審査で採択が決まってからも「やるべきこと」が多いのが補助金制度です。
「ものづくり補助金」でも、「交付申請」や「補助事業の実施」、「遂行状況報告」、「実績報告」などさまざまな実施要件が。
特に「実績報告」は補助金額を確定する重要なものですが、提出すべきデータや整理・保管すべき書類がいくつもあり、とてもわかりにくくなっています。
そこでこの記事では、「ものづくり補助金」の実績報告について、必要書類(データ)や作成時の注意点、報告手順までわかりやすく解説します。
「ものづくり補助金」実績報告の概要
まずは、「ものづくり補助金」実績報告の概要のご紹介です。
「ものづくり補助金」採択後の流れ
ものづくり補助金制度における「実績報告」の位置づけを確認するために、採択後の流れを確認しましょう。
下図は、ものづくり補助金事業のスキームです。
事務局から採択の通知が届き、補助事業者が交付申請を行うと、「補助事業期間」に入ります(上図③~⑤)。
この補助事業期間内に、事業計画に基づく設備投資のほか、購入物品等の納品・検収・支払など、事業上必要な手続きを全て完了させなくてはなりません。
その後、補助事業の実施結果を記した「様式第6 補助事業実績報告書」と必要書類を事務局に提出(これが「実績報告」)。
事務局は実績報告書の内容を確認し、確定検査の結果にも問題がなければ、補助金額が確定します。
そして補助事業者が請求を行い、事務局が振り込むことで、ようやく補助金が交付されます(上図⑦~⑧)。
このように、補助金額に直接影響する重要な報告が「実績報告」です。
「実績報告」・「実績報告資料」とは?
ものづくり補助金における「実績報告」とは、次のことを指します。
- 実績報告:採択された事業計画に基づいて行った補助事業の完了後、補助事業の具体的な内容とその成果を記載した「実績報告書(様式第6)」などを作成し、事務局に提出すること
また「実績報告」の際には、補助金交付額の確定準備のため、実際に購入した機械装置などの費用(支出)の証拠書類を提出します。
この書類が「実績報告資料」で、すべてWord・Excel・PDFなどの電子ファイルで提出します。
「実績報告書」と「遂行状況報告書」との違い
実績報告書とは「事業完了後」に提出する書面。
それに対して遂行状況報告書とは「事業実施期間中の途中経過」を報告する書面です。
また遂行状況報告書の期限などは、以下の通り。
- 報告基準日:交付決定日の属する月の翌月から起算して、3か月後の末日時点
- 提出期限:報告基準日の翌月15日
- 提出書面:遂行状況報告書(様式第5)、経費明細表(様式第5別紙)
ただし、基準日時点で事業が完了し実績報告書を提出した場合には、遂行状況報告書の提出は不要です。
「ものづくり補助金」実績報告に必要な書類(データ)
「ものづくり補助金」の実績報告に必要な書類(実績報告資料)には、下図のように「費目共通」で作成するものと「費目別」に作成するものの2区分があり、各様式は下記からダウンロードします。
そして実績報告の必要書類は、以下の通りです。
【必要書類 1】「A_費目共通」フォルダに入れるデータ
「A-1_実績報告書」フォルダに入れる必要データ
- 実績報告書(様式第6の別紙1)
- 経費明細表(様式第6の別紙1)
- 取得財産等管理台帳(様式第7)
- 試作品等(成果)受領書(様式第12)
「A-2_出納帳」フォルダに入れる必要データ
- 預金出納帳、現金出納帳
- 通帳コピー(表紙含む)
「A-3_預り金」フォルダに入れる必要データ
※以下2点の書類は「専門家経費を個人払いで支払った場合」のみ必要
- 預り金元帳
- 納付書コピー
【必要書類 2】「B_費目別」フォルダに入れるデータ
[費目別に作成①]経理書類(経理証拠書類)一式
- 見積依頼書(仕様書)
- 見積書
- 相見積書
- 注文書(契約書)
- 受注書
- 納品書
- 請求書
- 振込依頼書
[費目別に作成②]その他
- 費目別支出明細書
- 画像データ(参考様式14)
- 受払簿(機械装置費、原材料費、外注費、感染防止対策費のみ作成)
「ものづくり補助金」実績報告資料作成時の注意点
次に、「ものづくり補助金」実績報告資料を作成する際の注意点をご紹介します。
【注意点 1】実績報告書の提出期限
実績報告書の提出期限は、次のどちらか早い日となります。
- 補助事業の完了日から起算して30日を経過した日
- 事業完了期限日(交付決定日から10か月が経過した日、ただし、採択発表日の12か月後が限度)
【注意点 2】写真の撮影と画像データの保管
実績報告資料の「画像データ(参考様式14)」は、補助事業実施期間中に下図のような場面で写真を撮影したデータを使用します。
特に納品時などの写真は後で撮り直せないため、撮り忘れることのないよう注意してください。
また、原材料など「量の多いもの」は、数量や個数がわかるように撮影します。
【注意点 3】経理書類の日付
経理書類の日付は、見積り依頼日~補助事業完了日まで、下図のように整合が取れている必要があります。
特に、普段あまり使用しない書面の作成漏れにご注意ください。
【注意点 4】「経理証拠書類」原本の整理・保管
補助事業者は、「経理証拠書類」の原本を以下のポイントにしたがって整理・保管しなければなりません。
- 補助事業に関係ある書面を、一般業務の書面とは区別して保管する
- 「機械装置・システム構築費」などの「種別(費目別)・物件別」に、時系列に整理・保管する
- 「R1もの補助」表示と費目別支出明細書に記載する管理 No.を付ける
- 各種元帳<参考様式 12>を整備する
「経理証拠書類」の原本が確認できない場合、補助対象とならない場合がありますので、不備のないよう証拠書類を整備する必要があります。
また保管期間は5年ですので、補助事業終了後5年間は適切に保管してください。
「ものづくり補助金」実績報告の報告(入力)手順
記事の最後に「ものづくり補助金」実績報告の報告(入力)手順をご紹介します。
【実績報告の報告手順 1】事前確認
「実績報告資料」は内容が多岐にわたるため、まずは担当の地域事務局にて「事前確認」を行います。
そこで「実績報告資料」を作成したら、データを電子メールに添付して、地域事務局に確認を依頼してください。
・ものづくり補助金 実績報告資料等作成マニュアル(巻末に連絡先が記載)
その後、事務局で「実績報告資料」の内容を確認。
必要があれば連絡し、修正を行います。
【実績報告の報告手順 2】J-Grants(Jグランツ)への入力
事前確認が完了すれば、次はJ-Grants(Jグランツ)への入力です。
「ものづくり補助金 応募申請」で使用した申請システムではなく、「交付申請」でも使用した以下のシステムを使用します。
・JグランツURL:https://jgrants.go.jp/
J-Grants(Jグランツ)入力前の注意
J-Grantsへの入力は、下記ブラウザの最新バージョンで行ってください。
下記以外(InternetExplorerなど)を使用すると「申請上のエラーが発生する」とJ-Grants側でも注意喚起しています。
- Windows:chrome、firefox、edge(InternetExplorerモードはエラーが生じるため利用しない)
- macOS:chrome、firefox、safari
また以下の情報は、GビスIDの登録情報がそのまま表示されます。
変更がある場合は、先にGビスIDで最新情報に修正してください。
- 法人名/屋号
- 代表者名/個人事業主名
- 代表者役職
- 担当者メールアドレス
J-Grants(Jグランツ)での実績報告手続入力手順
J-Grantsでの実績報告手続入力手順は次の通りです。
(画像はすべてJグランツ入力ガイド -実績報告編-から)
①J-Grants画面の右上でログインボタンを押す
②「GビズIDでログインする」ボタンを押す
③「マイページ」を選択し、「事業名」をクリック
④画面下段のプルダウンから「実績報告(~額の確定)」を選び、「作成」をクリック
⑤「法人名/屋号」などの情報に間違いがないか確認
⑥「実施した補助事業の内容」、「重点的に実施した事項」、「補助事業の効果」欄に「添付ファイル参照」と入力
⑦「補助事業の収支内訳Excel」欄で「様式第6別紙2実績報告経費明細表」を添付
⑧「補助事業に要する経費」、「補助対象経費」、「補助金の額」欄に、それぞれの額を「税抜」で入力
⑨「実績報告書」欄に「下記参照」と入力
⑩「取得財産管理明細表Excel」欄に「様式第7 取得財産等管理台帳」を添付
⑪「実績報告書一式」欄に、補助事業実績報告書など実績報告に必要な書類一式を全てPDFファイルに変換した後、zipファイル形式で登録
(ここではファイル容量が16MB以下となるよう調整し、やむを得ず超える場合には、分割し2番目の添付ファイル欄も使用)
⑫「プレビュー」をクリックし入力内容を確認後、「保存」ボタンをクリック
⑬各種手続き一覧の「表示」ボタンをクリックし、「申請する」が表示されればクリック
(表示されない場合は「houkoku-mh@pasona.co.jp」のメールアドレス宛に、
実績報告実施希望の連絡を行う)
まとめ:漏れのない確実な「ものづくり補助金」実績報告を
この記事では、「ものづくり補助金」の実績報告について、必要書類(データ)や作成時の注意点、報告手順までわかりやすく解説しました。
ぜひ記事を参考に、漏れのない確実な書類づくりと報告を行ってください。