【事業再構築補助金 第1回公募結果を受けて】事業計画書作成・申請のポイントを解説

 第1回公募結果とともに、今後の申請に役立つ動画や資料も公開された事業再構築補助金。

ただ、せっかくの情報ですが動画のため要点がつかみにくく、気を付けるべき点がわかりにくくなっています。

そこでこの記事では、事業再構築補助金の第1回公募結果を受けて公表された動画や資料をもとに、事業計画書作成・申請のポイントをまとめ、解説していきます。

「第1回公募で不採択になったため、再度申請したい」と考えている経営者の方も、ぜひご覧ください。

また、採択結果をもとに独自分析を行った記事も公開していますので、こちらも併せてご覧ください。

【事業再構築補助金】審査結果から独自分析!採択事業の事業種類・投資内容・支援機関を読み解く

 

事業再構築補助金の第1回公募結果について

 事業再構築補助金の第1回公募採択結果は、2021年6月16・18日に公表されました。
22,231件の応募があり、8,016件が採択されたため採択率は36%

出典:経済産業省

同時に経済産業省からは、下記の動画と資料が公表されました。
これから申請を行う方は、必ずチェックしておきましょう。

第1回公募終了 ~その傾向と参考事例~(You Tube動画)
第1回公募を振り返って ~事業計画作成のアドバイス~(You Tube動画)
事業再構築補助金:電子申請にあたってご注意いただくこと

 次項からは、上記動画・資料をもとに「事業計画書作成」と「申請」のポイントをわかりやすく解説していきます。

なお、第1回公募結果については、こちらの記事でくわしくご紹介しています。

【事業再構築補助金】第1回公募の採択結果を確認!採択率や3つの課題も紹介します

事業再構築補助金の第1回公募結果について

まず1つめの事業計画書作成のポイントは、「要点を明確にする」ことです。

 動画「第1回公募を振り返って」によれば、事業計画のなかには「現在の事業がどれほど大変か」について長々と記載したものがあり、こういったケースでは「要点」が埋もれ、審査員も読んでいて探せないのだとか。

動画では以下の3つの要点を挙げていますので、特に目立つように記載しましょう。

前提事項:事業計画書の考え方

要点を確認する前に、まずは前提として「事業計画書の考え方」をご紹介します。
動画では下図を用いて解説がありました。

出典:事業再構築補助金事務局:第1回公募を振り返って

事業計画書とはつまり、次の内容を記載して審査員に伝えるものです。

  • 現状:売上が下がってしまった
  • 理想:こういう新規事業をはじめたい
  • 顧客規模:「理想」をかなえるためには、このくらいのお客さんが必要
  • 根拠:なぜこの新規事業をやり、この「顧客規模」が考えられるのか
  • 投資対効果:○円の費用がかかるが、○円の効果が見込める

それぞれの項目をわかりやすく、順序立てて記載しましょう。
特に「根拠」をよく調べて書くと、説得力が増します。

要点①「新事業で何をするのか?」

要点の1つめは、「今までどういう事業をやっていて、新事業で何をするのか」です。

補助金の題目が 「事業再構築」ですので、「何がどう変わるのか」を明確にすることは第一。
まずはそれを言い切りましょう。

要点②「なぜその事業を選択したのか?」

次の要点が、「新規事業として、なぜその事業を選択したのか」です。

「なぜそれをできるのか」・「自社の強みがどう生かされるのか」を書き出しましょう。

 動画では、次の事例を挙げています。

  • 例)新聞配達事業にて:新聞に入れる折込チラシが激減で一時保管等の中間配送施設の稼働率が落ちている
     →地元のお店などのデリバリーの拠点として活用する
  • その中間配送施設(倉庫)が、なぜ地元密着の配送に役立つのか?
     →確かに物を届けきるノウハウと知見があるから

要点③「顧客規模はどの程度か?」

 3つめの要点が「顧客規模はどの程度か?」です。

ただし動画でも、「顧客規模を算出する」具体的な方法までは紹介していません。

中小企業庁担当者は「『顧客規模を推定なんて、どうするかわからない』というのも、今はしょうがない。だがそれを超えていかないと、事業再構築にならない」と述べています。

そして「顧客規模」がなければ「投資対効果」も測れず、採択される事業計画になりません。

支援機関に協力を仰ぎ、「新規事業と同事業を行っている企業を研究する」などして、できるだけ根拠をもった「顧客規模」を打ち出しましょう。

【事業計画書作成のポイント2】「再構築指針の手引」から考えるヒントを得る

 前述のポイント1でも記載したとおり、事業計画では「理想」や「顧客規模」などを、ひとつひとつ考えていきます。

ですが、それをゼロから考えるのは大変。
そこで「事業再構築指針の手引き」から考えるヒントを得ていきましょう。

出典:事業再構築指針の手引き

ただし、先に類型を調べ「じゃあどういう事業をはじめよう」ではなく、逆で考えてください。

おおまかに考えた新規事業を「指針の手引き」のルールをパスするように考えていけば、理想に近い事業計画になります。

どの類型でも採択率は変わらない

動画によれば、「どの類型で申請しても、採択率は変わらない」とのことです。

イメージ的に「新分野展開よりも業態転換のほうが手間がかかるため、採択率が高いのでは?」と考えがちですが、それはないそう。

「自社が行う事業再構築に、どの類型が最も近いのか」を考えていきましょう。

【事業計画書作成のポイント3】「短くコンパクトに書く」ことを意識する

動画「第1回公募終了」によれば、「事業計画書は15ページでは足りない」という意見も多数だったそうです。

しかし事業計画は「短くコンパクトに書く」ことを意識すべき。
すると「本当に大事なポイントは何なのか?」が見えてきます。

「心配なこと」や「できそうなこと」をすべて書いていると、結局どの項目を優先すべきかわからず、どこにも注力できないことに。

多くの「できそうなこと」のなかでも、特に「これ!」という項目を決める。
そして決めた項目について注力する。

動画でも「成功しそうな事業計画ほど、コンパクトにまとまっている」と述べられています。
ぜひコンパクトな事業計画を目指しましょう。 

【事業計画書作成のポイント4】複数事業者による連携「束ね」を検討する

これは事業計画書の「作成前」の話になりますが、中小企業庁では「束(たば)ね」を推奨しています。

複数事業者による連携を検討してほしい」というもので、行政事業レビュー「公開プロセス」でも挙がりました。

たとえば「商店街の店が別々にデリバリーするのではなく、新聞配達のデリバリー網を共同で使う」など。

なお、「束ね」は審査項目(4)政策点に該当するため「加点」され、採択されやすくなります。
同じ地域、同じ業種などで、連携できそうな企業がないか検討してみてください。

ただし、申請時に「共同申請」してしまうと、たとえば3社で出した事業計画が1件として扱われ、3社すべてで最大6,000万円ということに。

そこで3社バラバラに申請すれば、それぞれで最大6,000万円、3社集まれば1億8,000万円の事業が行なえます。
このときは、申請書に忘れずに連携した旨を記載してください。

【申請のポイント1】必要書類を添付する

 ここからは、資料「事業再構築補助金:電子申請にあたってご注意いただくこと」を参考に、電子申請時のポイントをご紹介します。

事前情報として、第1回公募の応募件数は22,231件ですが、このうち申請要件を満たしたものは19,239件(公募結果資料より)。

つまり2,992件、応募件数の13.5%が「書類不備等で申請要件を満たさなかった」ことになります。

せっかくいい事業計画を作っても、「書類不備」で落とされては意味がありません。
第1回公募での事例を確認して、「書類不備」を防ぎましょう。

まず最初の申請のポイントは、「必要書類を添付する」として、特に注意したい書類をご紹介します。

[必要書類①]売上高減少を証明する書類

注意したい必要書類の1点目が「売上高減少を証明する書類」です。

法人・個人事業主それぞれで、さらに「申請に用いる任意の3か月で、決算が確定していない月がある場合」と「確定している場合」で必要な書類が異なりますので、注意してそろえてください。

1.法人:任意の3か月で決算が確定していない月がある場合
 ①コロナ前後それぞれの年度の確定申告書別表一の控え
 ②コロナ前後それぞれの法人事業概況説明書の控え(両面)
 ③決算が確定していない月の売上台帳+確定申告の基礎となる書類

2.法人:すべての月で決算が確定している場合
 ①コロナ前後それぞれの年度の確定申告書別表一の控え
 ②コロナ前後それぞれの法人事業概況説明書の控え

3.個人事業主:任意の3か月で決算が確定していない月がある場合
 ①コロナ前後それぞれの年度の確定申告書第一表の控え
 ②コロナ前後それぞれの申告決算書の控え(計2枚)
  ・青色申告の場合:所得税青色申告決算書
  ・白色申告の場合:所得税白色申告決算書
 ③コロナ前後それぞれの月間売上が確認できる書類
  ・青色申告の場合:所得税青色申告決算書の2ページ目および決算がまだ終わっていない月の売上台帳+確定申告の基礎となる書類
  ・白色申告の場合:選択した全ての期間を含む売上台帳+確定申告の基礎となる書類

4.個人事業主:すべての月で決算が確定している場合
 ①コロナ前後それぞれの年度の確定申告書第一表の控え
 ②コロナ前後それぞれの申告決算書の控え(両面)
  ・青色申告の場合:所得税青色申告決算書
  ・白色申告の場合:所得税白色申告決算書
 ③コロナ前後それぞれの月間売上が確認できる書類
  ・青色申告:所得税青色申告決算書の2ページ目
  ・白色申告:売上台帳+確定申告の基礎となる書類

[必要書類②]売上高減少として選択した年月の書類

注意したい必要書類の2点目が「売上高減少として選択した年月の書類」です。

「売上高減少として選択した年月」つまり「申請に用いる任意の3か月」は、コロナ以前とコロナ後で「同3ヶ月」を比較する必要があります。

たとえば、コロナ以前を「2019年10月~12月」と決めた場合は、コロナ後は「2020年10月~12月」となり、それぞれの月の必要書類をそろえます。

これがコロナ後を「2020年8月~10月」としてしまうと、「同3ヶ月」にはあたらず、「要件満たさず」となりますので気をつけてください。

[必要書類③]ミラサポ Plus の「事業財務情報」

3点目の注意したい必要書類が、経済産業省のミラサポ Plusで作成する「事業財務情報」です。

初期の公募要領では、次のように記載されていたため、まちがって「ローカルベンチマーク」を送ってしまった方もいるかもしれません。

  • ⑤ミラサポ Plus 「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報

しかし現在の公募要領では、以下のとおり修正されています。

  • ミラサポ Plus 「電子申請サポート」の事業財務情報

なお、 「事業財務情報」の出力方法は、こちらの記事でわかりやすくご紹介していますので、方法を知りたいときはご覧ください。

ミラサポplus「活動レポート(ローカルベンチマーク)」の事業財務情報の出力方法【事業再構築補助金 添付書類】

【申請のポイント2】確認書には正しく支援機関・事業者名を記載する

申請のポイントの2つめは、「認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書には正しく支援機関・事業者名を記載する」です。

書式データはこちら。

 そして資料では「要件を満たさなかった事例」として、次の2点が紹介されています。

  1. 「認定経営革新等支援機関による確認書」に記載された法人名等が申請者と異なる
  2. 認定経営革新等支援機関ではなく申請者名で確認書が作成されている

書式データをみると、たしかに「支援機関と事業者名のどちらを書くの?」と迷う書式です。
資料によれば下画像のとおり、①と③が支援機関、②が事業者名となりますので、間違えないよう支援機関にも伝えましょう。

出典:電子申請にあたってご注意いただくこと

なお「補助金額3,000万円を超える事業計画」の場合は、「認定経営革新等支援機関による確認書」のほか「金融機関による確認書」も必須

ただし金融機関が認定支援機関も兼ねている場合は、「認定経営革新等支援機関による確認書」のみでOKです。

【申請のポイント3】書類データにはパスワードをかけない、破損がないか確認

最後の申請のポイントは「書類データにはパスワードをかけない」と「ファイルに破損がないか確認する」です。

「データにパスワード」は、パソコンにインストールしているソフトなどによって、自動的にパスワード設定されてしまうことも。
システム担当者など、パソコンの設定を行った社員に聞いて、書類データにパスワードがかからないことを確認しましょう。

「ファイルの破損」は、データを開いてみればわかります。
面倒ですがすべてのデータを開き、ファイルの破損や文字化けがないかを確認しましょう。

まとめ:事業計画書作成・申請のポイントをつかみ採択へ

この記事では、事業再構築補助金の第1回公募結果を受けて公表された動画や資料をもとに、事業計画書作成・申請のポイントを解説してきました。

ぜひ記事を参考に、第1回公募結果からの事業計画書作成・申請のポイントをつかみ、次回公募での採択を目指しましょう。

なお、第1回公募について、経営者コネクトでご支援した事業者様の採択率は83%中小企業(通常枠)の上限となる6,000万円で採択された企業も複数ありました。
経営者コネクトの事業計画書作成支援サービスをご検討される方は、ぜひ下記サイトをご覧ください

 

また事業再構築補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの13種類を纏めていますので、合わせてお読みください。

【最新】中小企業が利用できる補助金・助成金13選!目的・金額・条件を徹底解説