最大1000万円の「ものづくり補助金」に申請したいと思った際、代行業者(コンサルタント)には依頼すべきか否か、迷う方が多くいらっしゃいます。
依頼する費用をおさえるため「自分で申請書を作る」か、手間のなさや時間を優先して「コンサルタントに頼む」かの判断は、特に補助金申請に慣れない方ほど難しいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「ものづくり補助金の申請を代行業者(コンサルタント)に依頼すべきかどうか」について、根拠を交えて解説していきます。
依頼するメリットや費用の相場、依頼する場合の業者の選び方もご紹介しますので、補助金申請を検討している経営者の方は、ぜひご覧ください。
ものづくり補助金の基本情報
まずは、ものづくり補助金の基本情報をご紹介します。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、中小企業などの生産性向上に貢献する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する、補助金制度です。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
もともとは、2014 年に「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」という名前で始まり、名称を変えながら毎年実施されています。
【ものづくり補助金まとめ】制度概要や申請方法、採択結果などわかりやすく解説【2021年度版】
感染症拡大による経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態・事業・業種転換等を検討される企業様は、ぜひ次の記事もお読みください。
【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説
2020年の応募コースは次の三つ。
- 一般型
- グローバル展開型
- ビジネスモデル構築型
また、申請したすべての事業者に、補助金が交付されるわけではありません。
全国採択審査委員会における審査を受け、採択された事業者のみに交付されます。
その採択率については後述します。
ものづくり補助金の対象経費と補助金額
ものづくり補助金では、補助の対象となる経費について補助金が支給されます。
そして補助金には、補助率と金額での上限があります。
3つの応募コース(一般型、グローバル展開型、ビジネスモデル構築型)の各コースにおける、対象経費・補助率・補助金額は次の通りです。
一般型 |
グローバル展開型 |
ビジネスモデル構築型 |
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補助金額 |
100万円~1,000万円 | 1,000万円~3,000万円 | 100万円~1億円 |
補助率 |
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対象経費 |
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ものづくり補助金申請の採択率と採択のポイント
ものづくり補助金の概要を確認したところで、ここからはさらに詳しい点をみていきましょう。
公式サイトで公表されているデータなどから、採択率と申請の重要点をご紹介します。
ものづくり補助金の採択率
ものづくり補助金の2020年における採択率は、下表の通りです。
締切 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 |
1次 (3月締切) |
2,287 | 1,429 | 62% |
2次 (5月締切) |
5,721 | 3,267 | 57% |
3次 (8月締切) |
6,923 | 2,637 | 38% |
合計 | 14,931 | 7,333 | 49% |
2015〜2019年の採択率の平均は42%ですので、2020年の採択率がかなり高いことがわかります。
特に2020年1次締切分は62%と過去最高、2次締切は57%で過去2位の採択率でした。
これは新型コロナの影響や、通年募集となったことで「3次締切への応募」を考えた企業が多く、応募者数が減少したためと考えられます。
そして応募者が増えた3次締切については、38%と低水準となりました。
申請の重要点は「書類の分かりやすさ」
ものづくり補助金申請の重要点は、「書類の分かりやすさ」です。
順を追って解説します。
まず公募要領にあるように、ものづくり補助金の審査ポイントは次の3点です。
- A.技術面
- B.事業化面
- C.政策面
そしてそれぞれのポイントが、さらに4点ずつ挙げられています。
審査は、提出した「事業計画」に記載された上記ポイントを、採択審査委員会が評価することで行われます。
事業内容を口頭で説明する面接などはなく、あくまでも書面審査のみです。
そのため申請書類、特に「事業計画書」を分かりやすく、見やすく書くことが重要。
専門用語は避け平易な日本語で説明するほか、上記の審査ポイントを満たしていることをいかに明記するかが重要になります。
ものづくり補助金申請をコンサルタントに依頼するメリット
ものづくり補助金の申請を考えたとき、申請代行業者(コンサルタント)に依頼すべきなのかが気になりますね。
ここでは、推薦する方法と、その根拠を解説します。
ものづくり補助金はコンサルタントの「支援あり」の方が採択率が高い
ものづくり補助事業公式ホームページで公表されている「支援者の関与グラフ」(下図)をみると、「支援なし」よりも「支援あり」のほうが、採択率が高いことがわかります。
- 支援なし:採択率 42.6%
- 支援あり:採択率 51.5〜70.9%
ものづくり補助金「事業計画書」作成時間は平均70時間
次に、前項と同じものづくり補助事業公式ホームページの「事業計画の作成時間グラフ」(下図)をみると、1〜3次締切のすべてで、平均値は約70時間ということがわかります。
最も採択率が高い部分(52.9%)の作成時間は、90〜120時間です。
採択されやすいクオリティの申請書類を作るには、かなりの時間を要することがわかります。
また、これはコンサルタントに頼んだ申請者・頼んでいない申請者を合わせたデータですので、頼んでいない申請者はこの中でも書類作成に長く時間をかけているものと想定されます。
ものづくり補助金の申請をコンサルタントに依頼するメリット・デメリット
申請代行業者(コンサルタント)に依頼するメリット・デメリットは、次の通りです。
【メリット1】採択率が高まる
「支援者の関与グラフ」で確認できたように、「支援あり」では採択率が高まります。
「支援なし」では42%だった採択率が、「支援あり」では最高70%にも達しました。
前述の通り、審査は書類審査のみのため、いかに申請書類をわかりやすく書くかが大切。
多くの申請をこなし、「採択される申請のポイント」をつかんだ代行業者であれば、採択されやすい申請書類を作ることができます。
【メリット2】書類作成にかかる時間を削減できる
「事業計画の作成時間グラフ」でわかったとおり、事業計画書の作成には数十時間かかります。
そして、この時間はあくまで「事業計画書のみの作成時間」です。
申請書類はほかにもありますので、申請にはさらに多くの時間がかかります。
最終的に採択されれば、かけた時間も報われますが、もし不採択となればその時間は全てムダになることに。
書類作成は専門家である代行業者にまかせて、その時間をメインの事業にあてることが建設的です。
【デメリット】費用がかかる
代行業者に依頼するデメリットは、費用がかかることくらいです。
それでも、多くの業者は「着手金+成功報酬」という費用形態ですので、万が一不採択なら着手金の支払いだけで済みます。
着手金も10万円というケースが多いため、「不採択なのに何十万円も払う」ということはありません。
ただしムダに多く支払わないためには、信頼できる業者を選び、トータルの金額をはっきりさせることが大切です。
その選び方については、後述しています。
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ものづくり補助金申請はコンサルタントに「依頼する」メリットの方が大きい
ここまでご紹介したように、ものづくり補助金申請では代行業者(コンサルタント)へ依頼する大きなメリットがあります。
ほかにも自社で申請書を作成すると、自分たちではわかりやすく書いたつもりでも、知らずに「専門用語」を使っている場合があるもの。
第三者となる代行業者に依頼すれば、こういった専門用語に気づき、わかりやすく言い換えることができます。
初めての申請で、審査のポイントを抑えた事業計画書を、自社だけで作成するのは大変困難です。
不採択となれば、申請にかけた時間が全てムダになってしまいます。
そのため、ものづくり補助金申請は代行業者(コンサルタント)に依頼すべきです。
ものづくり補助金申請のコンサルタントに頼む費用の相場
ここでは、ものづくり補助金の代行費用の相場を紹介します。
【申請実績から】ものづくり補助金申請のコンサルタント報酬の相場
前項でも使用した「支援者の関与グラフ」(下図)を再度確認すると、1〜3次締切すべてで「補助金に対する報酬の比率」は平均が10%弱で、10%が最頻値。
この結果から、代行業者への報酬は「支給された補助金額の10%が相場」と考えて間違いないようです。
【事業者調査から】ものづくり補助金申請のコンサルタント報酬の相場
代表的な事業者を見ていくと、ものづくり補助金申請の代行業者(コンサルタント)への報酬は、次の水準のところが多いです。
着手金(10万円ほど)+ 成功報酬(支給された金額の10〜20%ほど)
この場合、不採択であれば支払うのは着手金のみとなります。
また成功報酬の割合が低いところでは、依頼内容をオプションとして別途請求するケースもあります。
たとえば「事業計画作成費用」が、別途5万円など。
さらに着手金が不要な業者は、成功報酬の割合が高くなることが多いです。
断片的に「着手金額がいくらか」や「成功報酬の割合」だけを見るのではなく、トータルでいくらかかるのかをよく確認しましょう。
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ものづくり補助金申請のコンサルタントの選び方
記事の最後に、代行業者(コンサルタント)の選び方を解説します。
ものづくり補助金申請のコンサルタントと相性の良い士業
ものづくり補助金の申請代行を行う業者には、税理士や中小企業診断士、行政書士などの様々な資格を持つ方がいます。
では、申請に有利な資格はあるのでしょうか。
実はものづくり補助金制度の性質上、最も相性がいいといえるのは「中小企業診断士」といえます。
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格。
中小企業の経営全般に関してアドバイスを行い、事業計画を作成する機会も多いため、クオリティの高い事業計画書の作成に向いています。
ただしものづくり補助金申請は難易度が高く、専門性が必要です。
そのため「中小企業診断士が作った申請書なら、必ず採択される」というわけではありません。
業者の選び方は、次項で解説します。
ものづくり補助金申請のコンサルタントの選び方
代行業者(コンサルタント)の選ぶ際には、次の3項目を確認して総合的に判断してください。
1.費用:トータルでの金額を明確に提示してくれる
前述した通り、一般的な相場は次のような額でした。
- 着手金(10万円が相場)+成功報酬(支給金額の10%が相場)
ですが、「事業計画書の作成」が別料金など、オプションの設定をしている業者も。
そのためトータルでの金額を、明確に提示してくれる業者を選びましょう。
少しでもわかりづらい、あいまいな金額を提示してくる場合は、避けることが賢明です。
2.実績:これまでの実績を公表している
「実績」も大切な判断基準です。
対応するコンサルタントの顔や経歴がわからない申請代行業者も多くありますが、コンサルタントの腕によってクオリティが大きく変わるのが、ものづくり補助金の事業計画書といえます。
納得できるコンサルタントが対応してくれる事業者を選ぶことが重要です。
さらに、これまで支援した企業の採択率や事例などを公開しているコンサルタントの方がより安心と言えるでしょう。
3.対応:親身に相談に乗ってくれる
問い合わせに対して、親身に相談に乗ってくれる業者を選びましょう。
連絡してもなかなか返事が来ないような業者は、要注意です。
質問に対してわかりにくい専門用語ばかり使う、説明をしっかりしてくれないなど、しっかりコミュニケーションがとれない業者も難しいですね。
申請代行を依頼する場合、よく話をして、企業の思いを理解してもらったうえで申請書類を作成することが大切。
そうでなければ、申請書に企業の良さが現れにくく、それゆえに採択される可能性も十分に高めることが難しくなります。
問い合わせにもすぐに返事をくれ、誠実にわかりやすい言葉で説明してくれる業者を選んでください。
まとめ:ものづくり補助金は信頼できるコンサルタントと協力して申請を
この記事では、ものづくり補助金の申請を代行業者(コンサルタント)に依頼すべきかどうか、依頼するメリットや費用の相場、業者の選び方などをご紹介しました。
ものづくり補助金は金額が大きく、また申請に手間もかかりますので、少しでも小さな手間で、採択可能性を最大限に高めたいですね。
そのためには信頼できる専門家を選んで、ともに採択を目指していくことをお勧めします。
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実際に2020年に採択されたものづくり補助金の事業計画をもとに、中小企業診断士がアドバイスいたします。
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その他の補助金・助成金についても纏めて知りたい方へ
また、ものづくり補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
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