです。

金利が高い時期に借りた融資を金利が安い時期に借り換えると、金利負担が少なくなるので、よく行われます。

たとえば、同じ銀行内で魅力的な融資制度がリリースされてそれに乗り換える場合も「借り換え」ですし、ある銀行の融資をすべて返済しして別の銀行の融資に乗り換えるのも「借り換え」です。

また、その時点ではメリットがなくても変動金利で借入を行っている場合に、将来的な金利上昇リスクをヘッジするために固定金利に借り換えを行う場合もあります。

金利というのはその時の金利相場にも影響されますが、企業の信用力によっても変化します。
信用力が高いと判断されれば金利は安くなり、低いと判断されれば金利は高くなるのです。

融資を最初に実行した当時よりも業績が拡大して経営が安定し、財務状況が良くなっていると評価されれば金利も優遇される可能性が高いです。
そのため、信用力が上がっていると感じた時に借り換えを打診してみるのも良いかもしれません。

銀行融資を借り換えるメリットは、金利負担の減少により返済の総額を減らすことができることです。
金額の大きな融資や金利が高い融資を低金利に借り換える場合には、数百万円単位で得をする可能性もあります。
また、融資全体の返済額を減らすことができれば毎月の返済金額を減らして、資金繰りに余裕を持たせることもできます
金利負担が減る分を投資に回したり、現預金を確保したりということができれば経営上でのメリットも大きいです。

借り換えのデメリット

ただし、他行への借り換えを実行するのはデメリットも大きいです。
既存の融資をしていた銀行としては、融資残高が減れば営業成績に大きなダメージを受けることになります。

特に前触れもなく急に「借り換えをする」と告げられれば、関係が悪化する可能性が非常に高いことは覚悟する必要があるでしょう。

取引が悪化すれば、将来的に業績が悪化した場合に助けてもらえなくなる可能性もあります。

特にメインバンクとして付き合ってきた銀行から借り換えを行う場合には、借り換え先の銀行に「これからメインバンクとして付き合ってほしい」という意思を伝え、それを理解してもらってからにした方が安心です。

それまでにも既存銀行と問題があり、関係を切っても良いと思っているのであれば借り換えしてしまっても問題ありませんが、金利面だけではなく、将来的な銀行との付き合いも考えて借り換えをするかどうかを考える必要があるといえます。

借り換えの検討・実施におけるポイント

金利負担の減少額をきちんと計算しよう

借り換えを検討する場合には借り換えすることでどれくらい金利負担が減るのかを計算するのがポイントです。

借り換えすることにより金利負担は減るように見えても、実際は契約書の印紙代、事務手数料、不動産の抹消・設定の登記などの費用で割に合わなくなる場合もあります。
そのため、このような費用を含めても借り換え後に得をするのかは必ず検証するべきです。

また、デリバティブ内包型の融資や長期固定金利など融資で利用している場合は解約すると違約金が発生します。
このような融資は、通常の融資に比べると金利や条件が優遇される代わりに、原則途中解約ができないようになっているのです。

途中解約することにより違約金が発生する融資については、融資を実行する際に銀行から必ず説明があります。

そのため、そもそも将来的に借り換えする可能性があるのであればこのような形の融資を受けてはいけませんし、借り換えするのであれば違約金を支払う覚悟が必要です。

違約金が発生する融資制度から借り換えする場合には、その違約金を支払っても金利負担が減るかをきちんと調べるべきといえるでしょう。

交渉のポイント

他の銀行に乗り換える場合は、新しく融資を実行する銀行としては新規融資の実績になります。
そのため、企業の信用力に問題がなければ借り換えに積極的に対応し、金利以外の条件も現状の融資より良くしてくれる可能性があるでしょう。

実際に融資の借り換えを他行にしなくても、他の銀行に借り換えの相談をして「B銀行は今より安く貸してくれるといっていました」と既存の銀行に交渉すれば現状より良い条件の融資を提案してくれるかもしれません。
あまりに露骨にやりすぎると良い印象を与えない可能性もありますが、プレッシャーを与える意味でこのような交渉は有効です。

特にメインバンクは借りてくれるのが当然と思うと、あえて自分から金利を下げる借り換えの提案は行いません。
高い金利を得た方が銀行としての収益も増えるからです。
そのため、威圧的な交渉はおすすめしませんが適度な駆け引きは大切といえます。

借り換えをする際の流れ

借り換えの流れを銀行を借り換えるケースで説明します。

  1. 借り換え先となる銀行に相談する
  2. 借り換えのシミュレーションを行い、借り換えすることのメリットを精査する
  3. 借り換えの審査を受ける
  4. 元々融資を受けていた銀行に別の銀行へ借り換えを行う旨を伝える
  5. 借り換え先の銀行と融資の契約をする
  6. 借り換えを実行する日は、借り換え先の銀行から融資を受けた後にそれまで融資を受けていた銀行へ新しく融資を受けた金額を送金して全額返済する

借り換えを検討する場合は、まず借り換えを依頼する銀行に相談することから始めます。

銀行では金利負担や登記などの費用負担を含めた借り換えのシミュレーションをしてくれるので、返済額がどのくらい減るのかを確認します。
大幅に差が出るのであれば、借り換えをした方が良いですが、数十万の場合はそれまで融資を受けていた銀行との関係と天秤にかけて検討をした方が良いといえます。

関係が悪化したとしてもその金額を得るメリットがあるのか、はたまた数十万の話であれば既存の銀行と良い関係を続けた方が良いのかを考えるべきです。

借り換えを実行すると決めたら、借り換え融資を依頼する銀行で融資の審査を依頼します。
全くの新規で取引を始める銀行の場合、過去3年分の財務諸表の登録から格付審査、案件稟議で数週間時間がかかることは覚悟しておきましょう。

融資の審査に通り、内容に納得したら既存銀行に借り換えを行う旨を伝えます。
既存銀行からはなぜ借り換えを行うかをヒアリングされたり、借り換えをしないように交渉があるかもしれません。

しかし、金利が安くなり、既存銀行でそれ以下の金利条件が出せないのであれば借り換えを認めてくれるでしょう。

契約を結んだら、借り換えの実行日を決めて実行します。
融資を新しく受ける銀行の融資金入金口座の作成などの手続きもしていきます。

借り換え実行日は、借り換え先の銀行から融資を受けた後に既存の借入先に全額返済をする流れです。
具体的には新しい銀行から融資を受けたら、それまで融資を受けていた銀行にそれまで融資を送金します。

不動産登記がある融資の場合は、既存の借入銀行の抵当権を抹消して、借り換え先の銀行の抵当権の設定も同日に行うので、当日は慌しいです。

借り換えをする際の留意事項

融資に対する不動産担保設定がある場合には、借換の同日に担保の抹消・登録も行います。

そのため、借換の当日には一つの場所に(新しく融資を融資実行する銀行がほとんど)元々融資を行っていた銀行・借り換え融資を実行する銀行・登記の抹消と登録を行う司法書士・借り換えを行う企業が集結して処理を行います。

なぜなら、借り換えにより新しく融資を行う銀行へ債権が移ったのにもかかわらず、登記の抵当権が前の銀行に残ったままになれば、債務不履行になった場合に新しい銀行が債権回収できなくなってしまうからです。

借り換え時には一瞬ですが、2つの銀行から融資を受ける状態になるので、借り換え実行後即座に抵当権の解除と設定ができるように、司法書士には融資実行後すぐに登記に向かってもらいます

このようなリスクに備えて借換の実行日はこれらの登場人物全員のスケジュールを抑えて、遅滞なく手続きを進める必要があります。

まとめ

借り換えには同じ銀行内で異なる融資制度に切り替えるケースと別の銀行へ借り換えるケースがあります。
借り換えの目的は金利を減少させて融資の返済額を減らすことなので、シュミレーションを行い、メリットがある場合は活用した方が良いといえるでしょう。

金利を下げて融資額を減少させられると、毎月の返済額を減らすことで資金繰りに余裕を持たせることができます。
ただし、金利は下がっても登記費用や契約書の印紙代、違約金などもかかるので、それを込みでも安くなるかは確認するべきです。

また、銀行を乗り換える場合はそれまで融資を受けていた銀行との関係が悪化する可能性が高いので、乗り換え先が万が一経営が悪くなったときにも助けてくれるかなどきちんと見極めた方が良いでしょう。

借り換え日当日は借り換え先の銀行から融資を受けたら、それまで融資を受けていた銀行へ現金を振り込んで全額返済します。
また、担保の設定がある場合には同日に担保の抹消と設定を行うので借り換え日当日は慌ただしくなります。
借り換え日は既存融資のある銀行・借り換え先の銀行・司法書士・融資を受ける企業のスケジュールを合わせましょう。

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