「オミクロン株」の感染が広がるなど、新型コロナの影響は収まる気配を見せません。
現状で「感染症対策を!」と考えても費用がかかるため、簡単には動けないという方も多いのではないでしょうか。
このような「感染症対策の導入」を検討されている小規模事業者の方におすすめする補助金制度が、今回ご紹介する「小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉」です。
この記事では、2022年最新版の持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の制度概要や申請方法などを、徹底解説していきます。
「補助金を活用して、現在の業務課題を解決したい」という経営者の方は、ぜひご覧ください。
なお記事作成時点(2022年1月)では、持続化補助金には〈低感染リスク型ビジネス枠〉と〈一般型〉の2つの申請類型があります。
〈一般型〉についてくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
【2022年最新版】小規模事業者持続化補助金〈一般型〉の採択率から申請方法まで解説!
【2022年最新版】小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の基本情報
まずは、2022年最新版となる小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の基本情報をご紹介します。
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉とは?
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営計画を作成して行う「販路開拓」や「生産性向上」の取り組みに必要となる経費を支援する補助金制度で、「持続化補助金」とも呼ばれます。
正式な事業名は「小規模事業者持続的発展支援事業」。
そして今回ご紹介する〈低感染リスク型ビジネス枠〉とは、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させる、「ポストコロナ」を踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入を支援する制度です。
補助金事務局は、全国商工会連合会が担当しています。
(参考)
・小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉公式サイト
・チラシ「持続化補助金」
・資料「丸わかり!小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」
ちなみに、〈一般型〉と同時期に開始された〈コロナ特別対応型〉は、2020年12月の「第5回受付締切」が最終受付に。
その後〈低感染リスク型ビジネス枠〉が開始されました。
・日本商工会議所:令和2年度補正予算小規模事業者持続化補助金 コロナ特別対応型(申請は2020年12月で終了)
主幹は中小企業庁(経済産業省)
持続化補助金の主幹省庁は、中小企業庁(経済産業省)です。
それぞれの公式サイトにて、制度の情報が確認できます。
・中小企業庁ウェブサイト:経営サポート「小規模企業支援」
・経済産業省ウェブサイト
持続化補助金は中小企業生産性革命推進事業の一つ
持続化補助金は、中小企業生産性革命推進事業の一つです。
事業には、持続化補助金のほかに次の補助金制度が含まれます。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- (令和3年度補正予算からは「事業承継・引継ぎ補助金」が追加に)
(参考)
・中小機構:中小企業生産性革命推進事業
なお、当サイト「経営者コネクト」では、中小企業診断士によるものづくり補助金の申請サポートを行っています。
2020年のご支援先の採択率は現状100%!
ご相談や採択可能性の診断は無料で行いますので、ご希望の方は、フォームからお申し込みをお願いいたします。
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の採択率は53.3%
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の採択率は下表のとおりで、第3回締切分までの採択率は53.3%です。
実施回 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第1回締切分 | 7,827件 | 3,512件 | 44.9% |
第2回締切分 | 10,205件 | 5,361件 | 52.5% |
第3回締切分 | 8,056件 | 5,022件 | 62.3% |
合計 | 26,088件 | 13,895件 | 53.3% |
〈一般型〉の採択率は59.9%ですので、〈低感染リスク型ビジネス枠〉のほうがやや低くなっています。
2022年の小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉のスケジュール
2022年の小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉のスケジュールは次のとおりです。
- 第5回受付締切:2022年1月12日(水)17時
- 第6回受付締切:2022年3月9日(水)17時
なお持続化補助金は、事業再構築補助金のように公募回ごとに「申請開始日・締切日」があるわけではありません。
以下の日程で公募開始後は、通年で申請を受け付けており、約2ヶ月ごとに締切が設けられています。
- 公募開始 :2021年3月31日(水)
令和3年度補正予算では申請類型が変更に
2021年12月20日に成立した「令和3年度補正予算」の資料によれば、小規模事業者持続化補助金の申請類型は下表の内容に変更されます。
申請類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 50万円 | 2/3 |
成長・分配強化枠 (賃上げ(事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上引き上げる事業者が対象)や事業規模の拡大) |
200万円 | 2/3 |
新陳代謝枠 (創業や後継ぎ候補者の新たな取組) |
200万円 | 2/3 |
インボイス枠 (インボイス発行事業者への転換) |
100万円 | 2/3 |
ただし現時点では、上記申請類型の開始時期は「調整中」です。
(参考)
・中小企業庁ウェブサイト:中小企業対策関連予算
・資料「生産性向上に取り組む皆様へ」
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉申請時の注意点
次に、小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉申請時の注意点をご紹介します。
最新の公募要領などを確認して申請する
〈低感染リスク型ビジネス枠〉申請時の注意点の1つめは、「最新の公募要領などを確認して申請する」です。
公募要領はどんどん改訂されており、記事作成時点の最新版は「第14版」。
改訂に伴いルールも変わって、たとえば第5回締切分では次の変更が行われています。
- 「賃金引上げプラン」が新たに創設され、優先的な採択を行う
- 「賃上げ加点」が第4回締切で終了
- 「暫定GビズIDプライムアカウント」が第4回締切分から使用不可に
せっかく審査での加点を目指しても、上記のようにルールが変わって「加点項目自体」がなくなっていては意味がありません。
申請時には必ず公式サイトで最新の公募要領・情報を確認し、そのうえで応募しましょう。
・令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠>公募要領
不正受給は絶対に行わない
申請時の注意点の2つめは、「不正受給は絶対に行わない」です。
持続化補助金は、こちらの記事でご紹介している「補助金適正化法」に基づき実施されます。
補助金の不正受給を行うと、交付決定の取消や不正内容の公表のほか、懲役・罰金に処せられることもあるため、絶対に行わないでください。
「補助金適正化法」のポイントを解説!「財産処分の制限」や違反時の罰則も紹介します
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉に申請できる企業とは?
ここからは、小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の公募要領をもとに、申請要件などをご紹介していきます。
まずは補助対象となる事業者や事業・経費です。
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉はフリーランス・個人事業主も対象
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉は、フリーランス・個人事業主も申請の対象となります。
具体的な補助対象者は、下表に該当する「小規模事業者」と、一定の要件を満たした特定非営利活動法人です。
業種 | 人数 |
商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数が5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数が20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数が20人以下 |
また「補助対象となりうる者」は以下のとおり。
- 会社および会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合)
- 個人事業主(商工業者であること)
- 一定の要件を満たした特定非営利活動法人
ただし、医師や協同組合、一般社団法人などは、補助対象とはなりません。
商工会・商工会議所の非会員でも応募可能で「事前確認」は任意
〈低感染リスク型ビジネス枠〉は、商工会・商工会議所の非会員でも応募可能です。
また、商工会・商工会議所による申請前の経営計画等の「事前確認」は任意となっています。
持続化補助金のもうひとつの申請類型である〈一般型〉では、申請前の「地域の商工会・商工会議所の確認」が必須。
この点が〈低感染リスク型ビジネス枠〉と〈一般型〉の大きな違いといえます。
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の補助対象となる事業
補助金の補助対象となるのは次の事業です。
- ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行う事業
たとえば、下図のような事業が対象です。
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の補助対象となる経費
補助対象となる経費は次のとおりです。
- 機械装置等費:製造装置や移動販売車両、ITツールの購入等
- 広報費:新サービスを紹介するチラシやネット広告の作成・配布
- 展示会等出展費:展示会・商談会の出展料等(オンライン開催のものに限る)
- 開発費:新商品・システムの試作開発費等(販売商品の原材料費は対象外)
- 資料購入費:補助事業に関連する資料・図書等
- 雑役務費:補助事業のために雇用したアルバイト・派遣社員費用
- 借料:機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
- 専門家謝金:指導を受けた専門家への謝金
- 設備処分費:新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分等
- 委託費・外注費:店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須)
- 感染防止対策費:業種別ガイドラインに基づく感染防止対策(アクリル板設置等)
なお〈低感染リスク型ビジネス枠〉では特例として、「2021年1月8日以降に発生した経費」を遡って補助対象経費として申請することが可能です。
〈一般型〉では、対象となる経費は「交付決定後に発生した経費のみ」となっています。
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉はいくら支給される?補助率と補助金額
次に、小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉はいくら支給されるのか、補助率や補助金額などをご紹介します。
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の補助率と補助金額
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の補助率は、補助対象経費の3/4以内です。
そして補助金額は上限100万円となります。
第5回締切分から「賃金引上げプラン」が創設
第5回締切分からは「賃金引上げプラン」が創設され、「従業員の賃金引上げ」に積極的に取り組む事業者が優先採択されます。
ただし、賃金引上げが実施できていない場合は、原則として補助金を全額返還しなくてはなりません。
また今回「賃金引上げプラン」が創設されたことで、「賃上げ加点」が第4回締切までで終了しました。
小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉はどこに申請する?申請方法・手順
記事の最後に、小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉はどこに申請するのか、申請方法や手順などをご紹介します。
どこに申請する?〈低感染リスク型ビジネス枠〉の申請方法
補助金の申請方法は「電子申請のみ」です。
電子申請は、補助金申請システム「Jグランツ」を利用しての申請となります。
なお、Jグランツの利用には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
アカウント取得には数週間かかるため、早めに申請しておきましょう。
また第4回締切分以降は「暫定GビズIDプライムアカウント」での申請は行えませんのでご注意ください。
GビズIDプライムアカウントの取得方法は、こちらの記事でご紹介しています。
GビズIDの「gBizIDプライム」とは?必須の補助金や登録申請方法を紹介
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の申請に必要な提出書類
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の申請に必要な提出書類は次のとおりです。
全事業者
- 経営計画及び補助事業計画(様式1)
- 代表者本人が自署した「宣誓・同意書」(様式2)
いずれかの場合
①個人事業主の場合
- ア)税務署の収受日付印のある直近の「確定申告書」
- イ)所得税青色申告決算書1~4面全て(白色申告の場合は、収支内訳書1~2面)
②法人の場合
- ア)貸借対照表(直近1期分)
- イ)損益計算書(直近1期分)
③特定非営利活動法人の場合
- ア)貸借対照表及び活動計算書(直近1期分)
- イ)現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
- ウ)法人税確定申告書
補助金はいつもらえる?交付までの流れ
アカウント取得から申請、交付までの流れは以下のとおりです。
- GビズIDプライムアカウント取得
- 提出書類の準備
- 申請
- 採択・交付申請・交付決定
- 事業実施期間
- 補助事業の完了・実績報告書等の提出
- 請求・補助金の入金(交付)
- 事業効果報告
なお、補助金の申請や請求、事業効果報告まで全ての手続きは、電子申請システム「Jグランツ」上で行います。
採択審査の方法と審査の観点
補助金の採択審査は、提出した資料について公募要領の「(3)審査の観点」に基づき、有識者で構成される審査委員会において行われます。
ただし、要件を満たした申請者全員が採択されるわけではありません。
申請内容を審査し、評価が高い順に採択者が決まります。
審査は以下の2つの観点と、加点項目から行われます。
加点項目は、該当する申請に対してのみ加点されるものです。
①要件審査
- ア)公募要領の「2.補助対象者」の要件に合致する
- イ)必要な提出資料がすべて提出されている
- ウ)提出した内容に不備・記載漏れがない
②書面審査
- ア)補助事業を遂行するために必要な能力を有する
- イ)小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組である
- ウ)新型コロナウイルス感染症が事業環境に与える影響を乗り越えるため新たなビジネスやサービス・生産プロセス導入を行っている
- エ)新型コロナウイルス感染症に対して「新たなビジネスやサービス・生産プロセス導入が対人接触機会の減少に資する取組」となっている
- オ)自社の経営状況に関する分析の妥当性、経営方針・目標と今後のプランの適切性、補助事業計画の有効性、積算の適切性を有する事業計画になっている
③加点項目
- ア)緊急事態措置による影響
- イ)多店舗展開
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の採択結果はいつ発表される?
〈低感染リスク型ビジネス枠〉の採択結果は、下表のように締切日の約2ヶ月後に発表されています。
実施回 | 締切日 | 採択結果発表日 |
---|---|---|
第1回締切分 | 2021年5月12日 | 2021年7月2日 |
第2回締切分 | 2021年7月12日 | 2021年9月1日 |
第3回締切分 | 2021年9月8日 | 2021年11月2日 |
第4回締切分 | 2021年11月10日 | (2022年1月上旬予定) |
まとめ:小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の活用を
この記事では、2022年最新版の持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の制度概要や申請方法などを、徹底解説してきました。
ぜひ記事を参考に、小規模事業者持続化補助金〈低感染リスク型ビジネス枠〉の活用をご検討ください。
なお、当サイト「経営者コネクト」では、中小企業診断士によるものづくり補助金の申請サポートを行っています。
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