【事業再構築補助金】第3回公募の変更点を紹介!類型が新設され6事業類型に拡大

令和3年(2021年)7月30日から、ついに第3回公募が開始された「事業再構築補助金」。
類型が新設され拡大したことで、より充実した補助内容となりました。

そこでこの記事では、事業再構築補助金 第3回公募の制度概要と変更点をご紹介していきます。

「第3回公募への申請を検討している」という方は、ぜひご覧ください。

なお、第1回公募結果の採択結果をもとに独自分析を行った記事も公開していますので、こちらも併せてご覧ください。

第1回公募の採択結果を確認!採択率や3つの課題も紹介します
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【事業再構築補助金 第3回公募】制度概要

まずは、事業再構築補助金 第3回公募の制度概要をご紹介します。

第3回公募の日程

事業再構築補助金 第3回公募の日程は以下のとおりです。

  • 公募開始:令和3年(2021年)7月30日 18:00
  • 申請受付:令和3年(2021年)8月下旬(予定)
  • 応募締切:令和3年(2021年)9月21日 18:00
  • 採択発表:令和3年(2021年)11月中旬~下旬頃(予定)

2類型が新設され全6事業類型に拡大

第3回公募では2類型が新設され、下記の全6事業類型に拡大されました。

  1. 通常枠(中小企業・中堅企業 )
  2. 大規模賃金引上枠(中小企業・中堅企業 )【新設】
  3. 卒業枠(中小企業)
  4. グローバルV字回復枠(中堅企業 )
  5. 緊急事態宣言特別枠(中小企業・中堅企業 )
  6. 最低賃金枠(中小企業・中堅企業 )【新設】

新設された「大規模賃金引上枠」と「最低賃金枠」は、最低賃金の引上げに向けて、賃上げの前提となる生産性向上を図るための支援策とされています。

「緊急事態宣言特別枠」や「事前着手承認制度」はそのままに

「緊急事態宣言特別枠」は、第2回公募要領にて「今回の公募で終了を予定」と記載されていましたが、第3回もそのまま残されました

これは、特別枠分の予算を使い切っておらず、さらに新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言の取り組みが続く現状にあわせたものと考えられます。

ただし、第3回公募要領では次のように案内しています(22ページより)。

「緊急事態宣言特別枠については、予算に限りがあり、今回の公募で終了する可能性がございますので、申請を検討されている方はご注意ください。」

不採択となっても「通常枠」で再審査されるなど、特典のある事業枠ですので、検討している方は早めに申請しておきましょう。

また「事前着手承認制度」は第2回公募要領などで「第3回公募以降では、対象期間の運用について見直しを行う場合がある」と告知されていましたが、第3回でも期間やルールに変更はありません。

  • 受付期間:令和3年(2021年)7月30日~交付決定日まで
  • 補助対象となる期間:令和3年(2021年)2月15日以降

しかし、第3回公募要領では以下のとおり記載されています(27ページより)。

「第4回以降の取扱いについては、今後の状況等を踏まえて判断のうえ、取り扱いを変更する場合には事前にお知らせします。」

もし「事前着手承認制度」を期待して、すでに購入契約などを行っている場合は、できるだけ今回の公募で申請してしまうことをおすすめします。

【事業再構築補助金 第3回公募】変更点

ここからは、事業再構築補助金の第3回公募における変更点を解説します。
なお今回は「最低賃金引上げを踏まえた見直し」が多い点が特徴です。

[変更点①]「最低賃金枠」が新設

ひとつめの変更点として、「最低賃金枠」が新設されました。

「最低賃金枠」とは、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等が取り組む事業再構築に対して支援を行う事業枠です。

補助金額と補助率は下表のとおり。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3 / 4
中堅企業:2 / 3
6~20人 100万円~1,000万円 中小企業:3 / 4
中堅企業:2 / 3
21人以上 100万円~1,500万円 中小企業:3 / 4
中堅企業:2 / 3

対象となるのは、通常枠の申請要件(①売上減少、②事業再構築に取り組む、③支援機関と事業計画策定)を満たし、さらに以下の2点を満たす事業者です。

  1. 2020年10月~2021年6月に、3か月以上「最低賃金+30円」以内で雇用している従業員が、全従業員数の10%以上いる
  2. 2020年4月以降のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少している
    (売上高の減少に代えて、付加価値額の45%の減少でも可)

「補助事業実施期間」や「対象となる経費」は、「通常枠」と同様。

そして「最低賃金枠」は次の特徴も公表されており、特別枠ともいえる扱いです。

  • 「緊急事態宣言特別枠」にくらべ、採択率にて優遇される(「最低賃金枠」への申請自体が加点項目として追加)
  • 申請し不採択となった場合は、「通常枠」で再審査される
  • 採択件数に限りがある(件数までは公表されていません)

[変更点②]「大規模賃金引上枠」が新設

変更点の2つめは「大規模賃金引上枠」が新設された点です。

「大規模賃金引上枠」とは、多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組み、さらに従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援する事業枠。

すべての公募回の合計で「150社限定」となります。

補助金額と補助率は以下のとおり。

  • 補助金額8,000万円超~1億円
  • 補助率中小企業者 2 / 3(6,000万円超は1 / 2)
        中堅企業等 1 / 2(4,000万円超は1 / 3)

対象となるのは、通常枠の申請要件(①売上高減少、②事業再構築に取り組む、③支援機関と事業計画策定)を満たし、さらに以下の2点を満たす、従業員数101人以上の事業者です。

  1. 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、事業場内の最低賃金を「年額45円以上の水準」で引き上げる
  2. 補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3~5年の事業計画期間終了までの間、従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させる

「補助事業実施期間」や「対象となる経費」は、「通常枠」と同様。

そして「大規模賃金引上枠」も、申請し不採択となった場合は「通常枠」で再審査されます。

 

[変更点③]「通常枠」の補助上限額が従業員人数別で3段階に変更

3つめの変更点として、「通常枠」について第2回までは一律6,000万円だった補助金上限額が、第3回より以下の通り、従業員人数別に上限の差が設けられました。

中小企業者等・中堅企業等ともに

  • 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
  • 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
  • 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円

[変更点④]売上高10%減少要件の対象期間を拡大

変更点の4つめは、「売上高10%減少要件」の対象期間を、「2020年10月以降」から「2020年4月以降」に拡大した点です。

申請に必須の要件の1点目は、次のように定義されました。

(a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高とくらべ10%以上減少しており、
(b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少している

また「売上高は増加したが、利益が圧迫され業況が厳しい事業者」を対象とするため、「売上高10%減少要件」を満たさないときは、次の項目を満たすことでも申請可能となりました。

(a‘)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少している
(b‘)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少している

なお付加価値額とは、「営業利益、人件費、減価償却費を足したもの」と定義されています。

[変更点⑤]「新規性」の判定時期を「コロナ前」に

事業再構築補助金を活用して新たに取り組む事業の「新規性」の判定時期が、「過去に」から「コロナ前に」に変更されました。

具体的には「事業再構築指針の手引き」にて、「新規性」を説明する箇所に以下の太字部が追加されています。

【注】「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。
2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします。

[変更点⑥]早期申請すれば形式的な不備が再度申請可能に

第3回公募要領の22ページに、次の項目が追加されました。

※ 申請期限に余裕を持って申請完了されたもののうち、形式的な不備等により、申請要件を満たさなかった事業者に対しては、申請締切り前にその旨を通知し、再度申請することを可能とします。具体的な日程については別途事務局HPを通じてお知らせいたします。

事業再構築補助金 公募要領22ページから

「形式的な不備があれば通知するので、再度申請してください」という、他の補助金制度ではあまり聞かない懇切丁寧な対処方法。

これは第1回公募結果での「応募の1割が要件満たさず」という状況を受けての、補助金事務局側の対応です。

こちらの記事でもご紹介しましたが、事業再構築補助金の第1回公募結果によると、応募・申請・採択件数は次のような状況でした。

出典:経済産業省

応募件数 22231件のうち、書類不備等があり申請まで至らなかった件数(① − ②)は2,992件もあり、応募件数の13%にも上っていたものです。

書類不備などがないことが一番ですが、ケアレスミスによって補助金交付の機会が失われることを防ぐためにも、早期に申請することがオススメといえます。

まとめ:事業再構築補助金 第3回公募の変更点を把握し申請を

この記事では、事業再構築補助金 第3回公募の制度概要と変更点をご紹介していきました。

ぜひ記事の内容を参考に、第3回公募の変更点をよく把握したうえで申請を行ないましょう。

なお、第1回公募について、経営者コネクトでご支援した事業者様の採択率は83%、中小企業(通常枠)の上限となる6,000万円で採択された企業も複数ありました。
経営者コネクトの事業計画書作成支援サービスをご検討される方は、ぜひ下記サイトをご覧ください。

また事業再構築補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの13種類をまとめていますので、併せてお読みください。

【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説