経済産業省の「DX認定制度」とは?メリットや申請方法・ポイントを解説します

経済産業省が2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を策定するなど、国を挙げてのDX推進の流れが続いています。

今回ご紹介する「DX認定制度」もそういった支援策のひとつ。

しかし「どういった取り組みをすれば認定されるのか」など、制度の詳細までは解らないという方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「DX認定制度」の基本情報や認定されるメリット、申請方法・ポイントまで解説していきます。

「自社のDX化を進めている」という経営者の方は、ぜひご覧ください。

経済産業省の「DX認定制度」とは?

まずは、「DX認定制度」の基本情報をご紹介します。

経済産業省の「DX認定制度」とは?

「DX認定制度」とは、国が策定した「情報処理システムの運用及び管理に関する指針」を踏まえ、経営ビジョンの策定・DX戦略・体制の整備などを行い、DX推進の準備が整っている(DX-Readyの状態)事業者を経済産業省が認定する制度です。

情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づき設立され、2020年5月に制度開始となりました。

ちなみに、DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」を指し、経済産業省では次のように定義しています。

●経済産業省におけるDXの定義
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”

経済産業省「DX認定制度の概要及び申請のポイントについて」より

DX認定(法認定)のレベル感は「DX-Ready」

経済産業省では、DX認定(法認定)のレベル感は「DX-Readyの状態」、つまり、「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態」と表現しています。

下図でいえば、「DX認定事業者(DX-Ready)」は下から2番めの位置づけ。

出典:経済産業省

なお、企業が「DX-Readyの状態」かどうか、つまり「認定される水準にあるか」については、後述する「8つの申請要項と認定基準」で確認されます。

上図のピラミッド最下部の「DX-Ready以前」とは、ビジョンの策定や、戦略・体制等の整備にこれから取り組む事業者です。

さらに経済産業省では、「DX認定事業者」のなかから「DX-Excellent企業」・「DX-Emerging企業」の選定を行うとしています(申請のガイダンスより)。

ただし記事作成時点では、「DX-Excellent企業」・「DX-Emerging企業」の選定やその方法などは発表されていません。

事務局はIPA(情報処理推進機構)

DX認定制度の事務局は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)です。
IPAが、各種相談・問合せ・認定審査を行います。

相談・問合せ窓口はこちらです。

  • DX認定制度事務局 相談・問合せ窓口 ikc-dxcp@ipa.go.jp
  • 窓口応対時間 10:00~18:00(土日祝日を除く平日 月曜日~金曜日)

DX認定制度の認定事業者は174社(2021年9月)

DX認定制度で経済産業省に認定された企業(認定事業者)は、2021年9月時点で174社です。

認定事業者一覧として「DX推進ポータル」ウェブサイトで公表されています。

(参考)
DX推進ポータル:DX認定制度 認定事業者一覧

DX認定制度で認定されるメリット

次に、DX認定制度で認定されるメリットをご紹介します。

[メリット1]ロゴマークを使用してのPRが可能に

1つめのメリットは、認定事業者が次のロゴマークを使用してのPRが可能になる点です。

出典:経済産業省

利用可能認定事業者一覧としてIPAのウェブサイトでも公表されるため、「DXに積極的に取り組んでいる企業」であることをPRできます。

また認定された企業では、自社サイトやPR配信サービスなどで報告を行っています。

(参考)
森ビル株式会社:経済産業省による「DX認定事業者」の認定を取得
Zホールディングス株式会社:経済産業省が定める「DX認定取得事業者」に認定
PR TIMES:経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定 株式会社ファンケル

[メリット2]税制による支援措置を受けられる

メリットの2つめは、税制による支援措置を受けられる点です。

これは後述する「デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制」を指し、クラウド技術を活用したデジタル関連投資に対して、税額控除(5%または3%)または特別償却30%を措置します。

[メリット3]中小企業者が対象の金融支援措置を受けられる

3つめのメリットは、中小企業者が対象の金融支援措置を受けられる点です。
具体的には、次のような措置があります。

日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫が、情報技術の活用の促進を図る中小企業者を支援する「IT活用促進資金」にて、DX認定を受けている中小企業者については2億7千万円まで特別利率で融資を受けることができます。

(参考)
日本政策金融公庫:IT活用促進資金

中小企業信用保険法の特例

情報処理システムの運用や、企業経営において戦略的に利用するために必要となる管理資金などについて融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険と別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

(参考)
日本政策金融公庫:中小企業信用保険制度の概要

DX認定制度の申請方法とそのポイント

次に、DX認定制度の申請方法とそのポイントを解説します。

DX認定制度の申請方法

DX認定制度の申請方法は、次のようになります。

  1. gBizIDを取得する(DX推進ポータルへのログインに必要)
  2. 申請書類のダウンロード・作成する
  3. 「DX推進ポータル」からログインし、「DX認定制度」メニューから申請する
  4. 認定後、「認定事業者一覧」へ認定申請書と共に認定事業者に掲載される

(参考)
IPA:DX認定制度 Web申請受付開始のご案内
DX推進ポータル

申請の流れは下図のようになり、IPAが審査や問い合わせ対応を行います。
IPAでの審査後、経済産業省にて認定されます。

出典:経済産業省

以降では申請のポイントをご紹介します。

[ポイント1]申請対象者は全ての事業者

DX認定制度の申請対象者は、全ての事業者です。

法人のほかに個人事業者も対象。
さらに法人は会社だけではなく、公益法人なども含まれます。

また、申請手続き・認定時・認定の維持に費用は発生しません。

[ポイント2]8つの申請要項と認定基準(デジタルガバナンス・コード)

申請要項は次の8つで、それぞれの認定基準(デジタルガバナンス・コード)が設けられています。

申請要項 認定基準(デジタルガバナンス・コード)
(1) 企業経営の方向性及び情報処理技術の活用の方向性の決定 デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョンおよびビジネスモデルの方向性を公表していること
(2) 企業経営及び情報処理技術の活用の具体的な方策(戦略)の決定 デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえて設計したビジネスモデルを実現するための方策として、デジタル技術を活用する戦略を公表していること
 (2) ① 戦略を効果的に進めるための体制の提示 デジタル技術を活用する戦略において、特に、戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を示していること
 (2) ② 最新の情報処理技術を活用するための環境整備の具体的方策の提示 デジタル技術を活用する戦略において、特に、ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けた方策を示していること
(3) 戦略の達成状況に係る指標の決定 デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標について公表していること
(4) 実務執行総括責任者による効果的な戦略の推進などを図るために必要な情報発信 経営ビジョンやデジタル技術を活用する戦略について、経営者が自ら対外的にメッセージの発信を行っていること
(5) 実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握 経営者のリーダーシップの下で、デジタル技術に係る動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題の把握を行っていること
(6) サイバーセキュリティに関する対策の的確な策定および実施 戦略の実施の前提となるサイバーセキュリティ対策を推進していること

各項目を証明する文書名や公表日などを、「認定申請書」と「申請チェックシート」それぞれに記載して申請します。

デジタルガバナンス・コードとは?

デジタルガバナンス・コードとは、経営者に求められる「企業価値向上に向け実践すべき事柄」です。

前述した「DX-Readyの状態」をデジタルガバナンス・コードとの関係性と共に説明すると、次のようになります。

DX-Readyとは、「経営者が、デジタル技術を用いたデータ活用によって自社をどのように変革させるかを明確にし(1)、実現に向けた戦略をつくる(2)とともに、企業全体として、必要となる組織や人材を明らかにした上で(2.1)、ITシステムの整備に向けた方策を示し(2.2)、さらには戦略推進状況を管理する(3,4)準備ができている状態」を意味する。
※( )内の数字は、デジタルガバナンス・コードの項番

IPA「申請のガイダンス」より

(参考)
経済産業省:デジタルガバナンス・コード

[ポイント3]申請書類と添付書類

原則として、申請書類は次の2点です。

そして、前項でご紹介した「8つの申請要項」を証明するための添付資料が必要。

添付資料について詳しくは、「申請のガイダンス」の31~59ページをご覧ください。

[ポイント4]申請期間は通年

申請期間は通年となっており、一年間を通していつでも申請が可能です。

[ポイント5]申請にはGビズIDが必要

Web申請を行う「DX推進ポータル」を利用するには、GビズIDの取得が必要になります。

こちらの記事を参考に、GビズIDを取得してください。

GビズIDの「gBizIDプライム」とは?必須の補助金や登録申請方法を紹介

 

[ポイント6]審査期間は60日

IPAへの申請から、認定結果の通知までの審査期間(標準処理期間)は60日です。
認定結果は、IPAから各申請者に通知されます。

ただし、申請の途中で申請者が申請内容を変更する場合には、別途期間が必要です。

[ポイント7]認定の有効期間は2年間

認定の有効期間は2年間です。

DX認定の更新を受けるときは、認定から2年を経過する日の60日前までに、認定更新申請書を提出する必要があります。

(参考)
IPA:認定更新申請書 様式第17(第42条関係 認定更新申請書)

DX関連におけるその他の支援政策

記事の最後に、DX認定制度以外のDX関連における支援政策をご紹介します。

DX銘柄(攻めのIT経営銘柄)

「DX銘柄」とは、ビジネスモデルを抜本的に変革し、新たな成長や競争力強化につながる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業を、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する制度です。

選定された企業は、経済産業省のウェブサイトなどで公表されます。

(参考)
経済産業省:DXグランプリ2021・DX銘柄2021 選定企業

「DX銘柄」「攻めのIT経営銘柄」ロゴマーク
出典:経済産業省

2015年に、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業を選定する「攻めのIT経営銘柄」として制度開始。

2020年からは、デジタル技術を前提としてDXに取り組む企業を選定する「DX銘柄」に変更となりました。

なお「DX銘柄」に選定されるためには、今回の記事でご紹介している「DX認定制度」での認定が必要です。

(参考)
経済産業省:DX銘柄/攻めのIT経営銘柄

デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制

「デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制」とは、全社レベルでDXに向け作成し、主務大臣に認定された事業適応計画に基づき、クラウド技術を活用したデジタル関連投資に対して、税額控除(5%または3%)または特別償却30%を措置する制度です。

2年間の時限措置であり、令和4年度(2022年度)末まで適用されます。
主務大臣から認定されるためには、次の要件をどちらも満たすことが必要。

  • デジタル(D)要件
  • 企業変革(X)要件

そして「デジタル(D)要件」のひとつに「DX認定を受けていること」があります。

(参考)
財務省:3 法人課税
経済産業省:Question(DX投資促進税制)

まとめ:DX認定制度の申請検討を

この記事では、「DX認定制度」の基本情報や認定されるメリット、申請方法・ポイントまで解説してきました。

DXへの取り組みは、今後の企業活動には欠かせません。
自社のDX化を進めているなら、ぜひ今回の記事を参考に、DX認定制度の申請も検討してみてください。

なお、「デジタル化を進めたい中小企業」を応援するために設けられた「中小企業デジタル化応援隊事業」という制度もあります。

「ITを活用をしたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」というときは、こちらの記事をご覧ください。

【経営者向け】中小企業デジタル化応援隊事業とは?利用方法や事例も紹介【第Ⅱ期 新規登録申請開始】