2021年10月28日から第4回公募を開始した「事業再構築補助金」。
第1回公募と同様に、すぐにでも新事業を始めたい企業の方にはありがたい制度である「事前着手」が認められています。
ですが注意すべき点も多くあるため、よくルールを理解せずに進めてしまうと、せっかくの制度がいかせないことに。
そこでこの記事では、事業再構築補助金の事前着手申請制度について、概要や申請方法、注意点まで解説していきます。
「少しでも早く新規事業を開始したい!」という事業者様は、ぜひご覧ください。
【事業再構築補助金 事前着手とは 1】申請制度の概要
まずは、事業再構築補助金における事前着手がどのような制度か、制度の概要についてご紹介します。
事業再構築補助金の事前着手申請制度とは?
事業再構築補助金の事前着手申請制度とは、「承認を受けることで、交付決定前に発注などを行った分の経費を、補助対象にできる制度」です。
本来、補助対象となる経費は、補助金制度に申請して「交付決定」を受けた日以降に発注・支払いをした設備など。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化した現状では、事業活動の開始が遅れれば、それだけ損失を受けてしまうケースも起こり得ます。
そこで事前着手を行うことで、新規事業活動に数ヶ月早く着手でき、損失を回避できるというものです。
事前着手制度のイメージは下図の(2)となります。
なお、事業再構築補助金の制度概要を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
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[制度概要①]事前着手申請の受付期間
ここからは、事前着手申請制度の概要を解説していきます。
まず事前着手申請の受付期間、つまり「事務局に申請できる期間」は、次のとおりです。
[制度概要②]補助対象となる期間
事前着手が承認されることで補助対象となる期間は、下記のようになります。
2月14日以前に発注など行った場合は、事前着手に承認されたとしても、補助対象経費には認めれられませんので、注意してください。
ちなみに、事前着手を行わない場合の「補助対象となる期間(補助事業実施期間)」は、次のとおりです。
補助事業実施期間
【通常枠、緊急事態宣言特別枠】:交付決定日~12か月以内
【卒業枠、グローバルV字回復枠】:交付決定日~14か月以内
[制度概要②]申請に使用する様式
事前着手申請制度で、申請に使用する書式はこちらです。
[制度概要③]申請方法と申請先
事前着手申請制度の申請方法は、電子メールのみとなります。
事業再構築補助金申請で使用する電子申請システムは、事前着手では使用しません。
前項の申請書を作成し、下記のメールアドレスに送信します。
提出先メールアドレス: houkoku@jigyo-saikouchiku.info
[制度概要④]承認結果の通知
事前着手申請の承認結果は、申請から10日~2週間程度を目安に通知される予定です。
ただし「内容や申請状況によっては、さらに期間を要する場合がある」とされています。
[制度概要⑤]事前着手の要領・資料
事前着手には、細かいルールがあります。
申請前には下記の要領や資料をよく読んで、注意点などをご確認ください。
【事業再構築補助金 事前着手とは 2】申請方法
次に、事業再構築補助金の事前着手申請方法をご紹介します。
[申請方法①]書類作成:書き方のポイントは新型コロナと事業計画の関係性
まずは申請書類を作成します。
申請に使用するのは、前述したこちらの申請書のみ。
なお申請書の前文には、次のように記載されています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、交付決定前に契約(発注)・購入・契約等を行わなければ多大な損失が発生することが考えられることから、令和3年2月15日以降の事業についての事前着手の承認を求めます。
また、以下の注意事項の記載も。
新型コロナウイルス感染症の影響と事業計画の関係性についての説明内容が不十分な場合は、事前着手は承認できません。
ここからわかるように、申請書の書き方のポイントは「新型コロナウイルスと事業計画の関係性を、どれだけ具体的に書けるか」と言えます。
事務局が納得できるような「新型コロナの影響を乗り越えるために、早急な投資が必要不可欠である理由」を記載しましょう。
記入見本では、下記のように「新型コロナの影響」と「事業開始が遅れた場合の影響」の書き方を示しています。
なお申請書下段の【事前着手申請に関する担当者連絡先】には、申請者名と同一法人・個人の連絡先を記載します。
事務局でも「申請者以外の認定経営革新等支援機関や外部支援者が記載されている場合は、内容に関わらず、承認は致しません」と促しているため、間違えることのないよう注意してください(対応要領より)。
[申請方法②]電子メールで事務局に申請(提出)する
申請書類ができたところで、事務局に申請(提出)します。
前述した通り、申請は電子メールでのみ行なえます。
提出先のメールアドレスは「 houkoku@jigyo-saikouchiku.info」。
そしてメールの件名は、次のように記載します。
- 【事前着手申請】+法人番号(個人事業主管理番号)+事業者名
- (例)法人番号が「1234567898765」、事業者名が「株式会社事業再構築」の場合
⇒【事前着手申請】1234567898765 株式会社事業再構築
なお、電子メールに添付するのは「申請書」のみ。
事業計画書などの添付は不要で、事務局でも「※参考にしません」と記載しています。
【事業再構築補助金 事前着手とは 3】制度の注意点
記事の最後に、事業再構築補助金における事前着手申請制度の注意点をご紹介します。
[注意点①]承認を受けても補助金申請の手続きは必要
事前着手申請を行い、事務局から承認を受けたとしても、それはあくまで「事前着手」だけが可能になったに過ぎません。
補助金制度への申請が採択されたわけではないため、交付申請手続きは必要です。
[注意点②]事前着手で購入する場合も、対象経費の規定が適用
事前着手が承認され、交付決定前に設備などを購入する場合も、通常の対象経費の規定が適用されます。
たとえば、対象経費となるのは、建物費や機械装置・システム構築費など。
また支払いは、銀行振込の実績で確認を行うため、手形払などの「実績を確認できない方法」を使用した場合は対象外となります。
さらに経費区分や単価によっては、入札や相見積もりが必要な場合も。
「せっかく事前着手で承認されたのに、補助対象経費として認められなかった」ことがないよう、公募要領で対象経費の規定(18~22ページ)をしっかり確認しましょう。
[注意点②]補助金申請で不採択となるリスクあり
事前着手申請で承認されても、補助金申請で不採択となるリスクがあります。
通常の補助金手続きの流れならば(下図の(1))、交付決定後に設備購入を行います。
そのため補助金申請で不採択であれば、財務状況によっては「その設備の購入を検討し直す」ことも可能。
しかし事前着手(上図の(2))によって、すでに設備を購入してしまった場合、補助金申請で不採択となったからと、設備の支払いを拒むことはできません。
事業再構築補助金は、補助額が大変大きいことが特徴。
その補助金をあてにして購入してしまうと、会社の財務状況によっては、非常に大きな損失を受けることになります。
「不採択になった場合の財源」をよく考えたうえで、事前着手を行いましょう。
[注意点③]承認が得られなかった場合、交付決定前の購入は補助金対象外に
事前着手の承認が得られなかった場合は、補助金申請で採択されたとしても、補助金対象となるのは交付決定後に購入した設備などです。
「事前着手の承認はおりるだろう」と勝手に判断して交付決定前に注文すると、承認がおりなかった場合に補助金対象外となってしまい、支払いに困る可能性も。
承認がおりて、万が一不採択となった場合の財源を確保したうえで、設備の注文などを行いましょう。
[注意点④]第1回公募期間に承認を受けた場合、再申請は不要
第1回~第3回公募期間に事前着手の承認を受けた場合、第4回公募での事前着手の再申請は不要です。
ただし承認書の内容に変更があった場合は、再度申請することが必要となります。
まとめ:ルールを把握して事業再構築補助金の事前着手申請を
この記事では、事業再構築補助金の事前着手申請制度について、概要や申請方法、注意点まで解説してきました。
ぜひ記事を参考に、ルールを正確に把握して、事業再構築補助金の事前着手申請を行ってください。
なお、事業再構築補助金では、認定支援機関によるサポートを受けて応募する必要があります。
経営者コネクトでも、認定支援機関による申請サポートを行っています。
無料相談も行っていますので、ご関心ある方は以下のページもご覧ください。
また、数ある補助金・助成金について知りたい方は、以下の記事もお読みください。
【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説