予算総額が1兆1485億円で、2020年(令和2年)度第3次補正予算案の目玉といわれる「事業再構築補助金」。
経営者の方にとって大変魅力的な制度ですが、補助金額が最大1億円と高額なため、厳しい審査が予想されます。
そこでこの記事では、事業再構築申請の代行業者(コンサルタント)に依頼すべきかどうか、さらに相場や選び方まで解説していきます。
申請を検討されている方は、ぜひご覧ください。
事業再構築補助金とは?対象経費と補助金額
まずは基本知識として、事業再構築補助金の概要・対象経費・補助金額について解説します。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、新型コロナ感染症の影響による事業環境の変化に対応して、次のような「事業再構築」に挑戦する中堅・ 中小企業を支援する補助金制度です。
- 規模拡大
- 新分野展開
- 業態転換・事業転換
ただし現時点で、「中堅企業」の定義は発表されていません。
ですが2019年の経済産業省の調査で以下の定義が使われているため、それと同じような定義になる可能性があります。
- 製造業、農林漁業、鉱業、建設業、その他:資本金 3億円超 10億円以下
- 卸売業 資本金 1億円超 10億円以下
- 小売業、サービス業:資本金 5千万円超10億円以下
(参考)経済産業省:海外事業活動基本調査 利用上の注意・用語の解説
また、補助対象となる要件は以下の通り。
- 申請前の直近半年間のうち任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月と比較して10%以上減少している
- 事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
- 補助事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または社員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
事業再構築補助金の対象経費
事業再構築補助金の対象経費は、現時点では以下のものが例示されています
(中小企業庁のパンフレットより)。
- 建物費
- 建物改修費
- 設備費
- システム購入費
- 外注費
(加工、設計等) - 研修費
(教育訓練費等) - 技術導入費
(知的財産権導入に係る経費) - 広告宣伝費・販売促進費
(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
また、「事業再構築」の具体的なイメージと補助経費として、次の例が挙げられています。
具体的なイメージ:
航空機部品を製造していたがコロナの影響で需要が減少→製造事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット 関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ
補助経費の例:
事業圧縮にかかる設備撤去の費用、 新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など
事業再構築補助金の補助金額と補助率
事業再構築補助金の補助金額と補助率は、以下の通りです。
補助金額 | 補助率 | |
---|---|---|
中小企業(通常枠) | 100万円以上6,000万円以下 | 2 / 3 |
中小企業(卒業枠) | 6,000万円超~1億円以下 | 2 / 3 |
中堅企業(通常枠) | 100万円以上8,000万円以下 | 1 / 2(4,000万円超は1/3) |
中堅企業(グローバルV字回復枠) | 8,000万円超~1億円以下 | 1 / 2 |
中小企業の「卒業枠」は400社限定で、計画期間内に以下のいずれかにより、資本金または社員を増やして「中小企業から中堅企業」へ成長することが要件です。
- 組織再編
- 新規設備投資
- グローバル展開
また、中堅企業の「グローバルV字回復枠」は100社限定で、以下の要件を全て満たすことが条件の特別枠です。
- 直前半年間のうち任意の3カ⽉の合計売上⾼が、コロナ以前の同3カ⽉と⽐較して15%以上減少している
- 事業終了後3〜5年で、付加価値額また社員⼀⼈当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成する
- グローバル展開を行う事業である
なお、制度についてより詳しく知りたい方は以下の記事もお読みください。
【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説
【Q&A】最大1億円の「事業再構築補助金」について疑問に答えます
事業再構築補助金申請は代行業者(コンサルタント)に依頼すべき?
事業再構築補助金の基本がわかったところで、次は「申請」です。
申請に代行業者(コンサルタント)に依頼すべきなのかどうかを、根拠と合わせて解説します。
参考:ものづくり補助金の採択率
事業再構築補助金はまだ応募が始まっていないので、採択率は現時点では不明です。
そこで同じ中小企業向けの補助金制度である「ものづくり補助金」を見てみましょう。
令和2年度分の採択率は次の通り。
- 1次(3/31締切):62%
- 2次(5/20締切):57%
- 3次(8/3締切):38%
「IT導入補助金」は採択率が公表されていませんが、独自で調査しているサイトの結果などを見ると、ものづくり補助金と同程度の採択率と思われます。
そして各補助金の交付額には以下のような差があります。
- ものづくり補助金:最大3,000万円(グローバル展開型)
- IT導入補助金:最大450万円
- 事業再構築補助金:最大1億円(卒業枠、グローバル V 字回復枠)
事業再構築補助金は他の補助金と比べ、大変高額ですね。
そのため、ものづくり補助金やIT導入補助金よりも厳しい審査を行う可能性が高いと考えられます。
事業再構築補助金申請は専門家に依頼すべき
事業再構築補助金と同じ中小企業向けの補助金である「ものづくり補助金」で公表されている上グラフ(支援者の関与・補助金に対する報酬の比率)を確認すると、次のことが分かります。
- 「支援なし」の採択率:42%
- 「支援あり」の採択率:51~70%
コンサルタントなどによる「支援あり」のほうが、採択率が断然高い状況です。
さらに事業再構築補助金は新規事業のため、「申請時の重要なポイント」などの情報がサイトで公表されているわけでもありません。
こうした状況で、特に「初めて申請する」方が、審査のポイントを抑えた申請を行うのは大変難しいと思われます。
そのためコンサルタントなどの専門家に支援を依頼し、少しでも採択の確率を上げるべきです。
事業再構築補助金の代行の相場は?
事業再構築補助金の代行の相場は、現時点ではまだわかりません。
そこで、同じ中小企業向けの補助金である「ものづくり補助金」を参考に考えると、補助金に対する報酬の比率は、平均が10%弱、最頻値が10%です(下グラフ「支援者の関与(補助金に対する報酬の比率)」)。
また代表的な事業者のサイトを見ると、ものづくり補助金申請の代行業者(コンサルタント)への報酬は、次の水準が多いようです。
- 着手金(10万円ほど)+ 成功報酬(支給された金額の10〜20%ほど)
事業再構築補助金についても、同程度の報酬額となる可能性が高いと思われます。
申請時にどんな代行業者(コンサルタント)を選ぶべき?
事業再構築補助金は、コロナで影響を受けた既存事業から新しい事業への転換・再構築を図るための補助金であり、「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」と比較して、より本質的な計画策定と実行が求められるものです。
そのため、中小企業診断士や税理士といった「士業」の種類などで判断するよりも、実際にビジネスの経験があるコンサルタントを選ぶべきでしょう。
また事業再構築補助金は「認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが要件のひとつ。
そして「ものづくり補助金」は2019年度分まで「認定支援機関の確認」が必要でした。
そのため「ものづくり補助金」での申請実績が豊富なコンサルタントは、「認定支援機関」についての知識も豊富で、やり取りも慣れているはずです。
まとめると、次のようなことを総合的に判断して、あなたと相性の良い代行業者(コンサルタント)を探してください。
- 実際にビジネスの経験がある
- 「ものづくり補助金」申請実績が豊富
- 明確な費用を提示してくれる
- 親身に相談にのってくれる
初回相談は無料ですので、ご関心のある方は下記サイトもご覧ください。
事業再構築補助金申請のために準備すべきこと
事業再構築補助金の公募は、2021年春頃より開始される可能性が高いとされています。
公募開始時にスムーズに申請できるよう、次のことを準備しておきましょう。
新事業の構想・計画をする
事業再構築補助金は、新事業や業種転換などの「事業再構築」に取り組む中小企業が対象です。
そこで、補助金を使って行う新事業を構想し、計画を立てておきましょう。
中小企業庁のパンフレットでは、新事業として次の例を紹介しています。
- 衣服販売業:店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換する
- レストラン経営:店舗での営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応する
GビズIDの準備を進めておく
中小企業庁のパンフレットによれば、事業再構築補助金は「申請にはjGrants(電子申請システム)での受付を予定しています」とのこと。
jGrants(Jグランツ)とは、経済産業省が開発した「補助金申請システム」です。
そしてjGrantsの利用には、1つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできる「GビズID(法人共通認証基盤)」が必要。
GビズIDの取得には、2~3週間ほどがかかります。
まだお持ちでない方は、今のうちにGビズID取得を進めておきましょう。
(参考)
補助金は後払いのため資金繰り計画を立てる
補助金は原則、後払いとなるため、まず「システム購入費」などの対象経費を全額支払う必要があります。
そのためしっかりと資金繰り計画を立て、問題なく経費が支出できるようにしておきましょう。
まとめ:コンサルタント(代行業者)を利用して確実な採択を
この記事では事業再構築申請の代行業者(コンサルタント)に依頼すべきかどうか、さらに相場や選び方まで解説してきました。
補助金額が高額なだけに、審査も厳しいものと思われます。
申請するからには採択されなければ、書類作成にかけた時間が無駄になってしまいます。
ぜひ申請時にはコンサルタント(代行業者)に支援を依頼し、確実な採択を目指しましょう。
事業再構築補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの16種類を纏めていますので、合わせてお読みください。
【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説