【事業復活支援金】給付金の算出式と具体例をわかりやすく解説します

2021年12月20日に成立した令和3年度補正予算のなかで、中小企業関連の主要事業と位置づけられる「事業復活支援金」
少しずつですが制度の情報が公表されており、特設サイトもオープンしました。

そこでこの記事では、事業復活支援金サイトで公表された情報などをもとに、給付金の算出式と具体例をわかりやすく解説します。

「新型コロナの影響で売上が大きくダウンした…」という経営者の方は、ぜひご覧ください。

事業復活支援金の給付金の算出式と具体例をわかりやすく解説

まずは、事業復活支援金における給付金の算出式と具体例を、わかりやすく解説します。

事業復活支援金の給付金の算出式

事業復活支援金での給付金の算出式は、次のとおりです。

  • 給付額 =(基準期間の売上高)−(対象月の売上高)×5

算出した給付額が、次項の「給付上限額」を超えるときには、上限額が給付されます。

なお算出式における「基準期間」とは、以下のいずれかの期間。
ただし「対象月」を判断するため、売上高の比較に用いた月(基準月)を含む期間であることが必要です。

  1. 2018年11月~2019年3月
  2. 2019年11月~2020年3月
  3. 2020年11月~2021年3月

「対象月」とは、「2021年11月~2022年3月」のうち、基準期間の同月と比較して、以下の状況となっている月を指します。

  1. 売上が50%以上減少した月
  2. 売上が30%以上50%未満減少した月

売上高の比較に用いる「基準月」と「対象月」は、11~3月のなかで任意の月を選んで構いません。

事業復活支援金の給付上限額

事業復活支援金の給付上限額は下表のとおりで、事業規模に応じた額となっています。

売上高減少率 個人事業者 法人
(年間売上高1億円以下)
法人
(年間売上高1億円超~5億円)
法人
(年間売上高5億円超)
▲50%以上 50万円 100万円 150万円 250万円
▲30%以上50%未満 30万円 60万円 90万円 150万円

表中の「年間売上高」とは、「基準月(2018年11月~2021年3月の間で売上高の比較に用いた月)を含む事業年度」の年間売上高を指します。

給付金の算出式の具体例

上記の算出式だけではわかりづらいため、ここでは給付金の算出式の具体例をご紹介します。

たとえば、「3つの基準期間」と「2021年11月~2022年3月」の売上高が、下表の事業者の場合です。

基準期間① 2018年11月 2018年12月 2019年1月 2019年2月 2019年3月 売上高の合計
売上高 150万円 200万円 150万円 150万円 150万円 800万円
基準期間② 2019年11月 2019年12月 2020年1月 2020年2月 2020年3月
売上高 100万円 120万円 150万円 100万円 150万円 620万円
基準期間③ 2020年11月 2020年12月 2021年1月 2021年2月 2021年3月
売上高 100万円 100万円 80万円 80万円 70万円 430万円
対象月の選定期間 2021年11月 2021年12月 2022年1月 2022年2月 2022年3月
売上高 80万円 80万円 80万円 80万円 60万円

給付額をできるだけ多くするには、次の2つのポイントで「基準期間」と「対象月」を選ぶことがポイント。

  • ポイント1:同月における売上高の減少額が大きい(できれば50%以上減少、なければ30%以上減少)
  • ポイント2:基準期間の売上高が大きい

まずは、ポイント1を確認するために、「対象月の選定期間(2021年11月~2022年3月)」の各月の売上高と、「基準期間①~③」の各月の売上高を比較。
このとき、必ず同月をくらべてください

  • ○:「2021年3月」と「2022年3月」を比較
  • ✕:「2021年1月」と「2022年3月」を比較

すると、「2019年3月(基準期間①)」と、「2020年3月(基準期間②)」の両方が売上高150万円で、2022年3月の60万円とくらべ50%以上の差があることがわかります。

次にポイント2をもとに、「2019年3月(基準期間①)」と「2020年3月(基準期間②)」のどちらを選ぶかを考えると、基準期間①の合計売上高が「800万円」と大きくなっています。

こうして上表の事業者の場合は、それぞれ次の期間が最適と判断。

  • 基準期間:基準期間①(2018年11月~2019年3月で売上高合計は800万円)
  • 対象月:3月(2022年3月の売上高は60万円)

上記の内容を、給付金の算出式に当てはめます。

  • 給付額 =(基準期間の売上高)−(対象月の売上高)×5
        = 800万円 − 60万円 × 5
        = 500万円

算出式によれば500万円となりますが、この額は給付上限額を超過。
今回の例では「50%以上減少」していますので、給付上限額表の「▲50%以上」の額を確認します。

結果として、個人事業者であれば50万円が給付額に。
法人の場合は、基準月となった「2019年3月」を含む事業年度の年間売上高によって給付額が決まります。

売上高減少率 個人事業者 法人
(年間売上高1億円以下)
法人
(年間売上高1億円超~5億円)
法人
(年間売上高5億円超)
▲50%以上 50万円 100万円 150万円 250万円

 

事業復活支援金の制度概要

次に、事業復活支援金の制度概要をご紹介します。

事業復活支援金とは?

事業復活支援金とは、新型コロナで減収となった事業者に対して、地域・業種を限定せず事業規模に応じて給付金を支給する制度です。

同様の支援策である「持続化給付金」では、不正受給が相次ぎ問題となったため、事業復活支援金では商工団体や士業、金融機関などの「事前確認」が必要となりました。

事業復活支援金が含まれる「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と、令和3年度補正予算案については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。

・記事「【過去最大55.7兆円】「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」閣議決定の内容を紹介
・記事「【令和3年度補正予算案】経済産業省の補助金事業を解説!特別枠の新設も【中小企業支援】

事業復活支援金の給付対象となる事業者

事業復活支援金の給付対象となるのは、次の両方を満たす中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主です。

  1. 新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化に伴う需要の減少または供給の制約により、大きな影響を受けている
  2. 上記①の影響を受け、自らの事業判断によらずに対象月の売上が、基準期間の同月と比べて「50%以上」または「30%以上50%未満」減少している

上記項目①の「大きな影響」の具体例としては、次の事例が挙げられています。

  • 需要の減少による影響
    ① 国や地方自治体による、自社への休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
    ② 国や地方自治体による要請以外で、コロナ禍を理由として顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベント等の延期・中止に伴う、自らの財・サービスの個人消費の機会の減少
    ③ 消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行に伴う、自らの財・サービスの個人需要の減少
    ④ 海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制に伴う、自らの財・サービスの海外現地需要の減少
    ⑤ コロナ関連の渡航制限等による海外渡航客や訪日外国人旅行客の減少に伴う、自らの財・サービスの個人消費機会の減少
    ⑥ 顧客・取引先※が①~⑤のいずれかの影響を受けたことに伴う、自らの財・サービスへの発注の減少
  • 供給の制約による影響
    ⑦ コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な財・サービスの調達難
    ⑧ 国や地方自治体による休業・時短営業やイベント等の延期・中止その他のコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な取引や商談機会の制約
    ⑨国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請に伴う、自らの財・サービスの提供に業務上不可欠な就業者の就業制約

 

 

登録確認機関による事前確認

事業復活支援金では、不正受給や給付対象を誤って理解したまま申請することへの対応策として、次の点の事前確認を行います。

  1. 事業を実施しているか
  2. 新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか
  3. 事業復活支援金の給付対象などを正しく理解しているか

具体的には、登録確認機関がTV会議や対面で、以下の形式的な確認を実施します。

  • 帳簿などの予め定めた書類の有無
  • 宣誓内容などに関する質疑応答

事業復活支援金の登録確認機関とは?

登録確認機関とは、下記(1)~(3)に該当し、事業復活支援金事務局が募集・登録した機関・者です。

  • (1)認定経営革新等支援機関
  • (2)認定経営革新等支援機関に準ずる個別法に基づき設置された機関
  • (3)その他個別法に基づく士業関連機関・者など

ただし記事作成時点では、「登録確認機関の検索機能」はまだ準備中です。

事業復活支援金の実施スケジュール

記事作成時点で公表されている、事業復活支援金の実施スケジュールは次のとおりです。

  • 2022年1月18日
    概要資料の公表
    ・質問の募集開始(Web上の質問フォーム
    ・事務局コールセンター 開設
    ・事務局ウェブサイト 開設
    ・事前確認スキームの詳細の公表
    ・登録確認機関の登録受付の開始
  • 2022年1月24日の週
    ・事業復活支援金の制度詳細(申請要領、給付規程等)の公表
    ・事業復活支援金の事前確認の受付開始
    ・登録確認機関の連絡先などを公表
  • 2022年1月31日の週
    ・通常申請の受付開始

事業復活支援金の問い合わせ先

事業復活支援金の問い合わせ先は次のとおりです。

  • TEL:0120-789-140(携帯電話からもつながります)
  • IP電話等からの問合せ先:03-6834-7593(通話料がかかります)

受付時間は8時30分~19時00分で、土日や祝日含む全日対応。

また、質問は下記のWeb質問フォームで受け付けており、「今後作成するQ&Aに活用する予定」とされています。

 

事業復活支援金の申請はいつから?申請方法を解説

記事の最後に、事業復活支援金の申請はいつからできるのか、申請方法を解説します。

2022年1月31日の週から通常申請の受付開始予定

事業復活支援金の通常申請については、2022年1月31日の週から受付開始予定とされています。

また、通常の給付要件では受給が難しい次のような事業者向けの「特例申請」は、2022年2月中旬に申請受付開始の予定です。

  • 主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した事業者
  • 2019年~2021年10月に新規開業した事業者
  • 売上に季節性のある事業者 など

 

事業復活支援金の申請方法

事業復活支援金の申請方法は次のとおりです。

  1. アカウントの申請・登録
  2. 必要書類の準備
  3. 登録確認機関の検索・事前予約
  4. 事前確認の実施
  5. 申請

なお、これまでに以下の支援金を受給している場合には、事業復活支援金の申請時に、原則として事前確認を受ける必要はありません。

  • 一時支援金
  • 月次支援金

申請時の必要書類

申請時の必要書類は次のとおりです。

  • 確定申告書
  • 通帳(振込先が確認できるページ)、
  • 履歴事項全部証明書(法人)
  • 本人確認書類(個人)
  • 宣誓・同意書
  • 対象月の売上台帳 ほか

ただし、申請時の状況(一時・月次支援金の受給、登録確認機関との継続支援関係の有無など)により、必要書類は異なります。

まとめ:事業復活支援金の算出式から給付額の確認を

この記事では、事業復活支援金における給付金の算出式と具体例を、わかりやすく解説しました。
ぜひ記事を参考に、算出式から給付額の確認を行ってみてください。

なお、ここまでの内容は、記事作成時点で公表されている資料を基に作成しています。

中小企業庁は資料にて「引き続き検討・具体化しており、変更になる可能性がございます」と説明しているため、申請する際は、念のため事業復活支援金サイトで要件などをご確認ください。

また経営者コネクトでは、新型コロナによる売上減少対策のひとつである「事業再構築補助金」の、事業計画書作成支援サービスを行っています。
補助金申請をご検討される方は、ぜひ下記サイトもご覧ください。