後継者人材バンクとは?起業家(買い手)・経営者(売り手)それぞれのメリット・デメリットを紹介!

全国的に中小企業の後継者不足が問題になっています。
売上があり、販路もしっかりとした基盤があるのにも関わらず、廃業を選ぶ経営者も少なくはありません。

しかし、「後継者人材バンク」を利用すれば、経営者(売り手)から起業家(買い手)へ事業を譲り、経営者が育てた大切な会社を上手く承継できる可能性があります。

この記事では後継者人材バンクを活用する流れ、利用するメリット・デメリットを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

後継者人材バンクとは

事業引継ぎ支援センターは全国・各都道府県に47ヶ所にある公的機関です。
全国にある事業引継ぎ支援センターでは年間 11,000件以上の事業承継に関する相談の問い合わせがあるそうです。

2015年12月に行われた中小企業庁委託、帝国データバンクの「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」によると、経営者の平均年齢は66歳になっており、今後10年間で一気に事業承継をする企業が増えると予想できます。

また、2019年の東京商工リサーチの調査によると、後継者が決まっていない「後継者不足率」は55.6%でした。

後継者に悩んでいる経営者の年代は、60代が40.9%、70代が29.3%、80代が23.8%で、代表者の高齢化が後継者難に拍車をかけているということもわかります。
また2018年の「休廃業・解散」企業数は過去最多の4万6,724社を記録しており、中小企業の後継者不足による事業承継問題は深刻といえます。

さらに、2015年12月に行われた中小企業庁委託、みずほ総合研究所の「中小企業の資金調達に関する調査」によると後継者となる人材が以前と比べて大きく変わっていることがわかりました。

従来は経営者の子ども・子ども以外の親族への引継ぎが90%を超えていましたが、昨今では40%以下に激減しています。
親族以外の従業員へ承継するケースもありますが、社外の第3者へ承継するケースも26.4%と大きな割合を占めるようになってきています。

このような背景もあり、事業引継ぎ支援センターでは、事業引継ぎの可能性を拡大・強化するため、2014年より「後継者人材バンク」を設置しました。
後継者人材バンクには、上述した後継者問題による廃業問題を減らしたいという国の希望が込められています。

後継者人材バンクでは、創業を予定している個人起業家が既存の事業を承継できるようにするため若手個人起業家の登録を募集しています。
今後起業を目指す人と、後継者不在で困っている中小企業とをマッチングすることで、「創業の実現」と「事業の継続」の両方を支援することが目的となっており、起業家の登録・経営者の相談は無料で行うことができます。

後継者がおらず事業についてどうしようか迷っている経営者の方は、一度後継者人材バンクに相談してみると、新たな事業承継の方法が見えてくるかもしれません。

参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構、東京商工リサーチ

経営者(売り手)の後継者人材バンクを利用について

経営者(売り手)として、後継者人材バンクを利用する場合の流れ

経営者が後継者人材バンクに登録したい場合は、まず後継者人材バンクの窓口に出向き担当者からのヒアリングを受けます。
事前に電話やホームページ上の問い合わせフォームから連絡し、実際に窓口に出向く日程を決める流れです。

話をスムーズに進めるために過去3期分の決算書・会社概要・商品やサービス内容がわかる資料を持参することをおすすめします。

まずはノンネーム(企業名を明らかにしない状態)で後継者人材バンクの登録している起業家の検索を行い、興味を持った場合に秘密保持契約を結んだ上で起業家と実際に面談してマッチングを行います。

そして経営者・起業家の両方が合意する場合は基本合意書を締結して、デューデリジェンスでより詳細のリスク調査を行い、最終的な条件を最終合意(株式譲渡契約)でクロージングです。

後継者人材バンクはあくまで中立的な立場でのサポートで、条件のすり合わせなどは経営者・起業家の当事者間で行います。
具体的なアドバイザリーは、別途専門家に依頼するケースがほとんどです。

経営者(売り手)として、後継者を利用するメリット・デメリット

経営者にとっては、代々引き継いできた会社や自身が育てた会社を後継者不足などの理由により手放すのは一大決心です。

しかし、事業承継について後回しにしていると、突然の死亡、後継者になってくれると思い込んでいた子どもの後継ぎ拒否、高齢による判断の鈍りなどさまざまな問題が出てくるでしょう。

このような問題に経営者自身、家族、従業員が巻き込まれないためにもなるべく早めに事業承継の準備をする必要があるといえます。

後継者人材バンクを活用すれば、熱意ある起業家に出会い、自身の事業を任すことができる可能性があります。
大切な会社を次世代に承継できるのは経営者にとってメリットです。

また、後継者がいないからといって廃業にしてしまうとまだ働く必要のある従業員の雇用を無くすことになります。
自身の会社に一生懸命尽くしてくれた従業員やその家族に不安な思いをさせたくないと考える経営者がほとんどでしょう。

長く付き合いがある取引先も取引が無くなれば業績が縮小してしまう可能性があります。

後継者人材バンクを活用して、事業を承継してもらえることが決まれば、従業員の雇用や取引先との取引も守られる可能性が高くなります。

さらに、M&Aをアドバイザーや仲介にM&Aを依頼すると多額の手数料がかかります。

後継者人材バンクは相談が無料なので、資金に余裕がない場合にも気軽に相談できるのもメリットです。

しかし、内部の事情がわかる親族に受け継ぐのとは異なり、経営者の想いを理解してもらうのに時間がかかったり、取り決めも細かくしていく必要があったり、その面倒さがデメリットと感じる場合もあるかもしれません。

後継者人材バンクとは

経営者(売り手)の後継者人材バンクを利用について

起業家が後継者人材バンクに登録したい場合には、まず後継者人材バンクの窓口に出向き担当者からのヒアリングを受ける必要があります。
事前に電話やホームページ上の問い合わせフォームから連絡し、実際に窓口に出向く日程を決めます。
登録に必要な書類は各後継者人材バンクにより異なるので、ご自身が相談したい窓口のホームページにて確認するようにしてください。

後継者人材バンクの守秘義務の規約に同意し、登録することにより利用を始められます。
守秘義務については必ず守らなくてはいけません。

経営者が引退しようとしている情報を知ったとして、その情報が漏れればその企業の従業員・取引先に混乱が生じ、健全な経営ができなくなる可能性があるからです。

そのため、起業家は守秘義務により後継者人材バンクにより知り得た情報を絶対に漏らしてはいけませんし、漏らした場合には損害賠償請求を受ける可能性があります。

起業家(買い手)として、後継者人材バンクに登録するメリット

起業家としてメリットは、既に販路がある事業を承継することで販売先(顧客)や仕入先、店舗等の経営資源や知名度を引き継げることが一番でしょう。
販路がない状態で起業すれば、軌道に乗る前はコストだけがかさみ経営がどんどん苦しくなるというケースもあります。

その点、事業承継ならば知名度があり、販路がしっかり確立している状態からスタートできるので、創業時のリスクを低く抑えることに期待できます。

また、起業や商売のノウハウを知らなくても事業に精通した経営者のアドバイスを受けられるのも大きなメリットです。

通常、何も知識がないところから起業する場合、起業サポートやメンターに有料で相談しながら準備することがほとんどだと思います。
そのような方が必ずしも起業家が挑戦しようとしている業界の事情を知り、正しいアドバイスができるとは限りません。

一方で、自らの事業経験から業界に対する情報を持っている経営者の生の声を聞きながら起業準備ができるのは、これから挑戦しようとしている事業の具体的な知識を得られるなどメリットが大きいのではないでしょうか。

起業家(買い手)の後継者人材バンク利用について

後継者人材バンクを利用するデメリットとしては、ゼロから起業をすることに比べると、前の経営者のノウハウを引き継ぐ必要があり、経営の自由度は低くなります。

自分の思い描く事業を自由にしたいという場合には後継者人材バンクの利用は向かないかもしれません。

また、後継者人材バンクは中小企業に対する調査を行っていないので、起業家自らが調査を行うか、専門の業者に依頼する必要があります。

後継者人材バンクに登録しているすべての中小企業が優良という訳ではないので、面談を重ねるなど慎重に精査する必要があるといえるでしょう。

さらに、金融機関からの融資を受けている場合には個人保証債務の引継ぎが必要となる場合もあります。

まとめ

経営者の高齢化・経営者不足により、中小企業の事業承継問題は深刻化しています。
国としても廃業数を減らすために「後継者人材バンク」を設置し、後継者を探す経営者とこれから企業を目指す起業家とのマッチングをしています。

経営者としては、大切な会社を廃業させずに引き継ぐことができるメリットがありますし、起業家としても一から販路を作るよりも信頼できる取引先を引き継ぐことで創業直後に経営難になるリスクを減らすことができるでしょう。

しかし、親族など内部事情がわかる人材に譲渡するのとは異なり、事業について説明したり、細かい条件をすり合わせたりする必要があります。

M&Aアドバイザーや仲介会社に依頼すると手数料がかかりますが、公的機関の後継者人材バンクの場合は登録料や相談料はかかりません。
ただし、企業の調査は自分の力で行うか、専門の機関に依頼する必要があります。

メリット・デメリットがありますが、公的機関ということもありM&Aアドバイザーや仲介会社に依頼するよりは気軽に利用できるのではないでしょうか。

後継者問題に悩んでいる経営者の方は一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。

起業家(買い手)として、後継者人材バンクに登録する方法

事業承継・M&Aについて不明点があれば、契約書作成やM&Aについて知識のある専門家に相談すれば安心です。

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