事業引継ぎ支援センターとは?利用のメリットや必要な費用を紹介!

事業引継ぎ支援センターとは

事業引継ぎ支援センターとは、事業の引き継ぎについての相談から、引き継ぎ先とのマッチングに至るまでの様々なサポートをする機関のことです。

中小企業や小規模事業者から、平成30年度で36,000件を超える相談件数を誇っています。

事業の引き継ぎについては士業などの専門家やM&A仲介会社といった民間の相談先もありますが、具体的にどこに相談に行くべきかがわからない人には支援センターが利用しやすいでしょう。

また、M&Aを実施するときのセカンドオピニオンとしても支援センターは頼れます。

相談に乗ってくれるのは中小企業診断士や税理士、公認会計士、金融機関出身者といった事業の引き継ぎについて詳しい専門家なので、安心して相談できるでしょう。

漠然と事業の引き継ぎについて悩み始めた人から、できるだけ早くM&Aなどの手段で引き継ぎを完了させたい人まで、幅広い人が相談できる機関です。

機関名 事業引継ぎ支援センター
URL https://shoukei.smrj.go.jp/
電話番号 03-5470-1595
所在地 各47都道府県
運営元 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
事業承継・再生支援部

この記事では、支援センターの概要から利用のメリット、注意点などをご紹介します。

事業引継ぎについてお悩みの人は、ぜひ相談先選びの参考にしてください。

支援センターが多くの経営者に頼られている背景

赤字

出典:事業引継ぎの課題|事業引継ぎポータルサイト

支援センターが多くの人に頼られている背景には、後継者がいないことによる廃業件数の多さがあります。

1年間で約7万もの会社が、後継者がいないことで廃業を選んでいるのが日本の現状です。

廃業と聞くと赤字のイメージがあるかもしれませんが、実は5割の会社が廃業時にも経常黒字となっています。

黒字経営であるにもかかわらず、適切な相談先が見つからなかったことで廃業に追い込まれているケースもあるのです。

赤字の会社も黒字の会社も、早めに相談することで事業を引き継いで残せる可能性は十分にあります。

事業を引き継ぐための相談先にお悩みなら、まずは公的な機関として相談しやすい支援センターを頼るのも良いでしょう。

事業引継ぎ支援センターと仲介会社との違い

事業引継ぎ支援センターの利用を検討する方にとって、民間のM&A仲介会社との違いが気になることも多いはずです。

両者の最大の違いは、支援センターであれば様々な事業引き継ぎのアプローチの中から最適な方法を選べるということです。

M&A以外の方法も視野に入れた上で相談したいなら、まずは事業引継ぎ支援センターに相談してみましょう。

また、すでに民間のM&A仲介会社に相談し始めている人も、支援センターにセカンドオピニオンを依頼することができます。

納得した方法で事業を引き継げるように、まだ引き継ぎの方法に悩んでいるなら支援センターにも相談してみるのがおすすめできます。

支援センターを利用して早めに事業引継ぎについて考えるべき理由

支援センターなどの相談窓口を活用して、事業の引き継ぎについては早めに考え始めておくべきでしょう。

事業の引き継ぎについては、経営者によって様々な考え方があります。
「息子に事業を引き継いでもらいたい」「従業員を後継者として育成したい」など、いろいろな考えがあるでしょう。

一方で、後継者の育成には一般的には3年以上は必要と言われています。

以下は後継者の育成期間について、どれくらいの期間が必要になるのかを中規模企業と小規模事業者に聞いた結果です。

後継者の育成期間

出典:事業引継ぎの課題|事業引継ぎポータルサイト

場合によっては、5年以上や10年以上もの後継者育成期間が必要となることも珍しくはありません

ですので、引き継ぎについてプランを具体的に決めて、すでに行動に移していなければイメージ通りの引き継ぎには間に合わない可能性も高いのです。

実際の事業引き継ぎに必要な期間はケースによって大きく異なります。

まずは専門家に相談しながら、今後の事業についての方向性を考えていくのが良いでしょう。

事業を引き継いで廃業を避けるのが良い4つの理由

事業を引き継げそうな後継者がいないし、廃業しても問題ないだろうとお考えの経営者も少なくはありません。

しかし、廃業することによって例えば以下のようなデメリットが生じますので、慎重に検討し、できれば事業を引き継いで残すことも視野に入れていきましょう。

  1. 従業員の雇用がなくなってしまう
  2. 取引先との関係が断絶してしまう
  3. 廃業費用が発生して負債が残ってしまう
  4. 廃業したのに個人保証が残ってしまう

専門家に相談して手続きをサポートしてもらえば、スムーズに事業の引き継ぎができることも珍しくありません。
自分の相談しやすい専門家を見つけて、廃業を決意する前に事業の引き継ぎについて一度考えてみましょう。

事業引継ぎ支援センターを利用するメリット

事業引継ぎ支援センターを使うことで、多くのメリットを享受することができます。
例えば以下のようなものです。

  1. 無料で窓口相談を受けられる
  2. 状況に応じた専門家に相談できる
  3. 希望に合ったアプローチでバックアップしてもらえる
  4. マッチング支援のデータベースも利用可能

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

無料で窓口相談を受けられる

事業引継ぎ支援センターを利用すれば、無料で窓口相談を受けることができます

無料での相談となると、相談相手の質が低いのではないかと不安になるかもしれません。

しかし、支援センターには経験豊富な専門家が常駐しているので安心して相談でき、事業の引き継ぎについての課題が明確になるはずです。

費用をかけずに今後の方向性を定めることができるのは、非常に大きなメリットだと言えます。

状況に応じた専門家に相談できる

事業引継ぎ支援センターには、様々な専門家が在籍しています。

在籍しているのは、中小企業診断士や税理士、公認会計士、金融機関出身者といった専門知識が豊富な人ばかりです。

状況に応じた専門家に相談すれば、あなたの事業引き継ぎについてのお悩みも解決しやすくなります。

累計件数

出典:支援内容|事業引継ぎポータルサイト

平成30年度で相談件数は累計36,991件、事業引継ぎ件数は累計2,401件です。

あなたが悩んでいるような問題点や課題を過去に解決してきている可能性も高いので、安心して相談できるでしょう。

いきなり士業の事務所に足を運ぶほど相談内容が明確になっていないというケースでも、支援センターは活用できます。

希望に合ったアプローチでバックアップしてもらえる

豊富なアプローチ

出典:支援内容|事業引継ぎポータルサイト

事業引継ぎ支援センターに相談すれば、希望に合ったアプローチでバックアップしてもらえます。

民間の業者に相談したとき、手数料欲しさに強引にM&Aによる事業の引き継ぎだけを押し進められるというケースもゼロではありません。

しかし、支援センターであれば、相談者の意思を尊重しながら幅広いアプローチから最善の方法を考えてもらえます。

民間業者や金融機関に任せた方が良いケースなら紹介してもらえますし、譲渡先候補がすでにいるなら譲渡条件のすり合わせに協力してもらえるでしょう。

また、後継者を見つけて事業を引き継ぎたいなら、起業を希望する人材とのマッチングもサポートしてもらえます。

支援センターは、数多くの専門家や、商工会議所、民間のM&A仲介業者、金融機関、後継者バンクなどといった幅広い機関と連携しているのが強みです。

マッチング支援のデータベースも利用可能

事業引継ぎ支援センターには、引き継ぎ先とのマッチングを支援するデータベースもあります。

M&Aによる第三者承継も、近年の事業引き継ぎではよく選ばれる手法です。

中小企業庁・中小企業基盤整備機構は、第三者承継をより行いやすくするために、全国にある支援センターに寄せられた相談情報をデータベース化しました。

さらには、民間の金融機関や、民間のM&A仲介会社が保有している引き継ぎ希望の案件情報もデータベースに掲載を進めています。

支援の流れ

出典:事業引継ぎ支援センターによる第三者承継(M&A)に係るマッチング支援データベースの拡充を行います (METI/経済産業省)

事業引継ぎ支援センターの実績例

今までに事業引継ぎ支援センターがどのような実績を残してきたのかが気になる人は、「事業引継ぎ支援事例|事業引継ぎポータルサイト」で見ることができます。

過去の事例を確認することで、自分が事業を引き継ぐときの参考にすることもできるので一度見てみてはいかがでしょうか。

2020年8月現在掲載されているのは、以下の事業の引き継ぎ事例です。

  • 「さいたま給食株式会社」の事例
  • 「ストアー菊竹」の事例
  • 「雲仙湯元ホテル」の事例
  • 「高和製作所」の事例
  • 「(有)大基通信システム」の事例
  • 「株式会社恵比須堂」の事例
  • 「株式会社ヨネザワ」の事例
  • 「清滝養鱒場」の事例

他にも支援センターは過去に2,400件以上の引き継ぎをバックアップしてきています。

あなたと類似する業種や状況の事例も過去にあった可能性は高いので、窓口相談の際に聞いてみてください。

事業引継ぎ支援センターを利用する際の注意点

事業引継ぎ支援センターを利用する際の注意点としては、支援の内容によっては有料になることです。

例えば、支援センターに登録している民間支援機関と連携したサポートを受ける場合は、費用がかかります
具体的な費用の金額は、利用する民間支援機関や、サポート内容によって異なるので事前に確認しておきましょう。

また、士業などの専門家を活用して事業の引き継ぎを進めていく場合も、専門家に依頼する内容によっては費用が発生します
信頼できる専門家は依頼前に詳細な見積書を作成してくれるので、予想外に後から料金を請求されるということはないはずです。

不安であれば、事業の引き継ぎにかけられる予算を事前に無料相談の段階で伝えておくことをおすすめします。

事業引継ぎ支援センターの場所の調べ方

事業引継ぎ支援センターは、47都道府県に設置されています。

最寄りの支援センターの場所を調べる際は、「事業引継ぎ支援センター一覧|事業引継ぎポータルサイト」のページを利用しましょう。
自分の利用したい都道府県を選択すれば、支援センターについての詳細な情報が出てきます。

所在地や電話番号、ウェブサイトのURL、在籍スタッフが見れるので、まずは自分の利用する支援センターを見てみてください。

事業引継ぎ・M&Aの相談先をお探しなら

事業の引き継ぎについては、複雑な判断・手続きが多いため、信頼できる専門家に相談するのが安心です。

事業引継ぎの相談先をお探しのときは、『経営者コネクト』にご相談いただければ事業の引き継ぎ経験が豊富な専門家がアドバイスいたします。

事業引き継ぎセンターとの併用や、セカンドオピニオンとしての活用もいただけます。

また事業引き継ぎ前の企業価値の見直しやマーケット調査、事業承継の際のスケジュール策定などもサポートいたします。

気になる方は、『お問い合わせフォーム』よりご連絡いただければ、無料でご相談をお受けいたしますのでお気軽にお問い合わせください。