公認会計士・税理士
株式会社みんなのコンサルティング 代表取締役
足立和也さん インタビュー
学生時代から勤めた大手監査法人を2020年秋に独立し、「株式会社みんなのコンサルティング」を立ち上げられた足立和也さん。
中小企業のM&A・事業承継支援をはじめ「上流から下流まで一気通貫し、徹底的に経営に寄りそう支援」を目指して独立されました。
経営を支援する仕事を目指したきっかけや醍醐味、企業や社会に提供していきたいサービスについて、お話を伺います。
足立和也さん 経歴
大阪大学経済学部卒業後、あずさ監査法人に入所。入所後、製造業をはじめ、グローバル展開を行っている上場企業への監査業務(金融商品取引法監査、内部統制監査、会社法監査等)に従事する。その後、同所にて、M&Aアドバイザリー業務(デューデリジェンス、戦略策定支援、統合後支援、セルサイドアシスタンス等)に従事した。
現在は、株式会社みんなのコンサルティング代表取締役として、「財務の力で、みんなの未来をカタチに」し、地方を起点とした日本経済の活性化を実現するため、これまでの経験・ノウハウを活かし、地方におけるM&A・事業承継支援を行っている。
独立を意識しながら大手監査法人でキャリアをスタート
足立さんはどのようなきっかけで公認会計士になりましたか。
「公認会計士」という職業を知ったのは高校3年生のときです。職業一覧が載った本を読んでいて、公認会計士について「こんな人が向いています」という欄に「お金が好き・数字が好き」と書いてあって。「あ、これは自分に向いているんだな。」と感じました。
その後大学に入り、サッカーがやりたい一心で入ったサッカー部がザ・体育会系で、ものすごくきつかったんです。大学1年の夏に「これはどうしてもやめたい。。。」と思いまして。変わりに打ち込むものとして、公認会計士の勉強を始めました。大学3年の冬に試験合格し、学生時代から非常勤であずさ監査法人(KPMGジャパン)で働き始めましたが、サッカー部がきつくなかったら、学生時代の資格取得はしていなかったかもしれませんね(笑)。
もともと早いうちに独立したいと思われていましたか。
はい。なんとなくですが、「ひとりで稼いでなんぼ」という意識はありましたね。父親は会社員なので特に家庭環境によるものではないです。父には生意気にも「サラリーマンがなんだ」なんて言っていましたね、反省しています。笑
そうするとあずさ監査法人では独立を意識した業務に当たられていたんですか。
いえ、アドバイザリー(監査法人におけるコンサルティング職)業務にも興味はありましたが、大手監査法人に就職すると、たいていまずは監査事業部に配属されます。もちろん私もです。
監査事業部では約7-8年にわたり、特に、グローバル展開されている大手上場企業への監査業務に従事しました。
その後、念願のアドバイザリー部門に異動となり、今の独立の基礎となるM&A・事業承継業務に従事し、貴重な経験をさせていただきました。
目の前の人に「ありがとう」と言われる仕事がしたい
監査法人のお仕事で特に遣り甲斐を感じたのはどんな時ですか。
DD(デューデリジェンス・投資先や投資候補先の価値・リスクの調査)で担当した仕事はすごく面白かったですね。
ある大手製造業の子会社から、仕入先の経営者高齢化に伴い、その仕入先をM&Aすべきか検討したいとの依頼があり、DDを行ったんです。
積極派だったのは調達部門で「仕入先の金型のクオリティを考えると、企業買収すれば事業の横展開もできる」と主張していました。一方、経理部門は慎重派で「調達の言い分もわかるが、企業の高齢化・機材の老朽化など懸念も多い」とのことで、私の部門に相談がありました。
ちなみに買収を検討していた会社は赤字でした。会計士は立場上「M&Aを進めるべき」「進めないべき」といった経営の意思決定に踏み込んだことまでは言わないのが通例ですが、調査を重ねた結果を説明しながら、あくまで口頭で「仕入先に本当に技術力があるなら黒字化できているはずです。M&Aを進めるべきではないと思う。」と個人的に自らの考えも合わせてお伝えしました。
結果的にこの企業は仕入先の買収を見送り、経理部門からはもちろん、調達部門からも「我々が勇み足だったことが分かった。有難う」と言ってもらえました。
足立さんはこのお仕事のどこで、特に遣り甲斐を感じたのでしょう。
ひとつは、「ありがとう」と目の前のお客様に言ってもらえたことですね。監査の仕事は、もちろん企業にとって必要なことですが、目の前の担当者に対しては指摘をしていく業務という面があるので「ありがとう」とはまず言われないです。目の前の人が喜んでいるのが、純粋に嬉しかったですね。
もうひとつは、企業の経営判断に直接的に関われた感触があったことです。DDにも色々な規模のプロジェクトがあり、大きいプロジェクトほど一部分の工程のみを担当することになりがちです。大手の監査法人だと一部分にしか関われないことも多いなか、この件は「買収か否か」という判断に対し、全体的に関われたという感覚がありました。
これを体験してみて「もっと上流から下流まで、企業全体の意思決定にかかわりたい」という気持ちがさらに膨らみ、独立もより具体的に考えるようになりましたね。
「すべての企業がM&Aを事業・経営に生かせる」ためのサポートを
設立された「株式会社みんなのコンサルティング」ではどのような企業支援を行うのですか。
M&Aって、多くの中小企業にとっては、まだまだ良いイメージではないと思うんです。「ハゲタカ」ではないですが、一部の人のお金儲けに会社が利用されてしまう、という悪い印象をもっている方も多い。これは中小企業の経営者の方に正しい情報が入ってきにくいことに大きな原因があると思っています。
こういった状況を変えていって、すべての企業がM&Aを、企業が事業を継続したり経営計画を検討する際の戦略オプションとして、どんどん活かすようになるような、そんな流れをサポートしていきたいと考えています。
買い手・売り手関係なく、そのどちらも支援していきたいですね。
そのためには今後より積極的にM&Aに関心がある企業やその関連事業者とのネットワークを広げることが大切だと思っています。
例えば、まだ完全に構想段階ですが、企業の営業畑で活躍されてきた50-60代の方たちに助けていただき、今まで培われてこられた人脈・ネットワークを活用させていただき、地方のM&A・事業承継の推進に貢献できないか、なんてことも考えています。
また、「株式会社みんなのコンサルティング」には共同創業者がいまして、彼はベンチャーのIPO支援の専門家です。ですからM&Aや監査・税務だけではなく、ベンチャーの上場支援にも取り組んでいきたいですね。
大手企業による上場支援はどうしても、レイターステージの上場が近い企業の支援中心になりますが、私たちの会社では、よりアーリーな段階の企業に対しても、上場や資金調達のサポートをしていければと思っています。
この記事を読んでいる中小企業経営者の方に向けて、メッセージをお願いします。
確かに、M&A・事業承継は繊細な課題であり、なかなか口外するものではないと思いますが、まずはお気軽に相談していただきたいです。
監査法人出身というと固い印象を持たれますが、私は色々な方々のお話を伺うことが大好きですし、お酒もよく飲みます。
まだ33歳と若輩者ですので、口だけではなく手もどんどん動かしますし、経営者のお悩みに伴走して、必要な時には寝る間も惜しんでご支援します。
事業承継やM&Aは、やるなら経営者が元気なうちが絶対にいいです。M&Aについて詳しくなくても、何から相談すべきかよくわからなくても全く問題ありませんので、ぜひ気軽な相談相手としてお声かけいただきたいです。
専門家 / パートナー