事業承継補助金とは?補助金額・条件から必要な手続きまで詳しく解説!

事業承継補助金とは?

事業承継補助金

出典:事業承継補助金

事業承継補助金は、事業を引き継いだ中小企業や小規模事業者の、事業承継後の新しいチャレンジを金銭的にサポートする制度です。

これにより今まで以上に中小企業や小規模事業者の事業承継が進み、事業の継続・成長を促すことを狙っています。
日本の多くの企業は中小規模であり、中小企業や小規模事業者が活躍すれば、日本の経済も活性化していくからです。

事業承継の可能性がある企業であれば、補助金の交付が期待できるかもしれません。
制度が利用できるか、どのようなメリットが得られるのかを事前にチェックしておくと良いでしょう。

また、事業承継補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの16種類を纏めていますので、合わせてお読みください。

【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金16選!目的・金額・条件を徹底解説

補助金額【2020年度は前年度よりUP!】

事業承継補助金の上限額と、対象経費に対する補助率は、以下の様に定められています。

原則枠 ベンチャー型事業承継枠
生産性向上枠
【I型】後継者承継支援型
(経営者交代タイプ)
  • 補助率1/2以内
  • 補助上限225万円
  • 補助率2/3以内
  • 補助上限450万円
【II型】事業再編・事業統合支援型
(M&Aタイプ)
  • 補助率1/2以内
  • 補助上限450万円
  • 補助率2/3以内
  • 補助上限600万円

I型とII型の違いについては、後ほど説明します。

補助率2/3となる要件は下記の通りです。

  1. ベンチャー型事業承継枠:以下の要件を全て満たすこと◇新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、もしくは事業転換による新分野への進出を 行う計画であること
    ◇事務局が定める期間において従業員数を一定以上増加させる計画であること
    ◇補助事業実施期間内において補助事業に直接従事する従業員を 1 名以上雇い入れた事実が確認できること
    (なお、有期の雇用契約は本要件の対象としない。)
  2. 生産性向上枠:以下の要件を満たすこと◇承継者が 2017 年 4 月 1 日以降から交付申請日までの間に本補助事業において申請を行う事 業と同一の内容で
    「先端設備等導入計画」又は「経営革新計画」いずれかの認定を受けてい ること。

対象となる経費

なお補助金の対象経費となるのは、下表の経費項目です。

事業費 廃業費
  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費
  • 知的財産権等関連経費
  • 謝金
  • 旅費
  • マーケティング調査費
  • 広報費
  • 会場借料費
  • 外注費
  • 委託費
  • 廃業登記費
  • 在庫処分費
  • 解体・処分費
  • 現状回復費
  • 移転・移設費用

出典:事業承継補助金・募集要項

ただし、以下の3項目を満たす必要があります。

  • 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  • 承継者が交付決定日以降、補助事業期間内に契約・発注をおこない支払った経費
    (原則として、 被承継者が取り扱った経費は対象外)
  • 補助事業期間完了後の実績報告で提出する証拠書類等によって金額・支払等が確認できる経費

また、以下に当てはまる経費は対象経費には入れられませんので、注意が必要です。

  • 売上原価に相当すると事務局が判断する経費
  • M&A(事業再編・事業統合)費用、M&A(事業再編・事業統合)仲介手数料・デューデリジェンス 費用・コンサルティング費用等に相当すると事務局が判断する経費

事業承継補助金を利用するための条件

事業承継補助金は、事業の引き継ぎを行う全ての人が利用できるというわけではありません。

補助金には、「後継者承継支援型(Ⅰ型)」と、「事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)」があります。

どちらも満たさなければならない共通の条件と、それぞれの類型に求められる条件を簡単に確認しておきましょう。

事業承継補助金「I型・II型」共通の条件

補助金の交付を受けるための共通の条件は、主に以下の通りです。

  • 日本国内に拠点もしくは居住地があって日本国内で事業を営んでいる
  • 個人事業主なら青色申告者である
  • 地域経済に貢献している
  • 暴力団などの反社会的勢力ではない
  • 法令順守上の問題を抱えていない
  • 以下に当てはまるような中小企業者である
業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数
① 製造業、建設業、運輸業、②〜④を除くその他の業種 3億円以下 300人以下
② 卸売業 1億円以下 100人以下
③ サービス業 5,000万円以下 100人以下
④ 小売業 5,000万円以下 50人以下

地域経済に貢献しているかは、地域の雇用維持や創出を行っている場合や、地域内での仕入れが多い場合、地域の強みである技術・特産品で地域を支えている場合が当てはまります。

後継者承継支援型(Ⅰ型)の条件

後継者承継支援型という名前の通り、後継者へ承継することを想定した制度です。

一般的に、親族内承継や従業員承継等がこのケースに当たります。

後継者承継支援型(Ⅰ型)の主な条件は、以下の通りです。

  • 事業承継をキッカケに経営革新や事業転換にチャレンジする
  • 特定創業支援等事業によるサポートを受けるなど、一定の実績や知識などがある
  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業を行っている
  • 事業を引き継ぐのが法人なら、事業譲渡や株式譲渡での承継ではない

このように、後継者承継支援型の場合は、後継者に事業を引き継ぐ際に利用できます。

特定創業支援等事業の内容は自治体によって異なりますが、会社経営に役立つことが多いので利用することを考えてみてください。

事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)の条件

事情再編・事業統合という名前の示している通り、一般的に、第3者によるM&Aを想定した制度になります。

事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)の主な条件は、以下の通りです。

  • 事業再編や事業統合をキッカケに経営革新や事業転換にチャレンジする
  • 特定創業支援等事業によるサポートを受けるなど、一定の実績や知識などがある
  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業を行っている
  • 後継者がおらず事業再編や事業統合を行わなければ事業が続けられない

事業再編・事業統合支援型の場合も特定創業支援等事業を受けることが求められています。

また、後継者がいないことによってそのままでは事業が続けられない状況でなければ、補助が受けられないので注意が必要です。

Ⅰ型かⅡ型かを簡単に診断できるツール

Ⅰ型かⅡ型かを迷った場合には、簡単に診断できるツール「申請類型早わかりフローチャート」が用意されていますので、そちらを使って診断しましょう。

それでもわからない場合には、事業承継補助金事務局の電話番号が用意されているので、電話で確認してみましょう。

 

以上、制度を利用するための主な条件を見てきました。

条件に当てはまるようなら、このまま利用のための手続きを見ていきましょう。

事業承継補助金の応募時期・手順

2020年度の募集・事業実施期間

2020年の公募期間はすでに終了していますが、今後も募集がある可能性が十分にありますので、参考に確認しておきましょう。
2020年の事業承継補助金については、以下の通りとなります。

公募期間 2020年3月31日から2020年6月5日
交付申請の受付期間 2020年4月10日から2020年6月5日
交付の決定日 2020年7月
対象となる事業の実施期間 交付決定日から2020年12月31日まで
実績の報告期間 事業完了日から30日以内

このように、7月に交付が決定し、半年以内に事業を実施する必要があります。
交付決定日以前に発注(契約)を行っている経費は原則補助対象とならないことに注意が必要です。

次に、利用のメリットを具体的に確認していきましょう。

事業承継補助金を利用する際の手続き

事業承継補助金の手続き

出典:事業承継補助金

事業承継補助金を利用する際に必要となる手続きには、大きく分けて8つのステップがあります。
多いようですが、飛ばさず着実に進めるのが近道です。

  1. 事業承継補助金について理解する
  2. 認定経営革新等支援機関へ相談する
  3. 申請に必要なアカウントを取得する
  4. 実際に交付申請を行う
  5. 補助の対象となる事業をスタートする
  6. 事業の実績を報告する
  7. 補助金の交付のための手続きをする
  8. 状況の報告を行う

それぞれのステップについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

①事業承継補助金について理解する

まずは、事業承継補助金という制度について理解するところから始めます。

制度についての理解が浅いまま手続きを始めると、補助してほしい事業を開始してから申請をしてしまうなど、手続き上の不備が出やすいです。

基本的な事柄を理解しておけば専門家に相談する際にもスムーズにいきますので、中小企業庁の「事業承継補助金」のサイトに目を通してみてください。

ザッと読んでみた段階ですでに疑問があるなら、専門家に相談に行ってサポートを受けることをおすすめします。

②認定経営革新等支援機関へ相談する

制度の概要が理解できたら、いよいよ手続きに入っていきます。
制度を利用するためには、認定経営革新等支援機関への相談が必要です。

最寄りの支援機関は、「認定経営革新等支援機関一覧」「認定経営革新等支援機関(金融機関)」で調べることができます。
相談の際には、「経営診断ツール」を活用しながら、事業計画について詳しく相談しましょう。

相談後には、相談したことの証明となる確認書を支援機関から忘れずに受け取ってください。

③申請に必要なアカウントを取得する

支援機関の相談後は、申請のために必要な準備を進めていきます。
補助金を申請するためには、「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。

gBizIDプライムのアカウントを作るには、「GビズID」のサイトから申請書を作成してダウンロードします。

作った申請書を印鑑証明書と共に「GビズID運用センター」に送ることで審査が受けられ、審査に通ればメールによってアカウントが送られてくるという流れです。

審査には数日〜長いと2週間程度かかるので、スケジュールには余裕を持ってアカウントの作成を行いましょう。

④実際に交付申請を行う

gBizIDプライムのアカウントが作れたら、交付申請ができます。

補助金の申請要件が満たせていることを証明できる書類を準備して、申請の手続きをしていきましょう。

交付申請をすると審査が行われ、結果は事務局から通知されるので、それまで待つことになります。

審査に通る前に補助してもらう予定の事業を始めないように気をつけてください。

⑤補助の対象となる事業をスタートする

補助の期間

出典:公募要領-事業承継補助金

交付決定の通知を受け取ったら、速やかに補助の対象となる事業を開始します。

補助の期間は2020年の場合は、交付決定日から最長で2020年12月31日までと決められていました。

2021年以降も期間が定められている可能性は高いので、事前に確認しておいてください。

⑥事業の実績を報告する

事業を終えたら、実績を報告します。

事業の完了日から30日以内に報告しなければならないので、速やかに行いましょう。

もしも間に合わなければ、補助金が交付されないかもしれません。

⑦補助金の交付のための手続きをする

実績報告を行ったら、事務局が報告について確認して確定検査を行います。

確定検査で問題が見つからなければ、補助金の交付手続きに移ることが可能です。

手続きが完了すれば、補助金が交付されます。

⑧状況の報告を行う

補助金が交付されてからも、状況の報告を行う必要があります。

補助金の交付があってから5年間は、事業化状況を報告しなければなりません。

交付されてからの手続きは忘れやすいので、事前にスケジュールに入れておくのが良いでしょう。

以上が、事業承継補助金を利用するために求められる8つのステップでした。

ご自身だけで全てを確実に行うのは難しいと思いますので、必要に応じて専門家のサポートを受けてください。

事業承継補助金以外に知っておきたい制度

事業承継補助金について解説してきましたが、実は事業を引き継ぐ際には他にも知っておくと良い制度があります。

事業承継税制

代表的な制度は、「事業承継税制」です。
事業を引き継ぐ際には後継者に株式を贈与・相続によって受け渡す必要があります。

しかし、事業引き継ぎという目的だとしても、通常通りに税金はかかってくるのが現状です。
会社の株式は高額になりやすく、税金もそれに伴った金額になります。

一方で、事業承継税制を上手く使えば、最終的には納めるはずだった贈与税や相続税の納税が必要なくなります。
事業承継についての知識が豊富な専門家に相談し、最も得な方法を考えてみましょう。

以下の記事でも、事業承継税制について詳しく解説しています。

贈与税・相続税を抑えられる「事業承継税制」とは?メリットから条件・手続きまで解説!

各地域の事業承継に関する補助金等の制度

今回の記事で解説してきた補助金制度は、中小企業庁が行っているものでした。

しかし、都道府県が事業の引き継ぎを推進しているケースも多くあります。
例えば、東京や千葉、兵庫のように補助金や助成金の制度を行っている都道府県があります。

東京都の事業承継支援助成金

東京都には、事業承継をサポートする助成金制度があります。

事業承継や経営改善を実施する際に活用する外部の専門家に委託して行う取り組みにかかる経費の一部を助成してくれる制度です。

制度名 事業承継支援助成金
URL https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shoukei.html
サポート内容 助成限度額200万円・助成率2/3以内

千葉県の事業承継支援助成金

千葉県にも、事業承継をサポートする助成金制度があります。

事業承継を行う際に必要となる計画策定や、企業価値の算定、後継者の育成、M&A仲介に必要な経費の一部を助成してくれる制度です。

制度名 事業承継支援助成金
URL https://www.ccjc-net.or.jp/contents_detail.php?frmId=2524
サポート内容 助成限度額50万円・助成率1/2以内

兵庫県の事業継続支援事業

兵庫県にも、事業承継をサポートする補助金制度があります。

事業承継を行うか悩んでいる中小企業を後押しする目的で、事業承継のときに発生する経費を補助する制度です。

制度名 事業継続支援事業
URL https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr07/jigyoukeizoku.html
サポート内容 助成限度額400万円・補助率1/2以内

以上の3つは代表的な地域の制度でしたが、他の地域でも同様の制度があるケースがありますので、ご自身の地域等について調べてみてください。

なお、中小企業庁の事業承継補助金の申請において採択されなくても、地域の制度で採択されるというケースもあるようです。
そのため、事業承継をすることが決まっている場合には、制度を調べて両方申請してみるのも良いでしょう。

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