さまざまな補助金の申請で使用される、電子申請システムの「jGrants(Jグランツ)」。
ですが、実際に補助金申請に使用したことがない場合、「どんなシステムなの?」という方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、jGrants(Jグランツ)の基本知識や申請手順、注意点、使用する補助金制度までご紹介します。
補助金申請を検討されている方は、ぜひご覧ください。
電子申請システム jGrants(Jグランツ)とは?
jGrants(Jグランツ)とは、経済産業省が運営する補助金の電子申請システムです。
・jGrants https://www.jgrants-portal.go.jp/
これまで補助金申請といえば、申請項目や添付書類が多く、申請する事業者・審査する事務局ともに負担が大きいものでした。
それがjGrantsによって、公募から交付、その後の手続まで全てのプロセスを電子化できたため、次項のさまざまなメリットが生まれています。
システムは2019年12月にリリースされ、2020年の補助金申請から活用を開始。
2021年4月1日からは、アクセンチュアが主として開発を担当した「Jグランツ2.0」となり、使いやすさや機能性がさらに向上しました。
(Jグランツ1.0サイトは閉鎖 https://jgrants.go.jp/)
jGrantsを使用するメリット
jGrantsを使用するメリットとして、次の点が挙げられます。
- 24時間365日、自宅や職場など、いつでも・どこからでも申請が可能
- 移動時間や交通費、郵送費などのコストが削減できる
- 過去に申請した基本情報の再入力や、書類の押印が不要
- 必要な補助金を探しやすい
- 申請状況がシステム上で把握できる
このように多くのメリットがあるため、2021年度実施分では「電子申請のみ」という補助金制度が増えています。
jGrantsを使用するデメリット
一方で、jGrantsを使用する次のようなデメリットもあります。
- パソコン操作に慣れていないと、申請に時間がかかる
- システムエラーによって受け付けられない場合がある
小規模事業者などで、パソコン操作に慣れた社員がいない場合は、前項のメリットが享受できません。
またシステムエラーについては後述しています。
jGrantsでの補助金申請には「GビズID」が必要
jGrantsを利用するには、GビズIDの取得が必要です。
GビズIDとは、1つのID・パスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービス。
なおGビズIDには3種類のアカウントがありますが、jGrantsを利用できるのは、次の2種類だけです。
- gBizIDプライム(法人等の代表者アカウント)
- gBizIDメンバー(組織の従業員用アカウントとして、プライムが許可したアカウント)
もうひとつのアカウント「エントリー」では利用できないため、「プライム」に変更する必要があります。
そして、GビズIDプライムアカウントの取得には、「申請」が必要。
通常は申請から発行まで「2~3週間」ほどですが、記事作成時点では電子申請の需要増加により「3~4週間」ほどかかるとされています。
補助金申請を検討されている方は、同時にGビズIDプライムアカウントの取得も行いましょう。
GビズIDの概要や申請方法については、こちらの記事でくわしく説明しています。
GビズIDの「gBizIDプライム」とは?必須の補助金や登録申請方法を紹介
jGrants(Jグランツ)で補助金申請する手順
次に、jGrants(Jグランツ)を使用して補助金申請する手順をご紹介します。
(画像はjGrants2.0 事業者クイックマニュアルから)
なおここでは、以下を実施済みとした前提での紹介となります。
- 「GビズID」を申請・取得済み
- 補助金公募の内容を理解しており、申請書類も作成済み
[申請手順①]GビズIDでログインする
jGrantsサイトを開き、画面右上の「ログイン」をクリックします。
するとログイン画面に移動するため、さらに「GビズIDでログインする」をクリック。
GビズIDのログイン画面になるので、アカウントID・パスワードを入力し、「ログイン」をクリックします。
さらに「ワンタイムパスワード認証」または「アプリ認証」を行うことでログインが完了し、jGrantsホーム画面が表示されます。
[申請手順②]補助金を検索する
jGrantsホーム画面の上部にある「補助金を探す」をクリックします。
すると「補助金を探す」画面に移動するため、名称や条件などを入力して、申請する補助金を探してください。
このとき表示されるのは、「小規模事業者持続化補助金」など補助金ごとの大きなくくりではなく、下写真のように「実施公募回」・「事業類型」など細かくわかれた項目です。
補助金名のほかに「どの実施公募回(◯次締切分)か?」、「どの事業類型か?」をよく確認しましょう。
申請対象の補助金名をクリックすると、詳細画面に移動します。
[申請手順③]公募の内容を入力して申請する
申請したい公募の詳細画面で、最下段の「申請する」をクリックします。
「申請フォーム画面」に移動するので、必要情報を入力していきます。
入力が終了したら、最下段の「申請する」をクリック。
まだ申請しない場合は「一時保存する」をクリックすると、そのデータは「マイページ」から編集できます。
「事業開始日の決定方法」入力ボックスが表示されるので、補助金の公募要領などを確認し、指定された方法を入力します。
「確認画面」に移動するので、入力内容に誤りがないか確認したうえで「申請する」をクリック。
申請した情報は修正ができず、「マイページ」から確認のみ可能です。
下写真のように「申請状況」のステータスが「申請済み」になっていることを確認してください。
[申請手順④]審査結果を確認する
事務局から結果が発表されると、申請時に入力したメールアドレス宛に、下写真のような通知メールが届きます。
「◯事業の状況を確認する場合:」の下段にあるURLをクリックし、ログインしてください。
「提出済みの申請」を確認し、該当する補助金の「文面表示」をクリックすると、下写真のように審査結果が表示されます。
[申請手順⑤]交付申請を行う
無事に採択された場合、補助対象経費を精査して補助金の「交付申請手続き」を行います。
「マイページ」の「申請履歴」から、交付申請を行う事業を選択してください。
すると事業の詳細画面が開くので、「手続き」欄が「交付申請」になっていることを確認し、画面下の「申請する」をクリック。
「申請フォーム画面」が開くので、必要情報を入力し、「申請する」をクリックします。
次に確認画面が表示されるので、入力内容に誤りがないことを確認し「申請する」を押し、「提出完了画面」が確認できれば、交付申請完了です。
[申請手順⑥]事業開始後の各種手続きを行う
事業開始後は、jGrantsで次のような各種手続の申請が行えます。
- 計画変更
- 概算払請求
- 状況報告
- 実績報告 など
なお補助金によって、手続きの名称や必要な申請が異なりますので、交付要領などでご確認ください。
申請を行う際には、「マイページ」の「申請履歴」から事業を選択。
すると事業の詳細画面が開き、「提出可能な申請」欄に下写真のように現在申請可能な項目が表示されます。
申請したい項目の「申請する」ボタンをクリックしてください。
「申請作成画面」に移動するので、必要箇所を編集し「申請する」をクリックします。
提出した申請の結果が事務局から届くと、jGrantsからメールが来るため、「通知文書」の「文書表示」をクリックして内容を確認してください。
交付要領などに記載された各種手続きをすべて行い、「事務局からの要求・命令」がなければ、申請作業は完了となります。
jGrants(Jグランツ)使用時の注意点
メリットが多いjGrants(Jグランツ)ですが、使ううえで気をつけるべきことも。
ここでは、jGrantsを使用する際の注意点を解説します。
「情報掲載のみ」・「採択後から使用」の場合も
jGrantsで検索の結果表示される補助金でも、「情報掲載のみ」でjGrantsでの申請受付を行っていない場合があります。
たとえば、事業再構築補助金も電子申請ですが、jGrantsは使用しません。
そのため、jGrantsで「事業再構築補助金」を検索すると、下写真のように画面下に「申請する」ボタンは表示されず、制度概要の確認だけが行なえます。
また「ものづくり補助金」の場合だと、応募申請はjGrantsではない電子申請を利用し、下図「④交付申請」以降についてjGrantsを利用します。
このように、電子申請を行う補助金制度にも、「jGrantsを利用しない事業」も存在します。
応募申請する際には、必ず補助金の公式サイトで、申請手順や推奨する動作環境などをよく確認したうえで行いましょう。
(参考)
・事業再構築補助金 電子申請システム操作マニュアル
・ものづくり補助金 電子申請システム操作マニュアル
推奨動作環境でない場合エラーの発生も
jGrantsの動作環境として推奨されているのは、下記ブラウザの最新バージョンです(2021年5月17日時点)。
- Windows:chrome、firefox、edge(InternetExplorerモードは使用しない)
- macOS:chrome、firefox、safari
- Android:chrome
InternetExplorerなど、上記以外のブラウザで申請を行うと「エラーなどが生じる」と案内しています。
申請時にはjGrantsサイトで最新情報を確認し、推奨するブラウザを使用しましょう。
システムエラーが発生(2021年1~5月)
jGrantsにおいてシステムエラーが発生し「添付ファイルがシステムに取り込めない」事態が発生しました。
対象は、2021年1月4日~5月12日までに実施された補助金申請における、「小規模事業者持続化補助金」をはじめとする24の補助金の、合計1,998件の添付ファイルです。
原因として、前項の「推奨されていないブラウザ(インターネット・エクスプローラー)からの申請」もしくは「アクセスの集中によるシステム障害」とされています。
こういったアクシデントもありますので、申請書類などのデータはバックアップをとるなどして消失に備えましょう。
・経済産業省:補助金申請システム(Jグランツ)を利用した申請に係る一部の添付ファイルがシステムに取り込めていない事象について
jGrants(Jグランツ)で申請する補助金
記事の最後に、jGrants(jグランツ)で申請を行う補助金をご紹介します。
[jGrantsで申請①]ものづくり補助金
「ものづくり補助金」とは、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金制度です。
上記でご紹介したとおり、「ものづくり補助金」では交付申請以降でjGrantsを利用します。
・jGrants:【経済産業省】令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金〔一般型〕
なお、ものづくり補助金制度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【ものづくり補助金まとめ】制度概要や申請方法、採択結果などわかりやすく解説【2021年度版】
[jGrantsで申請②]小規模事業者持続化補助金
小規模事業者等が、地域の商工会・商工会議所の助言を受けて「経営計画」を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用を補助するのが「小規模事業者持続化補助金」です。
郵送による方法と、jGrantsでの電子申請が選択可能となっています。
・jGrants:【日本商工会議所】令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型> 第5回受付締切
小規模事業者持続化補助金については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
【2020年最新】最大150万円!小規模事業者持続化補助金とは?
[jGrantsで申請③]ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金
前述の「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」とは別制度となる「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」。
「中小企業などが連携して取り組む、生産性向上を推進する取組等に係る経費」の一部を支援する制度です。
こちらは、応募申請時からjGrantsを使用します。
・jGrants:令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金とは?令和3年度の公募概要も解説
[jGrantsで申請④]JAPANブランド育成支援等事業
JAPANブランド育成支援等事業とは、「海外展開を目指す中小企業」を支援する補助金制度。
有名な「甲州ワイン」や「今治タオル」といった、多くの成功事例があります。
・jGrants:令和3年度JAPANブランド育成支援等事業費補助金(JAPANブランド育成支援等事業)
JAPANブランド育成支援等事業については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
JAPANブランド育成支援等事業とは?令和3年度は「支援パートナー」活用が必須に
まとめ:jGrants(Jグランツ)で効率的な補助金申請を
この記事では、jGrants(Jグランツ)の基本知識や申請手順、注意点、利用する補助金制度までご紹介しました。
ぜひ記事を参考に、jGrantsで効率的な補助金申請を行っていきましょう。
なお、記事内でご紹介した「事業再構築補助金」の制度概要を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説
【Q&A】最大1億円の「事業再構築補助金」について疑問に答えます
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