【経営者向け】「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請で企業側が行うこととは?

新型コロナの影響で減収となった社員を支援する「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」。

ですがほかの支援策と同様にルールが難解で、誰が何をすべきなのかわかりづらくなっています。

そこでこの記事では経営者の方に向けて、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請で企業側が行うこと、制度や申請時の注意点、制度概要まで解説します。

「休業支援金・給付金がどのようなもので、企業側は何をすべきか」を知りたい経営者の方は、ぜひご覧ください。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」とは?

まずは、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」がどのような制度なのかを確認しましょう

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」とは?

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以降「休業支援金・給付金」とします)」とは、新型コロナの影響により休業させられた社員のうち、休業手当の支払いを受けることができなかった社員に支給される支援金・給付金です。

2020年7月に郵送申請の受付が開始されました。

休業手当は労働基準法26条で規定された「会社都合で休業した場合に、社員に支給しなければならない手当」で、対象は正社員やパート・アルバイトなど雇用形態に関わりません。

ですがコロナ禍において、会社が休業しても特に非正規社員に対して「あらかじめ労働日が決まっていなかった」などの理由で、休業手当が支払われないことが問題に。

そこで「休業支援金・給付金」が設けられ、社員が直接厚生労働省に申請をして、支援金が受け取れるようになりました。

ちなみに、休業支援金と休業給付金の違いは次のとおり。

  • 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金:要件に該当する「雇用保険被保険者」に支給される
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金:要件に該当する「雇用保険被保険者でない社員」に支給される

また2021年8月12日までに、以下のとおり260万件以上の申請が行われています。

  • 累計支給申請件2,695,203件
  • 累計支給決定件数2,128,584件

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」と雇用調整助成金の違い

「雇用調整助成金」とは、経済上の理由で事業活動を縮小する企業が社員の雇用維持のために雇用調整(休業)を実施する場合に、休業手当の一部が助成される制度。

現在は「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」が設けられ、新型コロナの影響で休業する企業が助成対象となっています。

とても似た制度の「休業支援金・給付金」と「雇用調整助成金」ですが、大きな違いは申請・受給者が次のように異なる点です。

  休業支援金・給付金 雇用調整助成金
申請者 社員本人(企業経由でも申請可能) 経営者
受給者 社員本人 経営者

厚生労働省は事業主に対して、「まずは雇用調整助成金を活用して、雇用維持に努めてほしい」と案内を出しています。

厚生労働省:事業主の皆様へ~まずは雇用調整助成金の活用をご検討ください~

コロナで注目度アップ!雇用調整助成金の申請方法とは?

 

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請で企業側が行うこと

次に、社員が「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を申請する際に、企業側が行うことをご紹介します。

企業側は「支給要件確認書」への記載を行う

社員が「休業支援金・給付金」を申請する際に、企業側は「休業支援金・給付金支給要件確認書」への記載を行います。
そのほか、金銭的な負担はありません。

なお確認書の書式は、企業規模や申請者(社員か企業か)などで異なりますので、適正な書式を使用するように注意してください。
中小企業の場合
大企業の場合
複数の事業所に勤める場合

社員に代わり企業側が申請することも可能

申請は原則として社員本人が行いますが、社員に代わり企業側が申請することも可能です。
企業側が申請を行っても、支援金・給付金は社員本人の銀行口座へ振り込まれます。

なお、企業側と社員の両方から申請することはできないため、どちらか一方のみが行ってください。

また、企業側が申請を行うときは、申請サイトにログイン後「事業主が提出する」を選びます。

出典:厚生労働省

このときは、申請対象の社員ごとにデータを分けてください。

そして初回の申請を企業側が行った場合は、2回目以降の申請も企業側が行うことが必要。
「初回は企業側で、2回目以降は社員が申請する」ことはできません。

 

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」制度における注意点

次に、「休業支援金・給付金」制度における注意点をご紹介します。

確認書への記載を拒むと労働局からの連絡が

企業側が記載する確認書には、下画像のように「休業手当を支払っているかどうか」を確認する欄があり、「支払っていないことを隠したい」一部の企業が、書類への記載を拒むということも考えられます。

出典:厚生労働省

そこで「休業支援金・給付金」では、企業側が確認書への記載に協力してくれない場合でも、社員が「協力が得られない」旨を記載して申請可能です。

ただしこの場合は、労働局から企業側に連絡が入り、報告を求められます。
さらに企業側から回答があるまでは審査されないため、支給に時間がかかることに。

当然、労働局から良い印象は持たれませんので、社員側から記載の依頼があったときはできるだけ早めに、誠意をもって対応しましょう。

 

休業支援金・給付金が出ても休業手当の支払い義務は免除されない

前述のとおり、会社都合で社員を休業させた場合は「休業手当」の支給が必要で、これは労働基準法で規定されています。

そして社員に「休業支援金・給付金」が出たからといって、企業側の「休業手当の支払い義務」が免除されるわけではありません。

「休業手当」の不支給は、労働基準法26条違反で30万円以下の罰金。
新型コロナの影響で企業経営が苦しいなか、さらに社員から訴えられるということのないよう、「休業手当」は正しく支給しましょう。

ちなみに社名は公表されていませんが、2021年1月には、勤務時間を短縮したり休ませたパートやアルバイトなどに「休業手当」を支払わない大企業25社に、厚生労働省が文書で支払いを要請しました(東京新聞より)。

また、とんかつチェーン店「かつや」のパート店員が労働審判を申し立てるなど、最近はシフト制の社員が「シフト減でも休業手当を」と訴える動きが増えています。

特にパートやアルバイトなど、非正規社員の「休業手当」の不支給には注意してください。

不正受給には詐欺罪での告発、企業名の公表も

「休業支援金・給付金」と同じ、コロナ関連の給付金である「持続化給付金」の不正受給が、313者で3億円以上と報告されています(2021年8月13日時点 個人法人)。

そのため「休業支援金・給付金」でも、「不正受給があったときは次のような対応を行う場合がある」と規定されました。

  1. 社員や企業側に対して、支給を受けた額に加えてその2倍までの額と年3%の延滞金を請求する
  2. 詐欺などに該当する場合、刑事事件として告発する
  3. 事業主や代理人の氏名などを公表する

企業・社員ともに大きな不利益が発生しますので、不正受給を行うことは絶対にやめましょう。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請時の注意点

次に、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請時の注意点をご紹介します。

申請方法はオンラインと郵送

申請方法は、オンラインと郵送の2パターン。
社員本人が申請しますが、企業側を経由しての申請も可能です。

オンラインの申請はこちらから行います。
厚生労働省:オンライン申請ページ

郵送の場合の郵送先はこちらです。


・〒600-8799
日本郵便株式会社 京都中央郵便局留置
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

なお、申請方法がわからないときは、コールセンターに問い合わせができます。


◆新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金コールセンター
電話番号:0120-221-276
月~金 8:30~20:00/土日祝 8:30~17:15

オンライン申請時の注意点

まずオンライン申請は、毎日 0:00~6:00 はシステムメンテナンスのため利用できませんので、利用時間にご注意ください。

また、本人確認用の認証コードをSMSで受け取る必要があるため、SMSを受けとれる携帯電話番号が必要です。
携帯電話を持っていないときは、郵送での申請となります。

準備した書類は、データ(PDF、JPEG、PNGのいずれか)としてアップロードします。
またデータのサイズは、1ファイルにつき10MBまでにしてください。

そして、オンライン申請の内容に記入漏れや書類の不足などがあった場合は、下画像のように「差し戻し」されます。

出典:厚生労働省

添付書類などをよく確認し、再申請を行ってください。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の制度概要

記事の最後に、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の制度概要をご紹介します。

[制度概要①]パート・アルバイトも対象者に

「休業支援金・給付金」の対象者は、下記の期間に新型コロナの影響で休業したものの、休業手当が受けられない社員です。

  • 中小企業の社員
    令和2年(2020年)10月1日~令和3年(2021年)9月30日
  • 大企業のシフト労働者等
    令和2年(2020年)4月1日~令和2年(2020年)6月30日
    令和3年(2021年)1月8日~令和3年(2021年)9月30日

また、以下のような人も対象となる場合があります。

  1. もともと予定していた勤務日に、新型コロナの影響で企業側から休むように言われた
  2. 店が時短営業になり、1日当たりの勤務時間が短くなった
  3. 半年以上働いており、新型コロナの影響がなければ同様の勤務を続ける予定だった

なお「中小企業」とは、以下の表の「総額 」か「労働者の数」のいずれかを満たす企業で、それ以外は「大企業」です。

産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業
(飲食店を含む)
5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

「シフト労働者等」とは、「シフト制、日々雇用、派遣社員」といった労働契約上、労働日が明確でない社員を指します。

このようにパートやアルバイトで休業、シフト制で勤務時間・シフト日数が減少の場合など、幅広い社員が対象です。

[制度概要②]支給額

「休業支援金・給付金」の支給額は、1日の上限を11,000円として次のようになります。

  • 支給額 = (休業前の平均賃金の80%)×(休業日数)

 

[制度概要③]申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下のとおりです。

  1. 支給申請書(社員本人が記入)
  2. 支給要件確認書(社員本人と企業の両方が記入)
  3. 本人確認書類(免許証の写しなど) 
  4. 振込先口座確認書類(キャッシュカードの写しなど)
  5. 休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(給与明細の写しなど)
  6. (大企業の方のみ)シフト制、日々雇用又は登録型派遣である旨の疎明書及びその内容が確認できる書類

なお申請書などの様式は、企業規模や申請者(社員か企業か)などによって異なるため、くわしくはこちらのウェブサイトでご確認ください。
中小企業の場合
大企業の場合
複数の事業所に勤める場合

[制度概要④]申請期限

「休業支援金・給付金」の申請期限は以下のとおりです。

中小企業の社員

休業した期間 締切日(郵送の場合は必着)
令和2年(2020年)10月~令和3年(2021年)6月 令和3年(2021年)9月30日
令和3年(2021年)7月~9月 令和3年(2021年)12月31日

大企業のシフト労働者等

休業した期間 締切日(郵送の場合は必着)
令和2年(2020年)4月~6月 令和3年(2021年)9月30日
令和3年(2021年)1月8日~6月 令和3年(2021年)9月30日
令和3年(2021年)7月~9月 令和3年(2021年)12月31日

申請開始日は、休業した期間の翌月初日からとなります。
たとえば、令和3年7月の休業なら、令和3年8月1日から申請可能です。

なお、申請分の支給(不支給)決定に時間がかかり、次回以降の申請が期限切れとなってしまった場合は、支給(不支給)決定日から1ヶ月以内の申請なら受付可能となります。

このときは、支給(不支給)決定通知書を添付して申請ください。

 

まとめ:「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の適正な申請を

この記事では経営者の方に向けて、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」申請で企業側が行うこと、制度や申請時の注意点、制度概要まで解説しました。

ぜひ記事を参考に、「支援金・給付金」の適正な申請を行い、困っている社員を少しでも支援しましょう。

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