【2021年最新版】新型コロナウイルス感染症対策の「業種別支援策リーフレット」と支援策を徹底紹介!

新型コロナウイルス感染症の影響に対して、政府や地方自治体などが様々な支援策を設けていますが、なかには対象事業が限定される制度もあります。

そのため経済産業省では、事業者が利用できる支援策を把握しやすいよう、新型コロナウイルス感染症対策の「業種別支援策リーフレット」を公表しました。

この記事では「業種別支援策リーフレット」と、そこに記載された支援策を徹底紹介します。

新型コロナの影響に対する企業への支援策について知りたい方にはお役に立つ内容となりますので、ぜひお読みください。

新型コロナウイルス感染症対策の「業種別支援策リーフレット」とは

出典:経済産業省

「業種別支援策リーフレット」とは、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた事業者が利用できる支援策を、「相談窓口への問い合わせが多い」以下の業種ごとにまとめた資料です。

このリーフレットによって、事業者が「自分の業種で利用できる支援策」を把握しやすくなりました。

2020年8月に経済産業省が作成・公開し、その後は新規の対策が発表されるごとに更新しています。
現時点では「2020(令和2)年度第三次補正予算事業」を記載。

ただし「事業再構築補助金」など、現時点でまだ公募開始されていない新設制度も記載されているため、利用する際には制度内容や開始時期などをよく確認することが必要です。

各リーフレットはこちらのサイトで確認できます。
経済産業省:業種別支援策リーフレット

「業種別支援策リーフレット」の業種・支援策一覧

「業種別支援策リーフレット」に記載された業種と支援策は、下表の通りです。
各支援策の概要は、次項でご紹介します。

支援策 飲食業 製造業 卸売業 小売業 宿泊業 旅客運輸業 貨物運輸業 娯楽業 医療関係
①雇用調整助成金
②事業再構築補助金
③実質無利子・担保融資の上限拡充
④新型コロナ対策資本性劣後ローン      
⑤営業時間を短縮した飲食店への協力金                
⑥売上減少の中小企業への一時支援金  
⑦-a.ものづくり補助金      
⑦-b.IT導入補助金  
⑦-c.持続化補助金            
⑧既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業                
⑨J-LODlive補助金                

「業種別支援策リーフレット」記載の支援策概要

次に「業種別支援策リーフレット」に記載された、支援策の概要をご紹介します。

①従業員の休業手当を助成:【雇用調整助成金】

「休業手当の負担が重く、従業員の雇用の維持が大変」という事業者を支援する制度が「雇用調整助成金」です。

「雇用調整助成金」とは、事業主が労働者に休業手当などを支払う場合にその一部を助成する、厚生労働省が主管の助成金制度。

さらに「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」が設けられ、2020年4月1日~2021年4月30日までの期間は、感染拡大防止のため以下の特例措置が実施されています(当初は「2021年2月28日まで」でしたが、延長されました)。

  • 支給対象となる事業主
    新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
  • 助成対象となる労働者
    雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成
  • 助成率
    4/5(中小企業)、2/3(大企業)
  • 日額上限額
    15,000円

「雇用調整助成金の申請方法」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

https://keieisha-connect.com/dev/2020/06/23/kocho-kin/

②中小企業等の事業再構築を支援:【事業再構築補助金】

「思い切った事業の再構築に挑戦したい」という事業者を支援する制度が「事業再構築補助金」です。

「事業再構築補助金」とは、新分野展開や業態転換、事業・業種転換などの「事業再構築」を行う中小企業等を支援する、経済産業省・中小企業庁が主管の補助金制度。

新規事業で、2021年3月に公募開始予定となっています。

事業再構築補助金をより詳しく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。

https://keieisha-connect.com/dev/2020/12/20/jigyo-saikochiku/

③運転資金の調達に:【実質無利子・無担保融資の上限拡充】

「売上減少に伴い、当面の運転資金を調達したい」という事業者を支援するのが「実質無利子・無担保融資の上限拡充」です。

日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「新型コロナウイルス対策マル経融資」、商工中金等による「危機対応融資」に「特別利子補給制度」を併用することで、実質的な無利子化を実現。

さらに「緊急事態宣言再発令(1月8日)」に伴い、民間金融機関では都道府県等による制度融資を活用して、実質無利子・無担保・据置最大5年の融資の上限額を、2021年1~2月に以下のように拡充しました。

  • 日本公庫 国民事業、民間金融機関
    最大6,000万円(拡充前4,000万円)
  • 日本公庫 中小事業、商工中金(危機対応融資)
    最大3億円(拡充前2億円)

また直近で融資を受けている方でも、新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りに影響が出た場合、再度相談することが可能です。

(参考)
日本政策金融公庫:新型コロナウイルス感染症特別貸付 国民生活事業
経済産業省:民間金融機関において実質無利子・無担保融資を開始します
日本政策金融公庫:新型コロナウイルス感染症特別貸付 中小企業事業
商工中金:新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口

④資本とみなせる資本性資金を調達:【新型コロナ対策資本性劣後ローン】

「金融機関が資本とみなせる資本性資金を調達したい」という事業者を支援する制度が「新型コロナ対策資本性劣後ローン」です。

「新型コロナ対策資本性劣後ローン」とは、新型コロナの影響による業況悪化で資本の毀損が懸念されるなか、本来の収益力を回復するまで「財務安定化に向けた資本の増強」が必要な事業者に対し、資本性劣後ローンにて事業の成長・継続を支援する制度。
日本政策金融公庫と商工中金により、次の内容にてローンを提供しています。

  • 融資限度額
    日本公庫 国民事業 7,200万円以内、日本公庫 中小企業・商工中金 7.2億円
  • 貸付期間
    5年1ヶ月、10年、20年(期限一括返済)

(参考)
日本政策金融公庫:新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン) 国民生活事業
日本政策金融公庫:新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン) 中小企業事業
商工中金:新型コロナウイルス感染症に関する特別相談窓口

 

⑤営業時間短縮要請への協力を支援:【営業時間を短縮した飲食店への協力金】

「営業時間の短縮要請」に応じた事業者を支援するのが、各地方公共団体が行う協力金制度です。
たとえば東京都では「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」となっています。

地方公共団体による「営業時間短縮の要請」に全面的に協力した飲食店に対して、次の協力金を支給します。

  • 緊急事態宣言の対象地域(2021年2月8日~3月7日の場合):
    1店舗あたり一律168万円(1日6万円)
  • 緊急事態宣言の対象外地域
    1日あたり最大4万円

ただし「緊急事態宣言の対象地域」でも、地方公共団体によって次のように違いがありますので、都道府県別のウェブサイトで「支給要件」をよく確認してください。

  • 東京都
    緊急事態措置期間延長の2021年2月8日~3月7日までの28日間、全面的にした場合に一店舗当たり168万円を支給
  • 神奈川県
    時短営業の開始が遅れた場合は「時短営業をした日数×6万円」を交付。その場合は、時短営業を開始した日~2021年3月7日まで「連続して時短営業する」ことが必要

(参考)
J-Net21:休業・営業短縮協力に関する支援金(都道府県別)

⑥緊急事態宣言による売上減少を支援:【売上減少の中小事業者への一時支援金】

「緊急事態宣言による売上減少に伴い、資金繰りが厳しい」という事業者を支援する制度が「売上の減少した中小事業者に対する一時支援金」です。

2021年3月上旬に電子申請での受付を開始する予定で、経済産業省・中小企業庁が主管となります。
制度の概要は次の通り。

  • 対象
    緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅・中小事業者
  • 支給額
    法人は 60万円以内、個人事業者等 は30万円以内の額を支給

旅館やホテルなどの宿泊施設、土産物店や観光施設、タクシーといった「飲食店以外で影響を受けた事業者」を対象と想定しています。

(参考)
経済産業省:売上の減少した中小事業者に対する一時支援金の支給

⑦中小企業の新型コロナ対策を支援:【ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金の「低感染リスク型ビジネス枠」】

「生産性向上を目指す中小企業」を支援する制度が、経済産業省・中小企業庁が主管となる「ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金」です。
2020(令和2)年度第3次補正予算ではこれらの制度に、通常枠とは別の「低感染リスク型ビジネス枠」が設けられましたので、それぞれの概要をご紹介します。

⑦-a.ものづくり補助金「低感染リスク型ビジネス枠」

ものづくり補助金「低感染リスク型ビジネス枠」とは、「対⼈接触機会の減少」につながる製品開発やサービス開発などに必要な設備投資やシステム構築などに補助金を支給する制度です。

制度の概要は以下の通り。

  • 補助額
    100万〜1,000万円
  • 補助率
    2 / 3

ものづくり補助金や「低感染リスク型ビジネス枠」については、こちらの記事でより詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【ものづくり補助金まとめ】制度概要や申請方法、採択結果などわかりやすく解説【2021年度版】

【2021年最新版】ものづくり補助金のコロナ特別枠「低感染リスク型ビジネス枠」の時期や補助金額を徹底解説!

 

⑦-b. IT導入補助金「低感染リスク型ビジネス枠」

IT導入補助金「低感染リスク型ビジネス枠」とは、「複数の業務⼯程を広範囲に⾮対⾯化する業務形態の転換が可能なITツール」の導⼊などに、補助金を支給する制度です。
また、「低感染リスク型ビジネス枠」の中に「テレワーク対応類型」を設け、テレワーク⽤のクラウド対応したITツールを導⼊する取組を⽀援します。

制度の概要は次の通りです。

  補助下限額・上限額 補助率
低感染リスク型ビジネス類型 30万~450万円 2 / 3
テレワーク対応類型 30万~150万円 2 / 3

(参考)
IT導入補助金 リーフレット

⑦-c.持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」

持続化補助金「低感染リスク型ビジネス枠」とは、ポストコロナ社会に対応したビジネスモデルへの転換に役立つ取り組みや、消毒液購入費などの感染防止対策費の一部を支援する制度です。

制度の概要は以下の通り。

  • 補助上限:100万円
  • 補助率:3 / 4
  • 感染防止対策費は補助対象経費のうち1/4を上限に支援

なお、持続化補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【2020年最新】最大150万円!小規模事業者持続化補助金とは?

 

 

⑧観光施設を再生し魅力と収益力を高る:【既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業】

「観光施設を再生し、魅力と収益力を高めたい」という事業者を支援する制度が「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」です。

「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」とは、地域等が策定する「観光拠点再生計画」に基づき実施される施設改修や、観光施設への感染拡大防止策といった経費の一部を補助する制度。
国土交通省・観光庁が主管となり、次の補助率で助成が行われます。

  • 補助事業:定額、1 / 2、1 / 3
  • 専門家派遣・実証事業等:定額

2021年2月22日に事務局公募が終了しましたので、2021年3月以降に補助金公募が開始されると考えられます。

(参考)
観光庁:(事務局公募)令和2年度第3次補正予算事業「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」に係る事務局の募集について

⑨中止したイベントのキャンセル料や再開を支援:【J-LODlive補助金】

「イベントのキャンセル費用が負担になっている」、「中止延期したイベントを再開したい」という事業者を支援する制度が「J-LODlive補助金」です。

「J-LODlive補助金(正式には「コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助⾦」)」とは、新型コロナの影響で公演を延期・中⽌した主催事業者に対して、今後実施するライブ公演の開催及びその収録映像を活⽤した動画の制作・配信の費⽤の⼀部を補助する制度。

経済産業省・文化庁が主管となっており、制度の概要は以下のとおりです。

  • 対象事業
    国内で今後公演を実施し、その収録映像を活用して制作した動画を海外に発信する事業
  • 補助率(補助上限額)
    1 / 2(5,000万円 / 1件)

(参考)
J-LODlive コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助⾦

まとめ:「業種別支援策リーフレット」を確認して申請を

この記事では「業種別支援策リーフレット」と、記載された支援策を徹底紹介しました。

新型コロナの影響を乗り切るため、支援策は有効に活用したいもの。
ぜひ記事を参考に、「業種別支援策リーフレット」記載の支援策への申請をご検討ください。