2021年11月11日に、9次締切の公募が開始された「ものづくり補助金」。
補助金のなかでもとくに人気が高い制度で、2020年3月の1次締切~7次締切までの応募者数は4万者を超えています。
そこで今回は、ものづくり補助金の9次締切の変更点やスケジュールなどを解説していきます。
「ものづくり補助金への申請を検討している」という経営者の方は、ぜひご覧ください。
【ものづくり補助金】9次締切では制度上の変更点ナシ
まずは、ものづくり補助金9次締切における変更点を解説します。
9次締切では制度上の変更点ナシ
結論として、ものづくり補助金の9次締切では、制度上の変更点はありません。
「8次締切の公募要領で申請準備をしてきたけれど、申請に間に合わなかった」という方でも、9次締切にそのまま提出しても問題ありません。
「低感染リスク型ビジネス枠」も前回と同様に設定されています。
9次締切分公募要領の記載上の変更点
細かい点で見ると、ものづくり補助金の9次締切の公募要領では、次の点が記載上変更されています。
①「2.補助対象者」の補助対象外となる事業者(6ページ)
「2.補助対象者」の補助対象外となる事業者の注意事項として、次の内容が追記されました。
・応募申請以降に上記ア、イ、ウの要件を満たさなくなった事業者及び上記(1)~(5)のいずれかに該当することとなった事業者。ただし、補助事業実施期間終了後に、アの表における従業員数、資本金額を超えることとなった事業者及び上記(1)~(5)のいずれかに該当することとなった事業者は補助対象外とならない。
ものづくり補助金 9次公募要領より
「上記ア、イ、ウ」とは、補助対象者となる「ア【中小企業者(組合関連以外)】」・「イ【中小企業者(組合関連)】」・「ウ【特定非営利活動法人】」を指します。
②「4.補助対象事業の要件」の「参考」欄(9ページ)
「4.補助対象事業の要件」の「参考」欄では、これまで統計分析ツール「グラレスタ」のみ紹介されていましたが、新たに「経営デザインシート」も紹介しています。
「経営デザインシート」とは、環境変化に耐え抜き持続的成長をするために、自社や事業の「これまで」を把握し、在りたい姿・今から何をすべきかといった戦略を策定するためのシートです。
なお、統計分析ツール「グラレスタ」や「経営デザインシート」についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
・ミラサポplusの統計グラフ化ツール「グラレスタ」とは?特徴や利用方法も解説
・「経営デザインシート」を作成するメリットとは?作成ポイントや記入例も紹介します
③「審査項目・加点項目」の「(5)加点項目」の「② 政策加点」(23ページ)
「審査項目・加点項目」の「(5)加点項目」の「② 政策加点」において注意書きが一部変更されました。
②-1:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
ものづくり補助金 8次公募要領より
※ 会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日から5年以内である場合に対象となります。なお、個人事業主や組合にあっては「第二創業」の加点はありません。
↓
②-1:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
ものづくり補助金 9次公募要領より
※ 会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日より5年前の日から応募締切日までの場合に対象となります。なお、個人事業主や組合にあっては「第二創業」の加点はありません。個人事業主の営む事業を承継する場合は、承継者の「創業」として申請してください。
これまでのものづくり補助金での大きな変更点
9次締切では制度上の変更点はありませんでしたが、7次・8次では大きな変更がありました。
「6次締切以前に申請して不採択となり、再度申請を検討している」場合は、以下の変更点をよくご確認ください。
ものづくり補助金 7次締切分の変更点
ものづくり補助金の7次締切分では、次のような変更がありました。
①加点項目「経営革新計画」・「事業継続力強化計画」の「申請中」が対象外に
6次締切までは「経営革新計画」・「事業継続力強化計画」を「取得予定」でも加点対象でしたが、「取得した」場合のみと変更されました。
「経営革新計画」・「事業継続力強化計画」は、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
・「経営革新計画」とは?申請方法は?融資や補助金等でのメリットも徹底解説!
・「事業継続力強化計画」とは?ものづくり補助金の加点や税制優遇等のメリットも解説!
②外部支援を受けている場合、申請書への記載が必須に
認定経営確認等支援機関や専門家といった外部支援を受けている場合、申請書への「支援者の名称、報酬、契約期間」の記載が必須となりました。
「支援を受けているにも関わらず情報が記載されていないことが明らかになった場合には、申請にかかる虚偽として、不採択、採択決定の取消、又は交付決定の取消を行います」と、厳しく対処する旨を明記しています。
変更内容の詳細やそのほかの変更点については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。
【ものづくり補助金】第7次締切分の変更点を解説!経営革新計画など「申請中」は加点対象外に
ものづくり補助金 8次締切分の変更点
ものづくり補助金の8次締切分では、次のような変更がありました。
①過去3年間に2回以上、類似補助金の交付決定を受けた事業者が対象外に
公募要領4ページの「2.補助対象者」で、「以下の事業者を除きます」として、次の文言が追加されました。
・過去3年間に、既に2回以上、類似の補助金*の交付決定を受けた事業者
ものづくり補助金 8次公募要領より
*平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業、平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業
また、7次締切では減点項目にて「交付決定の回数に応じて減点」とされていましたが、8次締切では以下のように「1回まで」と変更されています。
(6)減点項目
ものづくり補助金 8次公募要領より
過去3年間に、類似の補助金*の交付決定を1回受けている場合は減点します。
(過去3年間に、既に2回以上交付決定を受けた事業者は申請対象外となります。)
②除外対象となる「重複案件」の要件が厳しく
公募要領の「4.補助対象事業の要件」で「○以下に該当しない事業であること。」と記載した項目の「⑪ 重複案件」が、以下のように変更され厳しくなっています。
・同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている事業(50%超の議決権を有する子会社は同一法人とみなします。)
ものづくり補助金 7次公募要領より
↓
・同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている事業
ものづくり補助金 8次公募要領より
※親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなし、いずれか1社のみでの申請しか認められません。また、親会社が議決権の50%超を有する子会社が複数存在する場合、親会社と複数の子会社は全て同一法人とみなし、このうち1社のみでの申請しか認められません。これらの場合において、複数の事業者が申請した場合には、申請した全ての事業者において申請要件を満たさないものとして扱いますのでご注意ください。なお、個人が複数の会社「それぞれ」の議決権を50%超保有する場合も同様に、複数の会社は同一法人とみなします。また、親会社が議決権の50%超を有する子会社が、議決権の50%超を有する孫会社や、更にその孫会社が議決権の50%超を有するひ孫会社等についても同様の考え方に基づき、同一法人とみなします。
③加点項目に「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」が追加
加点項目の政策加点に「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」が追加されました。
「パートナーシップ構築宣言」とは、「取引先との取引適正化」への取り組みを代表者名で宣言しポータルサイトに登録することで、対外的にPRできる取り組み。
くわしくはこちらの記事でご紹介しています。
ものづくり補助金の加点にも使える「パートナーシップ構築宣言」とは?メリットや登録方法まで解説します
【ものづくり補助金】9次締切のスケジュールを確認
次に、ものづくり補助金の9次締切のスケジュールを確認していきます。
【ものづくり補助金】9次締切のスケジュール
ものづくり補助金9次締切のスケジュールは次のとおりです。
- 公募開始:令和3年(2021年)11月11日(木)
- 申請受付:令和3年(2021年)12月1日(水)17時~
- 応募締切:令和4年(2022年)2月8日(火) 17時
- 採択発表:令和4年(2022年)3月下旬の予定
補助事業の類型「一般型」と「グローバル展開型」では、スケジュールは同じです。
9次締切後も申請受付は継続され、令和4年度(2022年度)内に複数回の締切を設け、それまでに申請のあった分の審査と採択発表が随時行われます。
なお、補助事業の類型には、もうひとつ「ビジネスモデル構築型」がありますが、2次公募が2021年3月19日に締め切られ、現在は公募は行われていません。
【ものづくり補助金】9次締切の申請方法と申請書類
ものづくり補助金の9次締切の申請方法は、電子申請システムでのみ受け付けとなっています。
申請書類を準備し、こちらの電子申請システムから申請を行ってください。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金:電子申請システム
締切日の前日~当日は申請が集中し、申請手続きが滞る可能性があります。
十分余裕を持って申請を行いましょう。
申請書類は次のとおり。
- 事業計画書
- 賃金引上げ計画の表明書【様式1】
- 決算書等
- 海外事業の準備状況を示す書類(グローバル展開型のみ)
このほか、「加点項目の申請」がある場合は、該当する加点の書類を添付します。
なお、電子申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですので、早めに利用登録を行ってください。
「GビズIDプライムアカウント」の登録申請方法は、こちらの記事でご紹介します。
GビズIDの「gBizIDプライム」とは?必須の補助金や登録申請方法を紹介
ものづくり補助金とは?制度概要を紹介
記事の最後に、ものづくり補助金の制度概要をご紹介します。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは、中小企業などが取り組む「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資」を支援する制度です。
次の補助金制度とともに、中小企業庁が行う「中小企業生産性革命推進事業」の一つに位置づけられています。
- IT導入補助金:中小企業などが行うバックオフィス業務の効率化や、新たな顧客獲得といった付加価値向上に値するITツールの導入を支援する
- 持続化補助金:小規模事業者が、経営計画を作成して取り組む販路開拓などを支援する
ものづくり補助金は、補助金制度のなかでも人気が高く、2020年3月の1次締切~7次締切までの応募者数は41,029者となっています。
【ものづくり補助金まとめ】制度概要や申請方法、採択結果などわかりやすく解説【2021年度版】
ものづくり補助金の類型と補助金額・補助率
ものづくり補助金の類型と補助金額・補助率は以下のとおりです。
一般型 | グローバル展開型 | |
---|---|---|
概要 | 中小企業者などが行う「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資などを支援する | 中小企業者などが海外事業の拡大・強化を目的とした「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資などを支援する |
補助金額 | 100万円~1,000万円 | 1,000万円~3,000万円 |
補助率 | 通常枠:1 / 2、小規模企業者・小規模事業者 2 / 3 低感染リスク型ビジネス枠:2 / 3 |
1 / 2、小規模企業者・小規模事業者 2 / 3 |
ものづくり補助金の補助対象経費
ものづくり補助金の補助対象となる経費は、 事業の対象として明確に区分でき、経費の必要性・金額の妥当性を証拠書類で確認できる、以下の経費です。
- 機械装置・システム構築費:専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費 など
- 技術導入費:本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
- 専門家経費:本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
- 運搬費:運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
- クラウドサービス利用費:クラウドサービスの利用に関する経費
- 原材料費:試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
- 外注費:新製品・サービスの開発に必要な加工や設計・検査等の一部を外注する場合の経費
- 知的財産権等関連経費:新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
- 海外旅費(グローバル展開型のみ):海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
- 広告宣伝・販売促進費(低感染リスク型ビジネス枠のみ):本事業で開発する製品・サービスにかかる広告の作成及び媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等にかかる経費
また、対象となる経費は、交付決定日以降に発注を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したものに限られます。
まとめ:ものづくり補助金9次締切への申請の検討を
この記事では、ものづくり補助金の9次締切の変更点やスケジュールなどを解説してきました。
人気の高さからもわかるとおり、多くの企業で活用できる補助金制度です。
ぜひ記事を参考に、ものづくり補助金の9次締切への申請の検討をしてみてください。
なお、当サイト「経営者コネクト」では、ものづくり補助金に応募したい経営者・担当者の方を応援したいと考え、無料相談を受け付けています。
実際に2020年に採択されたものづくり補助金の事業計画をもとにアドバイスいたします。
ご希望の方は、フォームからお申し込みをお願いいたします。
(「企業名」「ご連絡先」と「ものづくり補助金・無料相談希望」の旨を明記ください)