2021年3月26日に、いよいよ第一回の公募が開始された「事業再構築補助金」。
採択されるためには、公募要領の各項目をよく理解し、申請に必要な書類をもれなく準備することも重要です。
そこでこの記事では、「事業再構築補助金の公募要領解説」第2回として、補助金申請の全ての「必要(添付)書類」について、わかりやすくご紹介していきます。
事業再構築補助金への申請を検討されている経営者の方は、ぜひご覧ください。
※「事業再構築補助金の公募要領解説」第1回記事は以下!
https://keieisha-connect.com/dev/2021/04/07/%e3%80%90%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e5%86%8d%e6%a7%8b%e7%af%89%e8%a3%9c%e5%8a%a9%e9%87%91%e3%81%ae%e5%85%ac%e5%8b%9f%e8%a6%81%e9%a0%98%e8%a7%a3%e8%aa%ac%e2%91%a0%e3%80%91%e5%af%a9%e6%9f%bb%e9%a0%85%e7%9b%ae/
事業再構築補助金における必要(添付)書類の重要性
事業再構築補助金を受給するには、審査に合格(採択)することが必要ですが、その審査は「書類審査のみ」で、面接などはありません。
つまり「分かりづらい箇所は、口頭で説明する」ことはできないので、いかにわかりやすい申請書類(事業計画書)を作成するかが、採択されるための重要ポイントとなります。
また添付書類に不足や不備があれば、審査されずに不採択となってしまう可能性も。
このように、事業再構築補助金における必要(添付)書類は、採択されるうえで大変重要です。
次項からの内容をよく理解して、漏れのない書類の作成・準備をしていきましょう。
なお、事業再構築の制度の全体像について知りたい方は、以下の記事もお読みください。
【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説
【Q&A】最大1億円の「事業再構築補助金」について疑問に答えます
【事業再構築補助金の公募要領解説】必要(添付)書類のポイント紹介
事業再構築補助金の公募要領に記載された、応募申請の必要(添付)書類は次のとおりです。
- 事業計画書
- 認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
- コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
- 決算書
- ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
- 海外事業の準備状況を示す書類(卒業枠(グローバル展開を実施する場合に限る)・グローバルV字回復枠のみ)
- 従業員数を示す書類
- 緊急事態宣言による影響を受けたことの誓約・売上高減少に係る証明書類
- 2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類
- 審査における加点を希望する場合に必要な追加書類
ここからは、各必要(添付)書類を解説します。
[必要書類①]事業計画書
事業再構築補助金の申請において、最も重要な書類が事業計画書です。
ここに記載された事業計画の内容を、外部有識者が審査して、採択する事業が決まります。
なお公募要領では、事業計画書は審査項目を熟読したうえで、次の4項目について「A4サイズで計15ページ以内で作成」することを勧めています(23~24ページより)。
- 1:補助事業の具体的取組内容
- 2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
- 3:本事業で取得する主な資産
- 4:収益計画
「記載の分量で採否を判断するものではありません」とも記載されているため、15ページに収め、写真やグラフなどを使い、わかりやすい説明を心がけましょう。
[必要書類②]認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書
事業再構築補助金の補助対象要件のひとつが「事業再構築指針に沿った3~5年の事業計画書を、認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること」です。
また、補助金額3,000万円を超える事業計画書は、金融機関と認定経営革新等支援機関共同で作成する必要があります。
ただし、金融機関が認定経営革新等支援機関であれば、当該金融機関のみで問題ありません。
こうした、事業計画書の策定における認定経営革新等支援機関等・金融機関の関与を確認するのが「認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書」です。
必要事項が記載された電子ファイルを、電子申請システムの所定の場所に添付して申請します。
・認定経営革新等支援機関による確認書(Word)
・金融機関による確認書(Word)
経営者コネクトでも、認定支援機関として申請サポートを行っています。
無料相談も行っていますので、ご関心ある方は以下のページもご覧ください。
[必要書類③]コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類
「コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類」とは、「申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高と、コロナ以前の同3か月の合計売上高が確認できる資料」です。
事業や店舗ごとではなく、企業単位で「事業や店舗を合算した売上が減少している」必要があります。
具体的な書類は以下の通りで、法人・個人事業主ともに(1)~(5)まですべてが必要です。
①法人の場合
- (1)申請に用いる「任意の3か月」の、比較対象となるコロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の売上が分かる年度の「確定申告書別表一」の控え
- (2)上記(1)の「確定申告書」と同年度の「法人事業概況説明書」の控え
- (3)e-Taxで申告している場合は「受信通知」
- (4)申請に用いる「任意の3か月(2020年又は2021年)」の売上がわかる「確定申告書別表一」の控え
- (5)上記(4)の「確定申告書」と同年度の「法人事業概況説明書」の控え
②個人事業主の場合
- (1)申請に用いる「任意の3か月」の、比較対象となるコロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の売上が分かる年度の「確定申告書第一表」の控え
- (2)上記(1)の「確定申告書」と同年度の月別売上の記入のある「所得税青色申告決算書」の控えがある場合は、その控え(白色申告の場合は、対象月の月間売上がわかる「売上台帳」、「帳面」、「その他の確定申告の基礎となる書類」を提出する)
- (3)e-Taxで申告している場合は「受信通知」
- (4)申請に用いる「任意の3か月(2020年又は2021年)」の売上がわかる「確定申告書第一表」の控え
- (5)上記(4)の「確定申告書」と同年度の月別売上の記入のある「所得税青色申告決算書」の控えがある場合は、その控え(白色申告の場合は、対象月の月間売上がわかる「売上台帳」、「帳面」、「その他の確定申告の基礎となる書類」を提出する)
[必要書類④]決算書
「決算書」とは、具体的には直近2年間の次の帳票です。
- 貸借対照表
- 損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)
- 製造原価報告書
- 販売管理費明細
- 個別注記表
ただし、製造原価報告書と販売管理費明細は、従来から作成している場合のみ添付します。
また、2年分の提出ができない場合は、1期分の上記帳票が必要です。
決算書の添付ができない中小企業等については、事業計画書と収支予算書を添付します。
[必要書類⑤]ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報を出力するには、まず次の両方を実施することが必要です。
※:ミラサポPlusの登録は必ず次の手順で行ってください。
通常の「ミラサポPlus会員登録」を行いログインしても、「電子申請サポート」が使用できず、補助金の必要書類が準備できません。
もし、すでに「ミラサポPlus会員登録」を行っていたり、まちがって通常の「ミラサポPlus会員登録」をした場合にも、下記の手順でGビズIDを登録してください。
以降はGビズIDが紐付いた状態で、ミラサポPlusにログインできるようになります。
【手順1】ミラサポPlusのサイトへ行き、右上の「ログイン・登録」をクリック
【手順2】画面下の「会員登録はこちら」をクリック
【手順3】「または他のアカウントで登録」の「gBizID」をクリック
【手順4】gBizIDで会員登録する
【手順5】ログインする。名前の上に「GビズIDアカウントでログイン中」と表示されて「電子申請サポート」も使用可能になる
必要書類(「事業財務情報」の画面)をPDF出力する
補助金に必要な書類を出力するためには、まずミラサポPlusのサイトへ行き、GビズIDアカウントでログインします。
次に画面右上の「電子申請サポート」をクリックします。
画面の「データを追加する」→「タイトル未入力」とクリックすると下写真の画面が開くので、さらに「事業財務情報」をクリック。
「編集・外部取込」をクリックして、「直近」の「*(赤字のアスタリスク)」がついた項目に、自社の情報を入力していきます。
入力が終了したら「保存」をクリック。
次に、ブラウザの印刷機能などを使って、この財務情報の入力画面をPDF文書として保存します。
PDF化の手順はブラウザなどによって異なりますので、お使いのブラウザで手順を確認してください。
提出するのは「事業財務情報の画面」
公募要領25ページには、提出書類として以下の通り記載されています。
- ⑤ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報
ですが、実際に提出するのはこちらになりますので、注意してください。
- ミラサポplus「電子申請サポート」の「事業財務情報の画面」
また、同じく公募要領25ページには、次のように記載があります。
- 「活動レポート(ローカルベンチマーク)」には、BI レポート(財務情報)のほか、非財務情報を整理する「業務フロー」「商流」「4つの視点」のシートもありますが、これらのシートの作成は任意です。
この記述では「BI レポート(財務情報)」は必須のようにも読み取れますが、BI レポートも必須ではありません。
ミラサポ Plusでも明記されています。
[必要書類⑥]海外事業の準備状況を示す書類
「海外事業の準備状況を示す書類」は、「卒業枠でグローバル展開を実施する場合」と「グローバルV字回復枠」のみ必要で、次のいずれかに該当する資料、またはそれに準ずる資料を指します。
- 海外直接投資:海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
- 海外市場開拓:海外市場の具体的な想定顧客が分かる資料
- インバウンド市場開拓:インバウンド市場の具体的な想定顧客が分かる資料
- 海外事業者との共同事業:共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む) など
ただし資料は、日本語で作成されたもの、または日本語訳のあるものに限られます。
[必要書類⑦]従業員数を示す書類
「従業員数を示す書類」は、「緊急事態宣言特別枠」でのみ必要となり、「労働基準法に基づく労働者名簿の写し」を指します。
[必要書類⑧]緊急事態宣言による影響を受けたことの誓約・売上高減少に係る証明書類
正しくは「令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、2021年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していることを証明する書類」です。
「緊急事態宣言特別枠」のみ必要で「必須」となり、具体的には次の書類を指します。
- 令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けたことの宣誓書
- 売上減少に係る証明書類
(参考)
・緊急事態宣言の影響によることの宣誓書(エクセル)
・緊急事態宣言の影響によることの宣誓書(見本 PDF)
また「売上減少に係る証明書類」は、上記[必要書類③]に準じた書類が対象です。
もし[必要書類③]と重複する場合には、追加の提出は不要となります。
[必要書類⑨]固定費が協力金を上回ることを証明する書類
「2021年1月~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類」は、前項同様「緊急事態宣言特別枠」でのみ必要ですが、こちらは「任意書類」です。
具体的には、次の書類を指します。
- 固定費が確認できる書類
- 協力金の受給に係る証明書
[必要書類⑩]審査における加点を希望する場合に必要な追加書類
事業再構築補助金には「令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けた事業者に対する加点」があり、次の2点が加点項目となります。
- 加点①:令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していること。
- 加点②:上記①の条件を満たした上で、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ること。
加点項目は審査項目とは違い、申請に必須の書類ではありません。
しかし提出し、認められれば加点され採択に有利になりますので、上記に該当する事業主の方は、ぜひ提出しましょう。
そして加点を希望する場合には、加点①・②それぞれを証明する、次の追加書類が必要です。
加点①を証明する添付書類
なお「緊急事態宣言特別枠」に申請する場合は、上記[必要書類⑧]と書類が重複するため、上記a・bは不要です。
加点②を証明する添付書類
- c.固定費に係る証明書
- d.協力金の受給に係る証明書
なお「緊急事態宣言特別枠」に申請する場合で、上記[必要書類⑨]にて書類c・dを提出する方は、書類が重複するためこちらでは不要です。
事業再構築補助金の必要(添付)書類提出は電子申請のみ
事業再構築補助金の必要(添付)書類提出は、電子申請のみで行われます。
そのため、前項でご紹介した書類はファイル名確認シートを参照し、決められたファイル名にしてください。
そのうえで、公式ウェブサイトから申請を行います(第1回の公募申請受付は、2021年4月15日に開始予定)。
「暫定GビズIDプライムアカウント」発行が可能に
電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要ですが、電子申請の需要増加に伴い、現在では発行に最大で3~4週間ほどの期間を要します。
そこでGビズID事務局では、特例措置として「暫定GビズIDプライムアカウント」の発行を可能とし、この暫定IDで事業再構築補助金申請が行えるようになりました。
(2020年度IT導入補助金でのみ利用できた「暫定プライムアカウント」とは別モノです)
必要書類の郵送や審査を事後的に行い、土日祝日を除いた最大48時間程度で発行が可能です。
補助金申請を検討する方で、GビズIDをまだ取得していない場合は、次の資料に記載の手順に従い、すぐに暫定IDを発行しましょう。
(参考)
・【重要】G ビズ ID プライムアカウントを用いた申請に関する変更点について
・【FAQ】暫定 G ビズ ID プライムアカウントの発行の措置について
まとめ:必要(添付)書類をよく理解し申請準備を
この記事では、「事業再構築補助金の公募要領解説」第2回として、補助金申請の必要(添付)書類について、わかりやすくご紹介してきました。
ぜひ記事を参考に、必要(添付)書類についてよく理解したうえで、申請準備を進めましょう
なお経営者コネクトを運営するマジェステ株式会社でも、認定支援機関として申請サポートを行っています。
無料相談も行っていますので、ご関心ある方は以下のページもご覧ください。