2022年3月28日から、第6回公募が開始となった「事業再構築補助金」。
事業類型や申請要件などの大幅な変更後、初の公募です。
この記事では、公募要領などの資料をもとに、事業再構築補助金の第6回公募の変更点やスケジュールなどを解説していきます。
「事業再構築補助金の第6回公募への応募を検討している」という方は、ぜひご覧ください。
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【事業再構築補助金】第6回公募の変更点を解説
まずは、事業再構築補助金の第6回公募の変更点をご紹介します。
変更点①:売上高10%減少要件の緩和
事業再構築補助金の第6回公募の変更点、1つめは「売上高10%減少要件の緩和」です。
第5回公募までは「必須申請要件」のひとつとして、次の(a)と(b)の両方を満たす必要がありましたが、第6回公募からは(b)の要件が撤廃されました。
- (a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している
- (b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少している
第6回公募からは、下図のように「コロナ前後を比較して10%以上減少」していれば申請可能。
要件を一部緩和させたことで、補助金事業の使い勝手を向上させます。
変更点②:「回復・再生応援枠」・「グリーン成長枠」が新設
第6回公募の変更点の2つめは、「『回復・再生応援枠』と『グリーン成長枠』が新設」です。
新設された2つの事業類型について、くわしくは以下のとおり。
新規の事業類型「回復・再生応援枠」とは?
「回復・再生応援枠」とは、次の事業者を対象として、補助額は最大1,500万円(従業員規模に応じ、500万円、1,000万円または1,500万円)、補助率を3/4に引上げる事業類型です。
- 引き続き業況が厳しい事業者:2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、2020年または2019年の同月比で30%減少
- 事業再生に取り組む事業者:再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定
また、「主要な設備の変更を求めている要件」を課さないことで、事業再構築に取り組むハードルを緩和する点もポイントとなっています。
新規の事業類型「グリーン成長枠」とは?
「グリーン成長枠」とは、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す次の事業者を対象に、最大1.5億円を補助する事業類型です。
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う事業者
また、「グリーン成長枠」には「売上高10%減少要件」が課されません。
変更点③:「緊急事態宣言特別枠」・「卒業枠」・「グローバルV字回復枠」が廃止
第6回公募の変更点の3つめは、「『緊急事態宣言特別枠』・『卒業枠』・『グローバルV字回復枠』が廃止」です。
補助金事務局では、前項の「『回復・再生応援枠』・『グリーン成長枠』が創設されたため」と説明しています。
変更点④:通常枠の補助上限額の見直し
第6回公募の変更点の4つめは、「通常枠の補助上限額の見直し」です。
「限られた政策資源でより多くの事業者を支援する」ことを目的に、「通常枠」の補助上限額が、下表のように見直されました。
従業員規模 | 第5回公募までの補助金額 | 第6回公募以降の補助金額 |
---|---|---|
20人以下 | 100~4,000万円 | 100~2,000万円 |
21人~50人 | 100~6,000万円 | 100~4,000万円 |
51人~100人 | 100~8,000万円 | 100~6,000万円 |
51人~100人 | 100~8,000万円 | 100~8,000万円 |
変更点⑤:補助対象経費の見直し
第6回公募の変更点の5つめは、「補助対象経費の見直し」です。
「建物費」は原則として「改修の場合」に限られ、新築の場合には一定の制限がかかることに。
また「研修費」については、補助対象経費総額の1/3が上限となります。
変更点⑥:複数企業等連携型の新設
第6回公募の変更点の6つめは、「複数企業等連携型の新設」です。
1者あたり各申請類型の上限額を上限に、「最大20社まで連携しての申請」が認められ、一体的な審査が行われることになりました。
この場合の「売上高10%減少要件」は、次のどちらかを満たせば要件を満たすこととなります。
- 各者で要件を満たすこと
- 連携体合算で要件を満たすこと(ただし同月を用いる)
変更点⑦:事前着手の対象期間の見直し
第6回公募の変更点の7つめは、「事前着手の対象期間の見直し」です。
前回(第5回)までは、「令和3年(2021年)2月15日以降」だった対象期間が変更され、次のように事前着手制度が設定されました。
- 補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和3年(2021年)12月20日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とする
事前着手制度についてくわしくは、こちらの記事をご覧ください。
【事業再構築補助金】事前着手申請制度とは?概要・申請方法・注意点まで解説【第4回公募対応】
【事業再構築補助金】第6回公募のスケジュールを確認
事業再構築補助金の第6回公募のスケジュールは次のとおりです。
- 公募開始:令和4年(2022年)3月28日(月)
- 申請受付:令和4年(2022年)5月下旬~6月上旬(予定)
- 応募締切:令和4年(2022年)令和4年6月30日(木)18:00
- 採択発表:令和4年(2022年)8月下旬~9月上旬頃(予定)
事業再構築補助金とは?制度概要を紹介
記事の最後に、事業再構築補助金の制度概要をご紹介します。
なお、制度全般についてくわしくは、記事「 【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説 」でご紹介しています。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金とは、新型コロナ感染症の影響による事業環境の変化に対応して「事業の再構築」に挑戦する事業者を支援する、補助金制度です。
正式な事業名は「中小企業等事業再構築促進事業」で、2021年1月に終了した「持続化給付金」の後継制度として2021年度に運用開始。
補助金の最大額が1億円、予算総額が1兆1485億円であったため、開始前から「大型補助金」として話題になりました。
制度は下図の「基金形式」で運営され、基金設置法人は独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)。
事務局は人材派遣業大手のパソナグループです。
事業再構築補助金の令和3年度補正予算額
事業再構築補助金の令和3年度補正予算額は、6,123億円です。
令和3年度(2021年度)の予算額(令和2年度第3次補正予算額)は1兆1485億円でしたので、今年度(令和3年度補正予算額)は約半額となっています。
予算額が減るためか、事業再構築補助金の実施予定回数も減少しています。
- 令和3年度(2021年度):第5回まで実施
- 令和4年度(2022年度):第6回公募のほか、2回程度実施の予定
事業再構築補助金の必須申請要件
事業再構築補助金に申請する事業者が満たすべき要件(必須申請要件)は、以下の3つです。
- 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、 コロナ以前(2019年または2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少している
- 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築 に取り組む
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
事業再構築補助金の補助金額・補助率・対象経費
事業再構築補助金の類型と補助金額・補助率・対象経費は以下のとおりです。
補助金額 | 補助率 | 対象経費 | |
---|---|---|---|
通常枠 | 従業員数20人以下:100万円~2,000万円 従業員数21~50人:100万円~4,000万円 従業員数51人~100人:100万円~6,000万円 従業員数101人以上:100万円~8,000万円 |
中小企業 2 / 3 (6,000万円超は1 / 2) 中堅企業 1 / 2 (4,000万円超は1 / 3) |
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
大規模賃金引上枠 | 従業員数101人以上:8,000万円~1億円 | 中小企業 2 / 3 (6,000万円超は1 / 2) 中堅企業 1 / 2 (4,000万円超は1 / 3) |
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
回復・再生応援枠 | 従業員数5人以下 :100万円~500万円 従業員数6~20人 :100万円~1,000万円 従業員数21人以上 :100万円~1,500万円 |
中小企業 3 / 4 中堅企業 2 / 3 |
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
最低賃金枠 | 従業員数5人以下 :100万円~500万円 従業員数6~20人 :100万円~1,000万円 従業員数21人以上 :100万円~1,500万円 |
中小企業 3 / 4 中堅企業 2 / 3 |
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
グリーン成長枠 | 中小企業:100万円~1億円 中堅企業:100万円~1.5億円 |
中小企業 1 / 2 中堅企業 1 / 3 |
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
事業再構築補助金の申請方法
事業再構築補助金の申請方法は、「電子申請システムでのみ受け付け」となっています。
申請書類を準備し、こちらの電子申請システムから申請を行ってください。
締切日の前日~当日は申請が集中し、申請手続きが滞る可能性があります。
十分余裕を持って申請を行いましょう。
なお、電子申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですので、早めに利用登録を行ってください。
「GビズIDプライムアカウント」の登録申請方法は、こちらの記事でご紹介します。
GビズIDの「gBizIDプライム」とは?必須の補助金や登録申請方法を紹介
事業再構築補助金の採択率
事業再構築補助金の採択率は、下表のとおりで42.4%です。
1.応募件数 | 2.申請件数 | 3.採択件数 | 4.採択率 | |
---|---|---|---|---|
第1回公募 | 22,231件 | 19,239件 | 8,016件 | 36.1% |
第2回公募 | 20,800件 | 18,333件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回公募 | 20,307件 | 18,519件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回公募 | 19,673件 | (公表されず) | 8,810件 | 44.8% |
合計 | 83,011件 | – | 35,183件 | 42.4% |
なお、上記「2.申請件数」とは、「1.応募件数」のうち書類不備等がなく、申請要件を満たした件数のこと。
審査結果についてくわしくは、こちらの記事でご紹介しています。
- 記事「【事業再構築補助金】第1回公募の採択結果を確認!採択率や3つの課題も紹介します」
- 記事「【事業再構築補助金】第2回公募の採択結果を確認!採択率・「申請要件満たさず」の第1回との比較も」
- 記事「【事業再構築補助金】審査結果から独自分析!採択事業の事業種類・投資内容・支援機関を読み解く」
まとめ:変更点をよく確認し、事業再構築補助金第6回公募への申請を
この記事では、公募要領などの資料をもとに、事業再構築補助金の第6回公募の変更点やスケジュールなどを解説してきました。
第6回公募では申請要件や事業類型など、制度の重要ルールが大きく変わっています。
ぜひ今回の記事を参考に、変更点をよく確認したうえで、事業再構築補助金第6回公募への申請を行ってください。
なお、経営者コネクトでは、事業再構築補助金の応募を考える企業様向けに「無料相談サービス」を行っています。
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また事業再構築補助金以外にも、中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの13種類を纏めていますので、合わせてお読みください。
【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説