2021年9月21日に、第3回公募が締め切られた事業再構築補助金。
採択された事業者が、次に行うべき手続きが「交付申請」です。
この「交付申請」にもやはりさまざまなルールがあり、不備があると差し戻しとなり、補助事業実施期間が短くなってしまいます。
そこでこの記事では、事業再構築補助金の「交付申請」の注意点をまとめて解説していきます。
「交付申請を問題なく済ませたい」という経営者の方は、ぜひご覧ください。
- 1 事業再構築補助金の「交付申請」とは?
- 2 事業再構築補助金「交付申請」の注意点
- 2.1 [注意点1]提出書類の「必須書類」の不備事項に気をつける
- 2.2 [注意点2]提出書類の「該当事業者のみ必須書類」に該当する場合を確認する
- 2.3 [注意点3]自社に適した「交付申請書別紙1」を使用する
- 2.4 [注意点4]「経費明細表」のルールを確認する
- 2.5 [注意点5]「本事業により取得する主な資産」のルールを確認する
- 2.6 [注意点6]「売上高減少要件」の金額は応募書類と一致させる
- 2.7 [注意点7]「基準年度」のルールを確認する
- 2.8 [注意点8]「見積書」のルールを確認する
- 2.9 [注意点9]不備があった場合に新規で申請をしない
- 2.10 [注意点10]契約・発注は交付決定後に行う
- 2.11 [注意点11]交付申請の期限はないが早めに申請する
- 2.12 [注意点12]暫定プライムアカウントは使用できないので「通常のアカウント」を取得する
- 3 まとめ:注意点を把握して不備のない交付申請を
事業再構築補助金の「交付申請」とは?
まずは、事業再構築補助金の「交付申請」の基本情報をご紹介します。
事業再構築補助金の「交付申請」とは?
事業再構築補助金の「交付申請」とは、採択決定後に事業者が経費等の内容を申請書にまとめ、事務局に申請するものです。
「交付申請」を受け、事務局では”補助対象経費として適切なものであるかどうか”の精査を行います。
補助金事業全体の流れから見ると、下図の④です。
申請内容に問題がなければ「交付決定」で、補助事業実施期間が開始されます。
「交付申請」の提出書類と申請方法
「交付申請」の提出書類は以下のとおりです。
(1)必須書類(全ての補助事業者)
①交付申請書別紙1
②履歴事項全部証明書(法人の場合)・確定申告書(個人事業主の場合)
・履歴事項全部証明書
・直近の確定申告書(第1表)
③決算書(法人の場合)・青色申告書/白色申告書(個人事業主の場合)
・決算書(直近の確定したもの)
・青色申告書/白色申告書
④見積書
⑤建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
(2)該当事業者のみ必須書類
①交付申請書別紙2
②海外旅費の詳細
なお、提出時期は「採択公表後~補助事業開始前」とされており、申請方法は「Jグランツでの電子申請のみ」となります。
事業再構築補助金「交付申請」の注意点
「交付申請」の内容に不備があると、事務局から差し戻し・再申請となり、「交付決定」に遅れが出ます。
すると補助事業実施期間が、当初の事業計画上の予定よりも短くなることに。
以下に、事業再構築補助金の「交付申請」における注意点をまとめましたので、適切な期間を確保するためにもご確認ください。
[注意点1]提出書類の「必須書類」の不備事項に気をつける
まずは、提出書類の「必須書類」において、不備事項にならないよう気をつけたい点をまとめました。
なお、必要書類のなかの「交付申請書別紙1」と「見積書」については、よりくわしい注意が必要なため、別途後述しています。
履歴事項全部証明書(法人の場合)
交付申請書提出日より過去3か月以内に発行されたもの、かつすべてのページの添付が必要です。
直近の決算書(法人の場合)
応募時に表紙がない決算書を提出した場合は、表紙がある決算書を提出します。
ただし応募時に、”表紙がある決算書を提出済み”の場合は不要です。
表紙を含めた直近2期分の確定申告書(第1表)(個人事業主の場合)
応募時に提出済みの場合は不要です。
青色申告書/白色申告書(個人事業主の場合)
それぞれ次のページの提出が必要です。
- 青色申告書:損益計算書の記載があるページ
- 白色申告書:収支内訳書
ただし、応募時に提出済みの場合は不要です。
建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
以下の、それぞれの場合で必要書類が異なりますので、注意してください。
建物費を計上する場合
見積書の取得時に作成した設計図書、または見積り先から提出された設計図書の提出が必要。
ただし建物を改修する場合は、見取図の提出でも可能です。
機械装置・システム構築費を計上する場合
”価格の妥当性”を証明するパンフレットなどを提出。
機械装置を海外から購入する場合は、下記も必要です。
・換算に用いたレート表を提出する
・使用する換算レートは、公表仲値(電信仲値相場=TTM)を用いる
・換算に使用したTTM は、①年月日 ②公表金融機関名を明記する
[注意点2]提出書類の「該当事業者のみ必須書類」に該当する場合を確認する
次に、提出書類の「該当事業者のみ必須書類」に”該当する場合”を確認しましょう。
交付申請書別紙2
次のいずれかの経費を計上する場合には、提出が必要です。
- 技術導入費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
海外渡航計画書(参考様式12)、旅費明細書(参考様式13)
「海外旅費」を計上する場合は、提出が必要です。
事前着手承認のお知らせメール
受信日時を確認できる、以下のような承認メールの提出が必要です。
[注意点3]自社に適した「交付申請書別紙1」を使用する
必須書類のひとつである「交付申請書別紙1」のデータは、次の場合で異なりますので、自社に適した申請書を使用してください。
- 直接採択通知を受けた事業者(Rから始まる受付番号を持っている事業者)
- 直接採択通知を受けていない事業者(採択通知を受けた代表申請事業者の連携先事業者)
以下では、それぞれの場合のダウンロード方法などを解説します。
①直接採択通知を受けた事業者の場合
直接採択通知を受けた事業者(Rから始まる受付番号を持っている事業者)の場合は、事業再構築補助金の電子申請システムから「交付申請書別紙ファイル」をダウンロードして使用します。
また、交付申請時にはファイル名を変えずに添付してください。
データのダウンロード手順は以下のとおりです。
- 事業再構築補助金の電子申請システムにログインする
- システム内の「交付申請書別紙ファイル」ボタンをクリックして、データをダウンロードする
②直接採択通知を受けていない事業者の場合
直接採択通知を受けていない事業者(採択通知を受けた代表申請事業者の連携先事業者)の場合は、事業再構築補助金 公式サイトの「採択事業者向け資料」のページを開きます。
そして「交付規程」の「様式集(ZIP)」をクリックしてダウンロード。
ZIPデータを解凍すると「様式集」が現れるので、そのなかから「交付申請書別紙1」の”該当する事業類型”のエクセルデータを使用してください。
[注意点4]「経費明細表」のルールを確認する
下画像の「経費明細表」について、以下のルールがありますので注意してください。
[注意点5]「本事業により取得する主な資産」のルールを確認する
交付申請書別紙1の”4.事業概要(5)”にある、下画像の「本事業により取得する主な資産」については、次のルールがあるため注意してください。
[注意点6]「売上高減少要件」の金額は応募書類と一致させる
交付申請書別紙1の”3.応募申請者の概要 ”にある、下画像の「(4)売上高減少要件」欄の「売上高」の金額は、応募時に提出した「売上高が減少したことを示す書類」の金額と一致している必要があります。
[注意点7]「基準年度」のルールを確認する
交付申請書別紙1の「収益計画の補助事業終了年度(基準年度)」は、「事業計画に記載した補助事業終了日」以降の決算年度での記載が必要。
たとえば決算期が4月ならば、正しい記載は次のとおりです。
- 事業計画の補助事業終了日:2021年12月
- 収益計画の補助事業終了年度:2022年4月
なお、jGrants申請時の「事業開始日/事業終了日」は、次のように選択・入力してください。
(1)「交付決定日から開始」を選択する
(2)「事業終了日」には、予定している補助事業終了日を入力する
[注意点8]「見積書」のルールを確認する
必須書類である「見積書」には、次のルールが設けられています。
- 原則、経費科目にかかわらず計上している全ての補助対象経費の見積書の提出が必要
- ”交付申請書提出日に有効な見積書”の提出が必要
- 事前着手承認を受けている事業者:2021年2月15日以降有効な見積書の提出が必要
- 建物費の場合:単価50万円(税抜)以上の場合、2者以上の同一条件の相見積もりが必要
- 機械装置・システム構築費の場合:単価50万円(税抜)以上の場合、2者以上の同一条件の相見積もりが必要
- 中古品の場合:製造年月日、性能が同程度の中古品の3者以上の相見積もりが必要
- 専門家経費の場合:公募要領に記載の謝金単価に準じない場合、依頼内容の価格の妥当性を証明する複数の見積書の提出が必要。専門家の旅費を計上する場合は、行程表の詳細を提出
- 建物費や機械装置・システム構築費の見積書内に諸経費、現場管理費や雑費等の記載がある場合:諸経費の内訳の記載が必要
なお、上記4・5の「同一条件」については、”同一仕様の相見積もり”の必要があります。
たとえば下画像のような見積もりが「良い例」です。
次のような場合は”同一仕様の相見積もり”とみなされず、再提出になりますので注意してください。
- 項目の名称が一致していない
- 大・中項目が一致していない
- 片方の見積書には含まれない項目がある
合理的な理由で相見積書がない場合は「業者選定理由書」を提出する
「合理的な理由」があるため相見積書が取得できない場合は、「業者選定理由書」を提出してください。
ただし、「業者選定理由書」が認められるのは、相見積書が取得できない合理的な理由がある場合のみ。
次のようなケースは「合理的な理由」として認められませんので、注意してください。
- かねてより当該企業と付き合いがある
- 商業習慣である
- アフターフォローが充実している など
なお、「業者選定理由書」のダウンロード手順は次のとおりです。
- 事業再構築補助金 公式サイトの「採択事業者向け資料」のページを開く
- 「補助事業の手引き」の「参考様式集(ZIP)」をクリックしてダウンロード
- データを解凍すると「様式集」が現れるので、そのなかから「参考様式7 業者選定理由書」のワードデータを使用する
[注意点9]不備があった場合に新規で申請をしない
「交付申請」の申請書類に不備があり、事務局からの差戻し後の再申請を行う際は、「新規」で申請を行わないよう注意してください。
「新規」で申請すると、jGrantsのマイページに事業再構築補助金の申請が複数存在してしまいます。
不備があった場合の再申請は、次の手順で行ってください。
- jGrantsにログイン後、マイページを開く
- 申請履歴から「事業再構築補助金」を選択し、事業の詳細画面を開く
- 「作成済みの申請」から「差戻し対応中」の申請を選択し、不備修正を行う
- 修正後、「申請する」ボタンをクリックする
[注意点10]契約・発注は交付決定後に行う
補助対象の契約(発注)、納入、検収、支払などは、必ず「交付決定日」の後に行いましょう。
交付決定日よりも前に、購入契約や発注などをした経費は「補助対象外」となってしまいます。
ただし、事務局から「事前着手の承認」を受けた場合は、2021年2月15日以降に購入契約などを行った経費を、特例として補助対象経費とすることができます。
[注意点11]交付申請の期限はないが早めに申請する
「交付申請」の実施期限は特に設けられていませんが、早めに申請を行いましょう。
これは、補助事業実施期間が次のように規定されているためです。
- 通常枠、大規模賃金引上枠、緊急事態宣言特別枠、最低賃金枠:交付決定日~12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)
- 卒業枠、グローバルV字回復枠:交付決定日~14か月以内(ただし、採択発表日から16か月後の日まで)
採択発表日からの期限があるため、「交付申請」が遅くなるほど、補助事業実施期間が短くなります。
そのなかで支払い・実績報告まで行うのは大変。
適切な期間を確保するためにも、早めの申請をおすすめします。
[注意点12]暫定プライムアカウントは使用できないので「通常のアカウント」を取得する
暫定GビズIDプライムアカウントは、公募申請には使用できましたが「交付申請」では使用できません。
採択結果が判明したら、すぐに「通常のプライムアカウント」を取得しましょう。
「通常のプライムアカウント」を取得するには、暫定プライムアカウント申請時に作成した申請書を印字し押印の上、印鑑証明書・印鑑登録証明書とともに、こちらへ郵送してください。
【送付先】
〒530-8532 G ビズ ID 運用センター 変更プライム宛
暫定GビズIDプライムアカウントとは?
暫定GビズIDプライムアカウントとは、電子申請の需要増加に伴い「通常のプライムアカウント」の発行に最大3~4週間程度の期間を要したため、特例措置として設けられたアカウントです。
申請書などの郵送や審査を事後的に行うことで、即日発行が可能に。
暫定GビズIDプライムアカウントでは、次の3つの公募申請にのみ使用できます。
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)
- サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金
(参考)
・【重要】G ビズ ID プライムアカウントを用いた申請に関する変更点について
・【FAQ】暫定 G ビズ ID プライムアカウントの発行の措置について
まとめ:注意点を把握して不備のない交付申請を
この記事では、事業再構築補助金の「交付申請」の注意点をまとめて解説してきました。
ぜひ記事を参考に、注意点を把握して、不備のない「交付申請」を行いましょう。
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