2021年7月2日に締め切られた事業再構築補助金の第2回公募について、9月2日に採択結果が発表されています。
第1回公募の採択率が低く、補助金事務局からさまざまな資料などが公表されたためか、第2回では採択率が向上しました。
そこでこの記事では、第2回公募の応募数や採択率、「申請要件満たさず」の応募件数といった採択結果について、第1回公募との比較も行いながらご紹介していきます。
「事業再構築補助金への申請」を検討されている経営者の方は、ぜひご覧ください。
なお、記事作成時点で実施中の第3回公募における変更点は、こちらの記事でまとめていますので、併せてご覧ください。
【事業再構築補助金】第3回公募の変更点を紹介!類型が新設され6事業類型に拡大
【第2回公募結果①】各類型の応募数と採択率
事業再構築補助金 第2回公募の応募総数は20,800件、採択率は45%でした。
各類型の応募数と採択率は下表のとおりです。
応募件数 | 採択件数 | 採択率 | |
---|---|---|---|
中小企業等 通常枠 | 14,800件 | 5,367件 | 36% |
中小企業等 特別枠 | 5,884件 | 3,919件 | 67% |
中小企業等 卒業枠 | 48件 | 24件 | 50% |
中堅企業等 通常枠 | 59件 | 21件 | 36% |
中堅企業等 特別枠 | 9件 | 5件 | 56% |
中堅企業等 V字回復枠 | 0件 | 0件 | – |
合計 | 20,800件 | 9,336件 | 45% |
「中小企業等 通常枠」が応募件数の71%、採択件数の57%と大きな割合を占めています。
第1回との比較:応募件数は減少したが採択率は上昇
次に、各類型の応募数と採択率を第1回と比較すると、下表のようになります。
第1回 応募件数 |
第2回 応募件数 |
第1回 採択件数 |
第2回 採択件数 |
第1回 採択率 |
第2回 採択率 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
中小企業等 通常枠 | 16,897件 | 14,800件 | 5,092件 | 5,367件 | 30% | 36% |
中小企業等 特別枠 | 5,167件 | 5,884件 | 2,859件 | 3,919件 | 55% | 67% |
中小企業等 卒業枠 | 80件 | 48件 | 45件 | 24件 | 56% | 50% |
中堅企業等 通常枠 | 71件 | 59件 | 12件 | 21件 | 17% | 36% |
中堅企業等 特別枠 | 14件 | 9件 | 12件 | 5件 | 50% | 56% |
中堅企業等 V字回復枠 | 2件 | 0件 | 1件 | 0件 | 50% | – |
合計 | 22,231件 | 20,800件 | 8,016件 | 9,336件 | 36% | 45% |
第2回公募の応募件数は、第1回から1,431件減少しましたが、採択率は9ポイントも上昇しました。
これは第1回公募が「新規補助金の初回公募」のため、「申請のポイント」のような情報もなく、手探り状態での申請だったと思われます。
その後、事務局からさまざまな資料が公表されたこともあり、第2回公募は比較的申請しやすくなりました。
【第2回公募結果②】申請要件を満たさない応募者数
事業再構築補助金の結果公表の特徴は、応募件数のほかに「書類不備等がなく、申請要件を満たした件数(申請件数)」も公開している点です。
そこで各類型での「申請要件を満たさない応募者数(応募件数-申請件数)」を確認すると、下表のようになります。
申請要件を満たさない応募者数(応募件数-申請件数) | 応募件数のうち、申請用件を満たさない応募者の割合 | |
---|---|---|
中小企業等 通常枠 | 1,626件 | 11.0% |
中小企業等 特別枠 | 813件 | 13.9% |
中小企業等 卒業枠 | 12件 | 25% |
中堅企業等 通常枠 | 14件 | 24% |
中堅企業等 特別枠 | 2件 | 22% |
中堅企業等 V字回復枠 | 0件 | – |
合計 | 2,467件 | 11.9% |
つまり、応募件数の1割ほどは「申請用件を満たさない」として、審査を行うことなく不採択に。
せっかく時間をかけて申請書類を作成したのに、「要件満たさず」では浮かばれません。
こちらの記事では、第1回公募での結果から「事業計画書の作成・申請のポイント」をまとめています。
ぜひ申請時の参考にして頂き、「要件満たさず」がないようにしましょう。
【事業再構築補助金 第1回公募結果を受けて】事業計画書作成・申請のポイントを解説
第1回との比較:「要件満たさず」の応募者・割合ともに減少
「申請要件を満たさない応募者数(応募件数-申請件数)」を第1回公募と比較すると、下表のようになりました。
第1回 申請要件を満たさない応募者数 |
第2回 申請要件を満たさない応募者数 |
第1回 申請用件を満たさない応募者の割合 |
第2回 申請用件を満たさない応募者の割合 |
|
---|---|---|---|---|
中小企業等 通常枠 | 2,114件 | 1,626件 | 12.5% | 11.0% |
中小企業等 特別枠 | 852件 | 813件 | 16.5% | 13.9% |
中小企業等 卒業枠 | 11件 | 12件 | 13.8% | 25% |
中堅企業等 通常枠 | 11件 | 14件 | 15.5% | 24% |
中堅企業等 特別枠 | 3件 | 2件 | 21.4% | 22% |
中堅企業等 V字回復枠 | 1件 | 0件 | 50% | – |
合計 | 2,992件 | 2,467件 | 13.5% | 11.9% |
第2回公募では「要件満たさず」の応募者は525件、割合は1.6ポイント減少。
ですがやはり1割以上の応募者は、審査前に不採択という状況です。
公募要領などを読み込み、申請を行う類型の審査要件を把握しておきましょう。
・事業再構築補助金 公式サイト:必須申請要件
・事業再構築補助金 公募要領
また現在は、補助金事務局で申請書類を確認して不備があった場合は差し戻してくれるため、再申請が可能となりました。
「早めに申請し、再申請に備える」ことも、採択に向けたひとつの作戦といえます。
【第2回公募結果③】業種別の応募・採択割合
業種別の応募・採択数は、下グラフのようになりました。
そして業種別の割合を、上位のランキングでみると次のとおり。
順位 | 応募の割合 | 採択の割合 |
---|---|---|
1位 | M.宿泊業、飲食サービス業(19.6%) | M. 宿泊業、飲食サービス業(23.8%) |
2位 | E.製造業(18.5%) | E. 製造業(23.2%) |
3位 | I.卸売業、小売業(15.4%) | I. 卸売業,小売業(14.1%) |
4位 | D.建設業(9.7%) | D. 建設業(8.1%) |
5位 | N.生活関連サービス業、娯楽業(7.4%) | N. 生活関連サービス業、娯楽業(6.8%) |
応募・採択ともに同じ業種がランクインしていますが、割合が異なります。
特に「E. 製造業」は、応募割合にくらべ採択割合が4.7ポイント上昇しました。
第1回との比較:製造業の採択割合が大きく減少
業種別の応募・採択割合を第1回公募と比較すると、下表のようになりました。
順位 | 第1回 応募の割合 |
第2回 応募の割合 |
第1回 採択の割合 |
第2回 採択の割合 |
---|---|---|---|---|
1位 | E.製造業(23.2%) | M.宿泊業、飲食サービス業(19.6%) | E. 製造業(31.7%) | M. 宿泊業、飲食サービス業(23.8%) |
2位 | M.宿泊業、飲食サービス業(18.0%) | E.製造業(18.5%) | M. 宿泊業、飲食サービス業(21.8%) | E. 製造業(23.2%) |
3位 | I.卸売業、小売業(14.9%) | I.卸売業、小売業(15.4%) | I. 卸売業,小売業(12.4%) | I. 卸売業,小売業(14.1%) |
4位 | D.建設業(8.6%) | D.建設業(9.7%) | D. 建設業(6.7%) | D. 建設業(8.1%) |
5位 | N.生活関連サービス業、娯楽業(6.7%) | N.生活関連サービス業、娯楽業(7.4%) | N. 生活関連サービス業、娯楽業(6.1%) | N. 生活関連サービス業、娯楽業(6.8%) |
変化として特に目立つのが「E. 製造業」の「採択の割合」で、第1回公募から8.5ポイントも減少。
その分、他業種の採択件割合が少しずつ上っており、全体的な採択の割合が均されたといえます。
【第2回公募結果④】都道府県別の応募・採択状況
都道府県別の応募状況は、下表のようになりました。
なお、表中の「割合」とは、平成26年経済センサスに基づき「都道府県毎の中小企業数に占める応募者の比率を算出したもの」です。
また、応募件数と割合それぞれの上位ランキングは次のとおり。
順位 | 応募件数 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 東京(3,825件) | 京都(1.03%) |
2位 | 大阪(2,185件) | 東京(0.93%) |
3位 | 愛知(1,496件) | 大阪(0.81%) |
4位 | 兵庫(952件) | 香川、滋賀(0.76%) |
5位 | 福岡(914件) | 愛知(0.72%) |
東京のほか、関西周辺が多いことがわかります。
次に都道府県別の「採択状況」は、下表のようになっています。
採択件数・採択率でもそれぞれの上位ランキングをみると、次のとおりです。
順位 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|
1位 | 東京(1,646件) | 山梨(60.5%) |
2位 | 大阪(944件) | 富山(56.7%) |
3位 | 愛知(709件) | 高知(53.5%) |
4位 | 兵庫(444件) | 京都(52.0%) |
5位 | 京都(423件) | 沖縄(51.6%) |
応募件数では5位だった福岡ですが、採択率が43.9%(24位)のため採択件数では7位でした。
第1回との比較:採択率1位のポイントが大きく上昇
都道府県別の応募件数と割合を第1回公募と比較すると、下表のようになっています。
順位 | 第1回 応募件数 |
第2回 応募件数 |
第1回 割合 |
第2回 割合 |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京(3,789件) | 東京(3,825件) | 香川(0.97%) | 京都(1.03%) |
2位 | 大阪(2,184件) | 大阪(2,185件) | 滋賀(0.94%) | 東京(0.93%) |
3位 | 愛知(1,692件) | 愛知(1,496件) | 東京(0.92%) | 大阪(0.81%) |
4位 | 兵庫(1,031件) | 兵庫(952件) | 奈良(0.88%) | 香川、滋賀(0.76%) |
5位 | 福岡(921件) | 福岡(914件) | 大阪、愛知(0.81%) | – |
応募件数を第1回公募とくらべると、東京・大阪だけが微増しましたが、ほかの県は減少しています。
そして、都道府県別の採択件数・採択率を第1回公募と比較した結果は、次のとおりです。
順位 | 第1回 採択件数 |
第2回 採択件数 |
第1回 採択率 |
第2回 採択率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京(1,205件) | 東京(1,646件) | 秋田(47.6%) | 山梨(60.5%) |
2位 | 大阪(752件) | 大阪(944件) | 岡山(47.5%) | 富山(56.7%) |
3位 | 愛知(642件) | 愛知(709件) | 高知(47.4%) | 高知(53.5%) |
4位 | 兵庫(372件) | 兵庫(444件) | 佐賀(44.2%) | 京都(52.0%) |
5位 | 福岡(326件) | 京都(423件) | 岩手(43.9%) | 沖縄(51.6%) |
第2回公募の採択件数は5つの都府県すべてで、第1回よりも増加しました。
また採択率では、山梨が前回1位の秋田から12.9ポイントと大きく上昇しています。
その秋田は第2回公募では25%となり、全国最下位の採択率となりました。
【第2回公募結果⑤】応募・採択金額の分布
応募金額・採択金額の分布は、下グラフのとおりです。
応募・採択金額それぞれの上位ランキングは、次のようになっています。
順位 | 応募金額の割合 | 採択金額の割合 |
---|---|---|
1位 | 1,501~3,000万円(23%) | 100~500万円(24%) |
2位 | 100~500万円(20%)、 4,501~6,000万円(20%) |
4,501~6,000万円(21%) |
3位 | – | 1,501~3,000万円(18%) |
4位 | 501~1,000万円(16%) | 501~1,000万円(17%) |
5位 | 1,001~1,500万円(11%) | 1,001~1,500万円(11%) |
金額「1,501~3,000万円」については、「採択金額の割合」が「応募金額の割合」よりも5ポイント減少しています。
この分布域での採択率が低かったようです。
また、応募金額別件数は下グラフのとおり。
特徴は、「500万円以下」と「6,000万円」の二極化になっている点。
また、3,000万円を超えると「金融機関の確認」が必要なためか、3,000万円をわずかに下回る申請も多くなっています。
第1回との比較:採択金額「100~500万円」が若干上昇
応募・採択金額の分布を第1回公募と比較すると、下表のようになっています。
順位 | 第1回 応募金額の割合 |
第2回 応募金額の割合 |
第1回 採択金額の割合 |
第2回 採択金額の割合 |
---|---|---|---|---|
1位 | 4,501~6,000万円(23%) | 1,501~3,000万円(23%) | 4,501~6,000万円(23%) | 100~500万円(24%) |
2位 | 1,501~3,000万円(23%) | 100~500万円(20%)、 4,501~6,000万円(20%) |
100~500万円(19%) | 4,501~6,000万円(21%) |
3位 | 100~500万円(18%) | – | 1,501~3,000万円(17%) | 1,501~3,000万円(18%) |
4位 | 501~1,000万円(15%) | 501~1,000万円(16%) | 501~1,000万円(15%) | 501~1,000万円(17%) |
5位 | 1,001~1,500万円(11%) | 1,001~1,500万円(11%) | 1,001~1,500万円(12%) | 1,001~1,500万円(11%) |
第1回公募とくらべると、採択金額の割合で「100~500万円」が+5ポイントと若干上昇。
そのほかは、ほぼ同じ割合となっています。
【第2回公募結果⑥】認定支援機関別の応募・申請・採択状況
認定支援機関別の応募・申請・採択状況は、下グラフのとおりです。
応募・採択件数・採択率それぞれを上位のランキングでみると、次のようになっています。
順位 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
1位 | 地銀(3,549件) | 地銀(1,670件) | 公益財団法人(56.1%) |
2位 | 信用金庫(3,281件) | 信用金庫(1,590件) | 商工会(50.1%) |
3位 | 税理士(2,796件) | 民間コンサルティング会社(1,038件) | 民間コンサルティング会社(48.6%) |
4位 | 税理士法人(2,263件) | 税理士(1,025件) | 信用金庫(48.5%) |
5位 | 民間コンサルティング会社(2,138件) | 税理士法人(893件) | 中小企業診断士(47.9%) |
ちなみに、採択率が最も低かったのは「税理士」で36.7%。
採択率トップの「公益財団法人」(56.1%)とは、大きく差が開きました。
第1回との比較:採択率は「公益財団法人」が変わらずトップ
認定支援機関別の応募・申請・採択状況を、第1回公募と比較すると下表のとおり。
順位 | 第1回 応募件数 |
第2回 応募件数 |
第1回 採択件数 |
第2回 採択件数 |
第1回 採択率 |
第2回 採択率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 地銀(3,903件) | 地銀(3,549件) | 地銀(1,604件) | 地銀(1,670件) | 公益財団法人(56.0%) | 公益財団法人(56.1%) |
2位 | 信用金庫(3,295件) | 信用金庫(3,281件) | 信用金庫(1,297件) | 信用金庫(1,590件) | 中小企業診断士(43.1%) | 商工会(50.1%) |
3位 | 税理士(3,163件) | 税理士(2,796件) | 民間コンサルティング会社(875件) | 民間コンサルティング会社(1,038件) | 民間コンサルティング会社(42.1%) | 民間コンサルティング会社(48.6%) |
4位 | 税理士法人(2,508件) | 税理士法人(2,263件) | 税理士(816件) | 税理士(1,025件) | 地銀(41.1%) | 信用金庫(48.5%) |
5位 | 商工会議所(2,088件) | 民間コンサルティング会社(2,138件) | 税理士法人(727件) | 税理士法人(893件) | 信用金庫(39.4%) | 中小企業診断士(47.9%) |
採択率は、第1回公募と同様「公益財団法人」がトップに。
応募件数がダントツで多い「地銀」は、採択率では47.1%と6位です。
まとめ:第2回の採択結果を活かした申請を
この記事では、第2回公募の採択結果について、第1回公募との比較も行いながらご紹介してきました。
「公募結果②」でご紹介したように、申請要件を満たさない応募者は今回も1割以上おり、大変もったいない状況です。
ぜひ記事を参考に、第2回公募の採択結果を活かした申請を行って、補助金採択を目指しましょう。
なお、経営者コネクトでは、事業再構築補助金の応募を考える企業様向けに「無料相談サービス」を行っています。
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また事業再構築補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
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