銀行融資では誰とリレーションを築くべき?銀行員の役職や職種、関係構築の方法を解説!

中小企業の多くが、資金調達を考えた際に、まずは銀行からの融資を検討するでしょう。

銀行融資では通常、口座を作った支店が担当となり、そこの融資担当者が窓口となって融資や金融商品のセールスを行います。銀行員の役職や職種はさまざまで、融資を受けるためには適切なアプローチをすることが大切です。

融資のキーマンになる銀行員は誰なのでしょうか?
どうやって知り合い、どう付き合えば良いのでしょうか?

銀行員の職種はさまざま

一口に銀行員と言っても、配属された場所によりさまざまな仕事をしています。
以下に主な職種を紹介します。

 法人融資担当の銀行員

法人が融資を受ける際、直接的にやり取りをするのが、支店の法人融資担当です。

中小企業の多くは、どの銀行と取引するかを決めて、企業の所在地から一番近くにある支店に口座を作ります。
口座を作ると法人営業の担当者がつき、融資などの相談をすることができるようになります。

融資を受けている場合には業績確認のために月1回程度銀行員が訪問するのが一般的です。
この時に試算表などを利用して足元の業績の説明を求められることも多いので、正直かつ正確に報告しましょう。
決算が出た後に「赤字です」と報告すると、銀行からの信用がなくなり、融資を引き上げられてしまう可能性もあります。

また、法人融資の担当は、融資だけではなく、法人向けの投資信託や債権などの金融商品の販売や為替・外国為替などのセールスも同時に行います。
さらに、最近では不動産販売、ビジネスマッチングやコンサルティング紹介など、顧客のニーズに合わせたソリューション営業に注力する銀行も多いです。

金融に限らず何か困ったことについて相談すると、グループ会社などを紹介してくれることもあります。

融資以外の取引が広がれば、融資が厳しい状況でも「他の取引もあり応援したい顧客」と助けてくれる可能性も高くなりますので、リレーションをしっかり築いておくことは重要です。

本部勤務の銀行員

銀行の本部には、銀行の金融商品を企画・開発したり、一定の情報やサービス提供に特化したりする銀行員がいます。

たとえば、インターネットバンキングを企画する部署では、銀行内で企画や開発をする人もいれば、法人営業の担当者と一緒にセールスに出て商品紹介をする銀行員もいます。

また、海外情報を提供する部署ならば、海外の情報を徹底的にリサーチしてレポートを作る人と、その情報を顧客に伝えたり、海外支店に連携したりする銀行員もいます。

その他にも、M&A、事業承継、遺言、デリバティブ運用などの情報が欲しいという場合に、支店担当者ベースでは知識が薄くても本部担当者なら情報提供できる場合もあります。

もし困りごとがあれば一度担当者に本部に繋いでもらう相談をしてみると良いでしょう。

銀行員の職種はさまざま

この他にも銀行には様々な職種がありますので、身近な一例を挙げておきます。

預金担当の銀行員

支店に行くと、窓口に座っている担当者で、一般職として入行した女性社員がこのような仕事を担うことが多いです。
口座開設や変更手続きなどを行うローテラーと、振り込みや両替など為替を担当するハイテラーがあります。

渉外担当の銀行員

支店には個人の住宅ローンやカーローン、資産運用の相談(ファイナンシャルプラング)を行う銀行員もいます。
このような業務を渉外といいます。

外国為替担当の銀行員

銀行によっては外国為替の窓口が支店にあるところもあります。

キャッシュの交換をしたり、海外送金を行ったりという業務が主です。
企業の依頼を受けて、法人営業担当者と為替予約を取ることもします。

 法人融資担当の銀行員

また、銀行とのリレーションを考える上では、担当者の役職を意識することも大切になってきます。
ここでは、銀行員の役職の例を支店・本部に分けて紹介していきます。

支店における役職の序列

支店における役職は、上からおよそ以下のような序列となっています。
(各銀行により多少差はあるかと思います。)

役員
支店長
副支店長
次長
課長
支店長代理
係長
主任
一般行員(役なし)

中小企業が一番付き合いが多い支店の融資担当の序列について紹介します。

まず、支店長は支店で一番の権力を持ち、融資額によっては支店長の決裁により融資の実行が決まります

副支店長は守りの役職で、あまり外には出ずにコンプラ・行内ルールのチェックなどを細かく行います。

融資担当課長(次長)は部下を持ち、課の融資ノルマが達成するようにマネジメントを任されます。
また、後述しますが支店長に融資の可否を納得させるキーパーソンでもあるのです。

融資担当支店長代理は役付者として一般行員のOJTなどを行いながら、自らもプレイヤーとしてノルマ達成のために働きます。
大手企業〜中堅企業は支店長代理が担当することが多いです。

融資担当一般行員・主任・係長は、自分が任された担当顧客に対する融資や金融商品の販売などを行います。

本部における役職の序列

一方、銀行の本部人材については、役職の序列は以下の通りです。

役員
部長
副部長
次長
上席調査役
調査役
係長
主任
一般行員(役なし)

役職名は異なりますが、支店長代理=調査役、課長=上席調査役と言った具合で、支店→本部へ人事異動するときは役職はこのように変わります。

ほとんどの銀行では、支店を経験してから本部へ異動することになるので、本部人材でも支店の事情はある程度分かっているはずです。

支店だけを渡り歩く人は少なく、支店から本部へ移動したり、本部から支店へ戻ったりすることはよくある話です。

融資審査のキーマンは誰?

ここまで、銀行員の担当業務や、銀行員の役職別の階級について紹介してきました。
いよいよ、融資を受けたい場合のキーマンについて説明していきます。
銀行融資は、格付・融資額により決裁者も異なります。

支店長決裁の場合

格付や融資額によっては、支店長決裁で融資を受けられることもあります。

支店ごとに融資のノルマが割り振られていることもあり、基本的に支店長としては支店のノルマ達成のために積極的に融資をしたいと思っています。

そのため、支店長決裁で業績などに大きな問題がない場合は審査は通りやすくなります。
しかし、信用に不安がある場合は債務不履行回避のために小さな額でも融資はしません。
もし、債務不履行となり融資による損失ができれば支店長が責任を取る必要があるからです。

この場合のキーマンは「融資担当課長」です。

融資担当課長は、支店の中で法人融資を担う役付者で支店長と担当者の間に入る銀行員です。

支店長に会うのが難しくても融資担当課長ならば比較的会いやすいので、まず担当者に融資担当課長と会わせてもらうよう依頼して、良好な関係を構築することをおすすめします。

そして、将来のビジョンや足元の業績などをなるべく細かく説明して、融資額をきちんと返済できる根拠を伝えることが大切です。

融資担当課長が融資の妥当性を納得してくれたら、融資担当課長から直接支店長に融資について相談してくれます。
実際に「融資担当課長が大丈夫だというのであれば融資を通そう」と考える支店長も多いです。

融資部や審査部が決裁する場合

格付が悪かったり、融資額が大きかったりすると、本部の融資部や審査部の決裁になります。

融資部や審査部の場合、支店長決裁に比べるとリスクが高い融資となるため判断は慎重になります。

基本的に融資部や審査部の人はお客さまのところに足を出向くことはなく、支店から提出された資料の数字だけで融資可否を判断するので、非常にシビアです。

これは感情なしに、実際に返済ができるのかを見極めるためでもあります。

このような場合、キーマンは融資の窓口となる担当者です。

特に難しい融資の場合は、融資部や審査部は融資を通すための資料の依頼や融資内容の変更指示なども頻繁になります。

その度に担当者は稟議を書き換えたり、追加資料を作ったりするのですが「この企業に絶対融資を受けさせたい」というパッションがなければ、融資部・審査部から否定的な姿勢を取られると融資を諦めてしまうでしょう。

このような背景もあるので、担当者に追加説明や資料などを依頼された場合は、面倒な顔をせずにすぐに対応したほうが良いといえます。

そうすれば担当者はもちろん、融資担当課長・支店長が融資を受けられるように工面してくれることに期待できます。

支店長や融資担当課長と知り合う方法と関係構築のやり方

企業の規模によっては、担当者が訪問するだけでなかなか支店長・融資担当課長と会えないこともあるでしょう。

支店長・融資担当課長に会いたい場合は、担当者にダイレクトに伝えると良いです。
顧客からの依頼であれば基本的には快く面談の席を設けてくれます。

また、銀行が支店の顧客を集めて開催する会食やゴルフコンペ、講演会などに顔を出すのも良いかもしれません。

また、融資意外の取引も増やすことで支店長や融資担当課長にお礼に来てもらえるようになり、関係構築ができます。

たとえば、法人の定期預金の作成や債権・株などの購入、外国為替取引の利用、インターネットバンキングの利用、従業員の給与・経費振り込み口座の指定などです。
法人だけではなく経営者個人の資産運用取引なども良いでしょう。

企業の規模が小さくても取引が多ければ、重要な顧客と見てもらえる可能性が高くなります。

もし、銀行との関係が上手くいっていなかったり、対応が遅いなどの不満がある場合は「取引を減らそうと思う」など担当者に伝えるのも良いかもしれません。
担当者としては、取引を他行に持っていかれるのを非常に嫌がります。

関係再構築に動いてくれる可能性も高くなり、担当者だけではなく支店長や融資担当課長が出て説得しに来ることもあるでしょう。

ただし、銀行としても取引を止めたいと感じている場合、本当に取引が終わってしまう可能性もあります。
特に業績不振の場合は融資の返済を依頼される可能性もあるので、業績が良い時に限り有効な手段です。

まとめ

銀行員の役職の序列は一般社員から支店長まで細かく分かれています。

格付や融資額により決裁者が変わりますが、まずは担当者との関係構築が大切です。
融資の稟議を書くのは担当者で、その担当者に「この企業に絶対に融資を受けさせたい」という気持ちを持ってもらえないと話が進まないからです。

支店長・融資担当課長に会いたい場合は担当者に依頼すると面談をセッティングしてくれるでしょう。
支店長や融資担当課長との関係構築ができていれば、万が一緊急で融資が必要になった時などでも優先的に取り合ってくれます。

重要な顧客と思ってもらうためには法人・経営者個人での金融商品の購入などを行い取引を拡充するのも一つです。

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融資を受けるまでには、準備や審査の時間がかかります。申請から入金までに1か月以上かかることもありますので、早めにアクションをしましょう。

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