合計130万円!人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請方法や記入例・活用事例を解説!

人手不足や働き方改革が進むなか、会社が伸び続けるには「社員の生産性向上」が欠かせません。

そして、生産性向上に取り組む事業主を応援するのが「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」です。

今回は「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」の受給要件や助成金額、申請の流れ、記入例、活用事例まで解説していきます。

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合計130万円を受給できる耳よりな制度ですので、ぜひこの記事で知識を身につけてください!
 

また、人材確保等支援助成金以外にも中小企業が活用できる補助金・助成金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの13種類を纏めていますので、合わせてお読みください。

【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)とは?

まずは、人材確保等支援助成金と人事評価改善等助成コースの基本知識を解説します。

人材確保等支援助成金とは?

人材確保等支援助成金とは、人材の確保や定着に向け「魅力ある職場づくり」に取り組む事業主などが対象となる、厚生労働省の助成金です。

助成金を受けるには、労働局に計画書を提出して認定を受け、そのうえで各コースが規定する要件を満たすことが必要となります。

今回ご紹介する「人事評価改善等助成コース」のほかに、次のようなコースがあります。

  • 雇用管理制度助成コース
    雇用管理制度を導入し、離職率の目標を達成した事業主に57万円を助成
  • 設備改善等支援コース
    雇用管理の改善を目指す事業主が「雇用管理改善計画」を作成後、設備を導入し、賃金アップなどの雇用管理改善と生産性向上実現した場合に、1年コースなら最大130万円を、3年コースなら最大450万円を助成
  • 働き方改革支援コース
    時間外労働等改善助成金を受給し、人材確保が必要な場合に新たな社員の雇用を行い、雇用管理の改善などを行った中小企業事業主に、雇い入れた社員一人につき60万円を助成
  • 介護福祉機器助成コース
    社員の身体的負担を軽減するため、新たに介護福祉機器を導入した介護事業主に、導入費用の25%(最大150万円)を助成
  • 介護・保育労働者雇用管理制度助成コース
    介護・保育労働者への賃金制度を整備し、実施した介護・保育事業主に50万円を助成
  • 中小企業団体助成コース
    改善計画の認定を受けた中小企業団体が、構成中小企業の人材確保や職場定着支援の事業を行った場合に、費用の2/3を助成

このほか、建設事業主向けの3コースがあります。

人事評価改善等助成コースとは?

人材確保等支援助成金の人事評価改善等助成コースとは、労働局に認定された計画に基づき、生産性向上に役立つ人事評価制度等を導入した事業主に「制度整備助成」が支給される制度です。
生産性の向上や賃金の増加などが達成されると、さらに「目標達成助成」が支給されます。

平成29年(2017年)度は「人事評価改善等助成金」でしたが、平成30年度から「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」に統合されました。この際に、書式や生産要件も変更されています。

受給要件と助成金額

 

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次に、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の受給要件助成金額をご紹介します。

 

人事評価改善等助成コースの受給要件

人事評価改善等助成コースには次の2つの助成制度があり、それぞれに受給要件があります。

(1)「制度整備助成」の受給要件

「制度整備助成」とは、事業主が人事評価制度等を整備し、賃金アップを行った場合に助成金が支給される制度です。
受給するには、次の要件をどちらも満たすことが必要です。

  1. 「人事評価制度等整備計画」を作成し、管轄の労働局の認定を受ける
  2. 「人事評価制度等整備計画」に基づき制度を整備し、社員に対して実施する

(2)「目標達成助成」の受給条件

「目標達成助成」とは、事業主が離職率などの目標を達成し、3年間で生産性を向上させた場合に助成金が支給される制度です。
受給するには、次の要件すべてを満たすことが必要です。

  1. 「人事評価制度等整備計画」の認定申請日の属する会計年度の前年度と、その3年後の会計年度を比較した生産性の伸びが6%以上ある。生産性要件についてはこちらを参照
  2. 人事評価制度等の適用をうけた社員の給与額が、2%以上増加している。また、3年後にその給与額が引き下げられていない
  3. 人事評価制度等の実施日の翌日から起算して1年経過するまでの期間の離職率が、人事評価制度等整備計画を提出する前1年間の離職率よりも、下表に掲げる目標値以上に低下した
対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数規模区分 1~300人 301人以上
低下させる離職率ポイント 維持 1%ポイント以上

人事評価改善等助成コースの助成金額

人事評価改善等助成コースの助成金額は定額で、それぞれ次のとおりです。

  • 制度整備助成:50万円
  • 目標達成助成:80万円

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請の流れと記入例

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の申請には、多くの書類が必要です。
ここで申請の流れと記入例をご紹介しますので、よく理解して作成しましょう。

【原則的なケース】と【例外的なケース】

人事評価改善等助成コースでは、「人事評価制度等の実施日」によって【原則的なケース】と【例外的なケース】が存在します。
ケースによって一部申請書類が異なりますので、違いをよく理解してください。

【原則的なケース】

制度整備助成の支給申請を「人事評価制度等の実施日」以降に行う、原則どおりの方法です。

出典:厚生労働省

【例外的なケース】

人事評価期間終了前でも、人事評価制度等がすでに施行され、社員の給与の額が実際に2%以上増加していれば、その給料日を「人事評価制度等の実施日と取り扱う日」として取り扱います。

この場合は、支給申請期間の開始時期が【原則的なケース】よりも早まりますが、【例外的なケース】として認めています。

 

出典:厚生労働省

人事評価改善等助成コースの申請の流れ

人事評価改善等助成コースの申請の流れは次のようになります。

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申請書類はこちらのサイトでダウンロードしてください。

厚生労働省:人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)各様式ダウンロード

(1)人事評価制度等整備計画の作成・提出

人事評価制度等整備計画書を作成し、以下の書類とともに本社の所在地を管轄する労働局に提出します。
提出期限は、人事評価制度等を整備する月の初日からさかのぼって、6か月前~1か月前の日の前日です。

出典:厚生労働省

労働局にて審査の上、適切と認めらた場合は「認定通知書」によって通知されます。

(2)整備計画に基づく人事評価制度等の整備

次に、認定された人事評価制度等整備計画に基づき、人事評価制度等を整備していきます。

具体的には、労働協約または就業規則を変更して、社員に適用される人事評価制度等を新設または改定することを行います。
労働協約または就業規則に、人事評価制度等を明文化することが必要です。

なお、制度整備助成の対象となる人事評価制度等とは、次のイ~ハすべてに該当する必要があります。

  • イ.すべての社員を適用対象としている
  • ロ.次の1~10すべてを満たしている
  • ハ.新設または改定された制度である

出典:厚生労働省

 

(3)人事評価制度等の実施

認定された人事評価制度等整備計画に基づき整備した人事評価制度等を実施・運用します。

(4)制度整備助成の支給申請・受給

制度整備助成を申請するには、次の条件を満たすことが必要です。

  • 雇用保険の適用事業主である
  • 認定された計画に基づき、人事評価制度等の整備・実施を新たに行い、社員の給与を2%以上増加するなどの要件を満たしている
  • 過去に「雇用管理制度助成コース」などの助成金を受給している場合、最後の支給決定日から3年間が経過している
  • 社会保険の適用事業所である

条件を満たすなら、制度整備助成の支給申請を行います。
必要な書類は次のとおりです。

  1. 人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/制度整備助成)支給申請書(様式第6号)
  2. 事業所確認票(様式第2号)
  3. 整備した人事評価制度等の内容が確認できる書類(就業規則など)
  4. 整備した人事評価制度等の概要票(様式第6号別紙1)
  5. 賃金アップ計算書
  6. 社員の労働条件通知書または雇用契約書
  7. 【原則的なケース】新たに整備した人事評価制度等を実施したこと及びその内容、制度の実施日が確認できる書類
  8. 【例外的なケース】整備した人事評価制度等を適切に実施する見込みであること、整備した人事評価制度等の内容及び人事評価制度等の「実施日と取り扱う日」が確認できる書類
  9. 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  10. 社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険料納入証明書など)
  11. その他、管轄労働局長が必要と認める書類

申請期限は、人事評価制度等の実施日の翌日から2ヶ月以内。
提出先は都道府県労働局です。

労働局長によって申請が適正と認められると、「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/制度整備助成)支給決定通知書(様式第 8 号)」で通知され、助成金が支給されます。

(5)目標達成助成の支給申請・受給

目標達成助成を申請するには、次の条件を満たすことが必要です。

  • 制度整備助成を支給されている
  • 引き続き、整備した人事評価制度等を実施している
  • 2%以上増加した給与を引き下げていない
  • 生産性要件を達成する
  • 離職率の低下目標を達成する
  • 社会保険の適用事業所である

条件を満たすなら、目標達成助成の支給申請を行います。必要な書類は次のとおりです。

  1. 人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/目標達成助成)支給申請書
    (様式第7号)
  2. 事業所確認票(様式第2号)
  3. 事業所の評価時離職率算定期間の雇用保険一般被保険者の離職状況が確認できる書類(離職証明書の写しなど)
  4. 社員の給与支払い状況が確認できる書類(賃金台帳など)
  5. 整備した人事評価制度等が引き続き実施されていることが確認できる書類(就業規則など)
  6. 出勤状況が確認できる(出勤簿など)
  7. 生産性要件を満たすことを確認する書類(生産性要件算定シートなど)
  8. 賃金アップ計算書
  9. 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  10. 社会保険の適用事業所であることが分かる書類(社会保険料納入証明書など)
  11. その他、管轄労働局長が必要と認める書類

申請期限は、人事評価制度等整備計画の認定申請の3年後の日の翌日から2か月以内。提出先は都道府県労働局です。

労働局長によって申請が適正と認められると、「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース/目標達成助成)支給決定通知書(様式第 11 号)」で通知され、助成金が支給されます。

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提出書類などをより詳しく知りたい方は、厚生労働省のパンフレットで確認してください。

厚生労働省:【令和2年4月1日版】人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の詳細はこちら

 

人事評価改善等助成コース申請書類の記入例

人事評価改善等助成コース申請書類の記入例は次のとおりです。
ぜひ参考にしてください。

人事評価制度等整備計画書 記入例

出典:厚生労働省

制度整備助成支給申請書(原則的なケース) 記入例

出典:厚生労働省

目標達成助成支給申請書(原則的なケース) 記入例

出典:厚生労働省

人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の中小企業での活用事例

記事の最後に、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の中小企業での活用事例をご覧ください。

製造業:日本綿布 株式会社

岡山県が所在地で、従業員50人の日本綿布には「人事評価の制度がない」などの課題がありました。

そこで、「管理者」・「営業職」・「製造部門」・「パートタイマー」をそれぞれ10項目の基準で評価し、数値化できる仕組みを導入。
導入の効果として、1/3の社員は変わったと感じたそう。
モチベーションアップにつながったと思われるなど、確かな手ごたえがありました。

卸売業:株式会社 輝楽

社員は3人で、車載用のLED企画販売を行う輝楽。
「社員をなかなか採用できない」という課題がありました。

そこで、人事評価シートの項目を絞り、社員にも分かりやすい評価シートを導入。
数値目標も入れ、社員の努力も反映できるようにしました。

その結果として、社員が積極的に新商品を提案し、実際に商品化されて売り上げにも貢献しています。
社員の定着にもつながっているのではないか、とのことです。

このほかにも、厚生労働省のサイトでは事業主の活用事例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

厚生労働省:助成金の活用事例はこちら!

まとめ:人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の適切な申請を

今回は「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」の受給要件や助成金額、申請の流れ、記入例、活用事例まで解説しました。

合計130万円を受給できるありがたい制度ですが、申請書類などが雑多でわかりにくくなっています。
ぜひこの記事を参考に、人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)の適切な申請を行ってください。

その他の補助金・助成金についても纏めて知りたい方へ

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