事業を続けるうえで重要となる「資金繰り」。
ときには、緊急で資金が必要になることもあるかと思います。
こういった至急の事態に便利な融資商品が「ビジネスローン」です。
ですが、デメリットまで理解していないと、後々の融資審査で不利になってしまうことも。
そこでこの記事では、ビジネスローンのメリット・デメリットを紹介し、カードローンとの違いなどの疑問にも答えていきます。
「いざというときのために、ビジネスローンのことをよく知っておきたい」という経営者の方は、ぜひご覧ください。
ビジネスローンとは?基本情報を紹介
まずは、ビジネスローンの基本情報をご紹介します。
ビジネスローンとは?
ビジネスローンとは、法人経営者や個人事業主だけが申し込める「事業資金専用の融資商品」のことで、銀行などが取り扱っています。
くわしくは後述しますが、ビジネスローンには銀行からの融資にくらべて審査が通りやすく、融資実行までが早いというメリットがあります。
緊急の資金調達が必要になった場合に便利ですが、金利が高いというデメリットも。
そのため、どうしても資金調達が必要な「逼迫した状況」以外は利用を控えた方が良いといえます
なお、ビジネスローン以外の「中小企業の資金調達方法」を知りたい方は、記事「中小企業の資金調達の実態とは?銀行以外の資金調達方法も紹介!」もご覧ください。
ビジネスローンを提供する金融機関
ビジネスローンを提供する金融機関には、大きく分けて次の3つがあります。
- 銀行 (みずほ銀行の「スマートビジネスローン」など)
- 信販会社 (オリコの「ビジネスサポートプラン」など)
- 消費者金融(アイフルの「事業者向けビジネスローン」など)
それぞれの金融機関によって、提供するビジネスローンの商品内容に違いがあることも特徴。
信販会社や消費者金融のビジネスローンは、銀行にくらべ借りやすいものの高金利です。
銀行のビジネスローンは比較的低金利ですが、担保や保証人が必要なケースがあるなど、やや借りづらいことも。
ビジネスローンごとの特徴をつかみ、最適な商品を選んでください。
ビジネスローンのメリット
次に、ビジネスローンのメリットをご紹介します。
〈メリット①〉審査が通りやすい
ビジネスローンのメリット1つめは、「銀行融資にくらべて審査が通りやすい点」です。
「審査が甘い」とまでは言い切れませんが、銀行融資の審査を通るのは厳しい事業者であっても、借り入れできる可能性が高いことは事実です。
なかでも消費者金融が提供するビジネスローンは、とくに審査が通りやすいといわれます。
ですが「審査が通りやすい」ことは、つまり「金融機関側のリスクが高い」ということ。
リスクがある分、金利が高くなっていますので、返済まで手段などをよく考えて利用することが必要です。
〈メリット②〉審査が早い
ビジネスローンのメリット2つめは、「銀行融資にくらべて審査が早い点」です。
金融機関による融資の審査期間(審査にかかる日数)は、一般的には下表のとおりで、長いときはひと月以上かかることも。
既存事業者の取り引き | 新規事業者の取り引き | |
---|---|---|
プロパー融資の場合 | 数営業日~2週間 | 3週間~1か月程度 |
保証付き融資の場合 | 3週間~1ヶ月 | 1~3か月程度 |
一方のビジネスローンでは、最短で「即日融資」が可能になるケースもあります。
遅くとも、数日~1週間ほどで借り入れできることがほとんどですので、緊急で資金が必要となったときに便利な融資商品です。
〈メリット③〉総量規制の対象外
ビジネスローンのメリット3つめは、「総量規制の対象外となる点」です。
総量規制とは、「貸金業者からの借入残高が年収の1/3を超えるときは、新たな借入れができない」というルールで、お金の借り過ぎを防ぐために貸金業法で設定されています。
後述するカードローンは総量規制の対象となりますが、ビジネスローンは対象外。
そのため、個人事業主の場合でも年収に関わらず、資金の借り入れが行なえます。
〈メリット④〉無担保・無保証人可の商品が多い
ビジネスローンのメリット4つめは、「無担保・無保証人可の商品が多い点」です。
とくに信販会社・消費者金融のビジネスローンは、「無担保・無保証人可」の商品が多くなっています。
「担保になるような不動産がない」、「保証人になってくれる人がいない」という事業者にはありがたい条件です。
ただしくり返しますが、金融機関側のリスクが高い分だけ、金利も高いということは忘れないでください。
また銀行のビジネスローンでは、担保・保証人が必要となる商品も。
たとえば、楽天銀行の「楽天銀行ビジネスローン」では、商品説明に次のとおり明記されています。
- 担保:原則、担保の提供が必要です。
- 保証人:原則、経営者、もしくは実質的支配者の保証が必要です。
ビジネスローンのデメリット
次に、ビジネスローンのデメリットをご紹介します。
〈デメリット①〉金利が高い
ビジネスローンのデメリット1つめは、「金利が高い点」です。
事業融資の金利は、多くの銀行では1.0~3.0%、日本政策金融公庫なら0.30~1.45%(中小企業事業の主要利率)。
一方、ビジネスローンの金利は下表のとおりで、なかには最高金利が18.0%というところもあります。
金融機関とビジネスローン名 | 金利 | |
---|---|---|
銀行(メガバンク) | みずほ銀行:スマートビジネスローン | 1%台~14% |
銀行(メガバンク) | 三井住友銀行:ビジネスセレクトローン | 2.125%~ |
銀行(メガバンク) | 三菱UFJ銀行:Biz LENDING | 15%未満 |
銀行(ネット) | ペイペイ銀行:ビジネスローン(法人向け、個人事業主向け) | 1.8%~13.8% |
信販会社 | オリコ:ビジネスサポートプラン | 6.0%~15.0%(新規申込時は8.4%~15.0%) |
信販会社 | オリックス:VIPローンカードBUSINESS | 6.0~17.8% |
消費者金融 | アイフル:事業者向けビジネスローン | 5.0%〜18.0% |
消費者金融 | アコム:ビジネスサポートカードローン | 12.0%~18.0% |
金利の負担が大きく、経営を圧迫する可能性があるため、ビジネスローンは長期の借入には向きません。
〈デメリット②〉創業1年未満だと借り入れができないケースが多い
ビジネスローンのデメリット2つめは、「創業1年未満だと借り入れができないケースが多い点」です。
たとえば以下の金融機関では、「利用資格」に次の条件が明記されています。
- 三井住友銀行(ビジネスセレクトローン):業歴2年以上であること
- 楽天銀行(ビジネスローン):確定した決算書もしくは確定申告書3期分をご提出可能な方
- オリコ(ビジネスサポートプラン):業歴1年以上の法人・個人事業主
- オリックス(VIPローンカードBUSINESS):業歴1年以上の個人事業主の方
- アコム(ビジネスサポートカードローン):業歴1年以上の個人事業主の方で当社基準を満たす方
「利用資格」に上記の記載がない商品でも、事業期間が短いと審査で落とされる可能性も。
創業から間もない期間は、政策金融公庫などの「創業融資」を計画的に利用することが得策です。
創業融資については、記事「創業融資で人気の「政策金融公庫」と「制度融資」のメリット・デメリットを纏め!融資以外の資金調達方法も紹介」でくわしくご紹介しています。
〈デメリット③〉今後の融資審査で不利になる可能性がある
ビジネスローンのデメリット3つめは、「今後の融資審査で不利になる可能性がある点」です。
とくに、消費者金融などのノンバンクから借り入れしているケースで、審査が不利になることが。
これは金融機関が「ノンバンクから借り入れするということは、銀行や信用組合などから融資が受けられなかったからでは?」と考えるためです。
今後、銀行や日本政策金融公庫からの融資を考えている経営者の方は、消費者金融からの借り入れについてはよくご検討ください。
なお、そのほかの「融資審査で不利になるポイント」については、記事「金融機関の融資審査で不利になることとは?融資の疑問も解消」をご覧ください。
ビジネスローンについての疑問に答えます
記事の最後に、ビジネスローンについての疑問にお答えしていきます。
〈疑問①〉 ビジネスローンは個人事業主でも利用できる?
ビジネスローンは法人だけでなく、個人事業主でも利用できます。
ただし、すべてのビジネスローンで対象ではなく、「個人事業主が対象外」という商品もありますので、申込時には「利用資格」などをよくご確認ください。
使途は「事業性資金」のみですので、個人事業主として借り入れた場合でも「生活資金」に使うことはできません。
また、事業を営んでいない個人の方では、ビジネスローンの利用は不可です。
〈疑問②〉ビジネスローンとカードローンの違いは?
ビジネスローンとよく似た融資商品に「カードローン」がありますが、この2つには次のような違いがあります。
ビジネスローン | カードローン | |
---|---|---|
利用できる対象者 | 法人、個人事業主 | 個人 |
資金の使いみち | 事業性資金 | 自由(ただし事業資金には使えない) |
利用限度額 | 10万円から500万円まで(10万円単位)※1 | 最大1,000万円 ※1 |
金利 | 1.8~13.8% ※1 | 1.59~18% ※1 |
担保・保証人 | 必要となる場合もある | 原則として不要 |
総量規制 | 対象外 | 対象 |
※1:ペイペイ銀行のビジネスローン、カードローンにおける限度額、金利
なお、表中の「総量規制」とは、お金の借り過ぎを防ぐために貸金業法で設けられたルールで、「貸金業者からの借入残高が年収の1/3を超えるときは、新たな借入れができない」というもの。
そのためカードローンでは、申請時に「年収を証明する書類」が必要となります。
〈疑問③〉即日融資されるビジネスローンはある?
即日融資されるビジネスローンもあります。
たとえば、オリックスのVIPローンカードBUSINESSや、アコムのビジネスサポートカードローンなどは「最短で即日融資」です。
即日融資できるのは、多くが信販会社や消費者金融のビジネスローン。
銀行のビジネスローンでは、数日かかることが多いようです。
短いものだと、ペイペイ銀行のビジネスローンが、ビジネスアカウントを持っていれば「最短で翌営業日」の借り入れとなっています。
〈疑問④〉 ビジネスローンにおける新型コロナ支援対策・サービスは?
新型コロナウイルス感染拡大が続き、さまざまな企業への影響が出ているなか、次のようなビジネスローンにおける新型コロナ支援対策・サービスが講じられています。
金融機関名称 | 新型コロナへの支援対策・サービス |
---|---|
京葉銀行 | 新型コロナ感染症拡大の影響を受けた法人を対象に、最大1億円を融資する「αBANKビジネスローン」を取り扱い開始。 |
東京スター銀行 | 「スタークイックビジネスローン」について、非対面での融資が可能に。申込みから契約まで来店不要、インタネットのみで完了 |
きらぼし銀行 | 「スモールビジネスローン」取り扱いのほか、「資金繰りのご相談(新型コロナウイルス関連融資等)」窓口を設置 |
みずほ銀行 | 「スマートビジネスローン」取り扱いのほか、「新型コロナウイルス対応資金繰り相談窓口」を設置 |
ペイペイ銀行 | 「新型コロナウイルスに関する各種ローンのご相談窓口」を設置。また現在は終了したが、「契約月から2ヶ月後の月末までを無利息期間とし、利息分のキャッシュバック」を実施(2020年8月31日まで) |
多くの銀行で「相談窓口」が設けられています。
ビジネスローンを利用していて、新型コロナの影響を受けている事業者の方は、ぜひご相談ください。
まとめ:メリット・デメリットまで理解してビジネスローンの利用を
この記事では、ビジネスローンのメリット・デメリットを紹介し、カードローンとの違いなどの疑問にも答えてきました。
即日融資もでき、至急の事態に便利な融資商品ではありますが、後々の融資審査で不利になってしまうなどのデメリットも。
ぜひ記事を参考に、メリット・デメリットまで理解したうえで、ビジネスローンの利用をご検討ください。
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