2021年5月20日から開始した「事業再構築補助金」の第2回公募では、公募要領が改定されました。
この改定によって、第1回公募からいくつか変更されたルールがあります。
そこでこの記事では、要件見直しや特例、EBPMの加点項目などの追加といった、第2回公募の変更点をご紹介します。
事業再構築補助金への応募を検討されている経営者の方は、ぜひご覧ください。
【事業再構築補助金 第2回公募】制度概要
事業再構築補助金の第2回公募のスケジュールは以下の通りです。
- 第2回公募期間:2021年5月20日~7月2日18:00
(第2回電子申請受付:2021年5月26日~7月2日18:00) - 第2回公募採択発表:2021年8月下旬~9月上旬頃を予定
また公式サイトなどで「さらに3回程度の公募を予定している」とアナウンスしているため、現状では「第5回公募」まで実施する予定となっています。
なお、事業再構築補助金の制度概要を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説
【Q&A】最大1億円の「事業再構築補助金」について疑問に答えます
「緊急事態宣言特別枠」が今回で終了予定
公募要領17ページには、次の記載があります。
緊急事態宣言特別枠については、今回の公募で終了を予定しておりますので、申請を検討されている方はご注意ください。
事業再構築補助金 公募要領より
「緊急事態宣言特別枠」とは、「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴う自粛等の影響で売上が減少した事業者」を対象とし、通常枠よりも補助率が引き上げられる「特別枠」です。
また「緊急事態宣言特別枠」で不採択となっても、加点のうえで「通常枠」で再審査するため、採択率が高くなる可能性があります。
「補助金の上限額が低い」というデメリットはあるものの、検討している補助金額が特別枠の範囲内なら、ぜひ今回申請しましょう。
第1回で不採択なら第2回への申請が可能
事業再構築補助金では、複数回の交付を受けることはできません。
そのため第1回公募の採択結果が公表される前に、第2回公募への申請は不可。
ただし第1回公募の採択結果が不採択であった場合は、採択公表日以降に第2回公募への申請が可能です。
第1回公募の採択結果公表は「6月中旬頃」を予定しているため、第2回の締切まで2~3週間ほどの期間があります。
万が一、不採択となった場合には、再度申請もご検討ください。
ちなみに、第1回公募での電子申請システムで入力した情報は、第2回公募には引き継がれません。
第2回公募に申請する際は改めて申請情報の入力が必要ですので、ご注意ください。
【事業再構築補助金 第2回公募】変更点
ここからは、事業再構築補助金の「第2回公募における変更点」を解説します。
[変更点①]売上高減少要件の見直し
事業再構築補助金の「補助対象要件」のひとつである「売上高減少要件」が、次のように見直されました(公募要領2ページ)。
(旧)申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
↓
(新)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
ここでいう「任意の3か月」とは、「2020年10月以降の連続する6か月間」の範囲内であれば、連続した3か月でなくても問題ありません
たとえば、2021年6月に申請する場合、「2020年10月以降の連続する6か月間」には「2020年10月~2021年5月」のあいだで、連続する6ヶ月を選びます。
その6ヶ月のなかので、さらに任意の3ヶ月(10月・12月・2月など)を選び、月の合計売上高を算出。
そしてコロナ以前の同月の合計売上高とくらべ、10%以上減少していることを確認します。
ちなみに「2月」を選んだ場合は、「2019年2月」または「2020年2月」とくらべることができます。
ただし「任意の3か月」について、以下の場合は対象になりません。
- 10月、4月、5月(10月が始点月となるため、4月は7か月目、5月は8か月目となる)
- 11月、12月、5月(11月が始点月となるため、5月は7か月目となる)
[変更点②]売上高減少要件の特例を追加
前項に引き続き「売上高減少要件」について、下記の部分が追加となりました(公募要領12ページ)。
※コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画等しており、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合は、特例的に支援の対象となります。この場合、売上高減少要件は、2020年10月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高を、2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高と比較して算出してください。なお、事業計画書において、コロナ以前から創業計画を有していたこと及び新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少していることを示していただく必要があります(例えば、2020年3月31日より前に策定した創業計画の提出、自社が属する業種の売上が減少していることを公的統計等を用いて示す 等)。
事業再構築補助金 公募要領より
これはつまり「創業したばかりの事業者」も対象になったということです。
2020年の持続化給付金でも、やはり当初は創業したばかりの事業者は対象外でしたが、後に対象となりました。
事業再構築補助金でも、事業者からの要望が多かったのかもしれません。
第1回目は対象外となっていた新規事業者の方も、ぜひ申請してみましょう。
[変更点③]緊急事態宣言再々発令に伴う特別枠の要件の見直し
「緊急事態宣言特別枠」の要件に、下記の内容が追加されました。
並びに、令和3年4月から5月にかけて、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県及び沖縄県に発出されたもの
事業再構築補助金 公募要領より
これは、緊急事態宣言の再々発令を受けてのものです。
上図での緊急事態宣言による「飲食店の時短営業」や「移動の自粛」で影響を受けた事業者の方は、ぜひ補助金申請をご検討ください。
[変更点④]補助金額1,500万円以下では事業計画書を10ページ以内に
事業計画書の作成について、以下のように( )内が追加となりました(公募要領24ページ)。
(旧)A4サイズで計15ページ以内での作成にご協力ください。
↓
(旧)A4サイズで計15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)での作成にご協力ください。
「補助金額1,500万円以下」には「緊急事態宣言特別枠」が該当することから、第1回公募で「緊急事態宣言特別枠」に大変多くの応募があったものと予想されます。
今回「緊急事態宣言特別枠」で申請を検討されている方は、ページ数に気をつけてください。
[変更点⑤]加点項目が追加(EBPMへの継続的な情報提供)
審査に必須ではないものの、実施することで審査が有利になる「加点項目」。
第2回公募では、以下が「加点項目」として新規追加されました。
③ データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。
事業再構築補助金 公募要領より
なお加点項目①・②については「エビデンスとなる添付書類」を提出し、要件に合致すれば加点されますが、上記③だけは添付書類がありません。
電子申請システムでチェックするだけとなっています。
ただし現時点では、どのようなデータを提出すべきかの記載はありません。
審査で採択された場合でも、経済産業省からの情報提供依頼に拒否すれば、補助金交付が中止される可能性も。
チェックを入れるかどうかは、慎重に検討する必要があります。
EBPM(Evidence Based Policy Making)とは
EBPM(Evidence Based Policy Making)とは、「証拠に基づく政策立案」を指し、内閣府では次のように定義しています。
EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。
内閣府より
「エピソード」とは、つまり「経験や勘」。
「経験や勘」にたよるのではなく、「証拠」に基づき、政策立案の手法を体系化するものです。
日本では2018年度に、EBPMの推進を担う政策立案総括審議官が各府省において任命されるなど、本格始動しました。
[変更点⑥]「制度全般に関するコールセンター」を土曜日も開設
事業再構築補助金では、応募事業者をサポートするために2つのサポートセンターを設けています。
- 制度全般に関するコールセンター
- 電子申請の操作方法に関するサポートセンター
当初はどちらも「受付時間 9:00~18:00 (土・日・祝日は除く)」でしたが、2021年4月24日から「制度全般に関するコールセンター」については、土曜日も開設しています。
公式サイトでも「コールセンターへのお問い合わせを多数頂戴しており、お電話が繋がりにくい状況でございます。」と明記しており、事業再構築補助金制度の人気の高さがわかります。
まとめ:事業再構築補助金 第2回公募の変更点の理解を
この記事では、要件見直しや特例、EBPMの加点項目などの追加といった、第2回公募の変更点をご紹介しました。
ぜひ記事を参考に、事業再構築補助金の第2回公募の変更点を理解し、適正な申請を行いましょう。
また、経営者コネクトでは、事業再構築補助金の応募を考える企業様向けに「無料相談サービス」を行っています。
ご関心のある方は、ぜひ下記サイトもご覧ください。