【事業再構築補助金】令和3年度補正予算案での制度概要と見直し・拡充内容を解説!

2021年(令和3年)11月26日に閣議決定した令和3年度補正予算案の資料において、「2022年度(令和4年度)の継続」が明記された「事業再構築補助金」

ただし、申請要件や申請類型などの重要項目に、現行制度との変更点(見直し・拡充)が発生しました。

そこでこの記事では、次の経済産業省の資料をもとに、事業再構築補助金の令和3年度補正予算案での制度概要と見直し・拡充内容を解説していきます。

経済産業省:資料「事業再構築補助金 令和3年度補正予算案の概要」

「事業再構築補助金への申請を検討している」という経営者の方は、ぜひご覧ください。

なお事業再構築補助金全般については、こちらの記事でくわしく解説しています。

【事業再構築補助金まとめ】制度概要や申請できる企業、申請方法、採択結果などすべて解説

 

また、経営者コネクトでは、事業再構築補助金の応募を考える企業様向けに「無料相談サービス」を行っています。
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【事業再構築補助金】令和3年度補正予算案での制度概要

まずは、事業再構築補助金の令和3年度補正予算案での制度概要をご紹介します。

 

令和3年度補正予算案での事業再構築補助金の制度概要

令和3年度補正予算案での事業再構築補助金の制度概要として、申請類型と補助額などは下表のようになります。

申請類型 内容 補助上限額 補助率
最低賃金枠 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者に対して支援する 500万円、1,000万円、1,500万円 中小3/4、
中堅2/3
回復・再生応援枠 引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者に対して支援する 2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円 中小3/4、
中堅2/3
通常枠 事業再構築に取り組む事業者に対して支援する 2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円 中小2/3、
中堅1/2
大規模賃金引上枠 多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる事業者に対して支援する 1億円 中小2/3、
中堅1/2
グリーン成長枠 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者に対して支援する 中小1億円、
中堅1.5億円
中小1/2、
中堅1/3

第4回公募(2021年12月21日まで実施)では次のとおりでしたので、申請類型も大きく変わることがわかります。

  1. 最低賃金枠
  2. 緊急事態宣言特別枠
  3. 通常枠
  4. 大規模賃金引上枠
  5. 卒業枠
  6. グローバルV字回復枠

制度の変更点(見直し・拡充内容)は、次項で解説しています。

 

2021年(令和3年)11月26日に閣議決定された経済対策内容や、令和3年度補正予算案については、こちらの記事をご覧ください。

事業再構築補助金の令和3年度補正予算案額は6,123億円

事業再構築補助金の令和3年度補正予算案額は、6,123億円です。

出典:経済産業省

令和3年度(2021年度)での実施予算となった、令和2年度第3次補正予算額は1兆1485億円でしたので、令和3年度補正予算案額は約半額となっています。

出典:経済産業省

予算額が減るためか、事業再構築補助金の実施予定回数も減少しています。

  • 令和3年度(2021年度):第5回まで実施予定
  • 令和4年度(2022年度):3回程度の予定

事業再構築補助金の今後のスケジュール

事業再構築補助金は令和3年(2021年)12月21日まで、第4回公募を実施しました。

その後、令和4年(2022年)1月から第5回公募を開始し、令和4年にはさらに3回程度の公募を実施する予定です。

  • 第4回公募
    公募開始:令和3年(2021年)10月28日(木)
    応募締切:令和3年(2021年)12月21日(火)18:00
    採択発表:令和4年(2022年)2月中旬~下旬頃を予定
  • 第5回公募
    公募開始:令和4年(2022年)1月中を予定
    (公募期間及び採択発表日は未定)
  • 第6回公募~
    令和4年(2022年)にさらに3回程度の公募を実施予定

 

【事業再構築補助金】令和3年度補正予算案での見直し・拡充内容

次に、事業再構築補助金の令和3年度補正予算案での、現行制度からの見直し・拡充内容をご紹介します。

見直し・拡充①:新事業売上高10%要件の緩和(第5回公募から)

見直し・拡充の1点目は、「新事業売上高10%要件の緩和」で、第5回公募から行われます。

事業再構築指針において定めている「新事業売上高10%要件」は、現状では「事業再構築で新たに取り組む事業の売上高が、総売上高の10%以上となる事業計画を策定すること」です。

第5回公募からは要件が緩和され、「3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等による付加価値額が総付加価値額の15%以上となる計画を策定する」ことでも要件を満たします。

また次の事業者については、「新事業の売上高が当該事業部門の売上高の10%以上」でも要件を満たすこととなりました。

  • 2021年11月以前に終了する事業年度の売上高が10億円以上の事業者
  • 事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上の場合

見直し・拡充②:補助対象経費の見直し(第5回公募から)

見直し・拡充の2点目は、「補助対象経費の見直し(貸工場賃借料)」で、第5回公募から行われます。

「補助事業実施期間内に工場の改修等を完了して貸工場から退去する」ことを条件に、「貸工場の賃借料」が補助対象経費として認められることに。

なお、貸工場の賃借料や貸工場への移転費など、「一時移転に係る費用」は補助対象経費総額の1/2が上限です。

見直し・拡充③:売上高10%減少要件の緩和(第6回公募から)

見直し・拡充の3点目は、「売上高10%減少要件の緩和」で、第6回公募から行われます。

第5回公募までは、必須申請要件のひとつとして(a)と(b)の両方を満たす必要がありますが、第6回公募からは(b)の要件が撤廃に。

  • (a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前(2019年または、2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、
  • (b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月間の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること

第6回公募からは、下図のように「コロナ前後を比較して10%以上減少」していれば申請可能です。

出典:経済産業省

要件を一部緩和させたことで、補助金事業の使い勝手を向上させます。

ただし上記は、「回復・再生応援枠」、「最低賃金枠」、「通常枠」、「大規模賃金引上枠」での要件となり、「グリーン成長枠」では売上高10%減少要件は必要ありません

また、「回復・再生応援枠」や「最低賃金枠」では、売上高10%減少要件とは別に、単月で30%以上の減少が必要です。

 

見直し・拡充④:回復・再生応援枠の創設、緊急事態宣言特別枠の廃止(第6回公募から)

見直し・拡充の4点目は、「回復・再生応援枠の創設」と「緊急事態宣言特別枠の廃止」で、第6回公募から行われます。

新規の申請類型となる「回復・再生応援枠」は、次の事業者を対象として、補助額は最大1,500万円(従業員規模に応じ、500万円、1,000万円または1,500万円)、補助率を3/4に引上げます。

  • 引き続き業況が厳しい事業者:2021年10月以降のいずれかの月の売上高が、2020年または2019年の同月比で30%減少
  • 事業再生に取り組む事業者:再生支援協議会スキーム等に則り再生計画を策定

また、「主要な設備の変更を求めている要件」を課さないことで、事業再構築に取り組むハードルを緩和する点もポイント。

「回復・再生応援枠」が創設されたことで、「緊急事態宣言特別枠」は廃止されます。

見直し・拡充⑤:グリーン成長枠の創設、卒業枠・グローバルV字回復枠の廃止(第6回公募から)

見直し・拡充の5点目は、「グリーン成長枠の創設」と「卒業枠・グローバルV字回復枠の廃止」で、第6回公募から行われます。

新規の申請類型となる「グリーン成長枠」は、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す次の事業者を対象に、最大1.5億円を補助します。

  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う事業者

また、「グリーン成長枠」では売上高10%減少要件が課されません。

「グリーン成長枠」の創設によって、「卒業枠・グローバルV字回復枠」は廃止となります。

見直し・拡充⑥:通常枠の補助上限額の見直し(第6回公募から)

見直し・拡充の6点目は、「通常枠の補助上限額の見直し」で、第6回公募から行われます。

限られた政策資源でより多くの事業者を支援するため、「通常枠」の補助上限額が、下表のように見直されました。

従業員規模 第5回公募までの補助金額 第6回公募以降の補助金額
20人以下 100~4,000万円 100~2,000万円
21人~50人 100~6,000万円 100~4,000万円
51人~100人 100~8,000万円 100~6,000万円
51人~100人 100~8,000万円 100~8,000万円

見直し・拡充⑦:補助対象経費の見直し(第6回公募から)

見直し・拡充の7点目は、「補助対象経費の見直し(建物費・研修費)」で、第6回公募から行われます。

「建物費」は原則として「改修の場合」に限られ、新築の場合には一定の制限がかかることに。

また「研修費」については、補助対象経費総額の1/3が上限となります。

見直し・拡充⑧:複数企業等連携型の新設(第6回公募から)

見直し・拡充の8点目は、「複数企業等連携型の新設」で、第6回公募から行われます。

1者あたり各申請類型の上限額を上限に、最大20社まで連携して申請することが認められ、一体的な審査が行われることに。

この場合の「売上高10%減少要件」は、次のどちらかを満たせば要件を満たすこととなります。

  1. 各者で要件を満たすこと
  2. 連携体合算で要件を満たすこと(ただし同月を用いる)

見直し・拡充⑨:事前着手の対象期間の見直し(第6回公募から)

見直し・拡充の9点目は、「事前着手の対象期間の見直し」で、第6回公募から行われます。

現在は、次のように事前着手制度が認めれられています。

  • 補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和3年(2021年)2月15日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とする

この対象期間が、現在の「令和3年(2021年)2月15日」から見直されることに。

そのため、すでに事前着手を開始している事業者については、第6回公募以降は対象経費として認められなくなる可能性があります。
事前着手を開始している事業者の方は、第5回公募までに申請を行いましょう。

事前着手制度については、こちらの記事でくわしく説明しています。

【事業再構築補助金】事前着手申請制度とは?概要・申請方法・注意点まで解説【第4回公募対応】

 

まとめ:事業再構築補助金の見直し・拡充内容を把握して、申請の準備を

この記事では、事業再構築補助金の令和3年度補正予算案での制度概要と見直し・拡充内容を解説してきました。

ぜひ記事を参考に、事業再構築補助金の見直し・拡充内容を把握して、申請の準備を行いましょう。

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