「中小企業再生支援協議会」とは?利用する流れ、新型コロナ特例リスケまで解説

「売上げが減って、借入金の返済が厳しい…」
このような状況のとき、「無料」で経営相談に乗ってくれる公的機関があることをご存知ですか?

それが今回ご紹介する「中小企業再生支援協議会」です。

この記事では、財務上の課題を持つ中小企業の経営者などの相談に応じてくれる「中小企業再生支援協議会」の基本情報、利用する流れ、新型コロナ特例リスケジュール支援まで解説していきます。

「資金難について誰かに相談したい」という経営者の方は、ぜひご覧ください。

「中小企業再生支援協議会」とは?

まずは、「中小企業再生支援協議会」の基本情報と支援の実績をご紹介します。

「中小企業再生支援協議会」とは?

「中小企業再生支援協議会」とは、中小企業の事業再生に向けた取り組みを支援する公的機関です。

産業競争力強化法に基づき、2003年から全国に順次設置され、現在は全国47都道府県に1か所ずつ設置されています。

中小機構:中小企業再生支援協議会の窓口一覧

企業再生に関する知識と経験を持つ、公認会計士・税理士・弁護士・中小企業診断士といった専門家が常駐し、次のような相談を受け付けます。

  1. 資金繰り
  2. 経営相談
  3. 金融機関対応
  4. 事業承継・廃業

ただし、融資や、融資のあっせん・仲介については行いません

また支援協議会では「守秘義務の遵守」を徹底していますので、相談内容が金融機関や取引先に漏れることはありません

「中小企業再生支援協議会」の支援の実績

「中小企業再生支援協議会」の支援の実績は、下グラフのとおりです。
2003年2月の発足以来、2020年度末までに49,971社からの相談に応じ、15,591社の再生計画の策定支援を完了しました。

窓口相談及び再生計画策定支援件数の推移 出典:中小企業庁

また2020年度(令和2年度)の対応状況をみると、下グラフのように、約3割が相談段階(一次対応)で課題が解決
そして、約5割が計画策定支援完了となっています。

出典:中小企業庁

協議会への相談持込者の内訳は下グラフのとおりで、金融機関による相談件数が企業による相談件数を上回ります。

ただし、年々企業側の相談数も多くなっており、とくに2019年度(令和元年度)から2020年度(令和2年度)にかけては、863社から2,917社と3.38倍も増加しました。

窓口相談への相談持込者の内訳 出典:中小企業庁

「中小企業再生支援協議会」利用で受けられる支援策

「中小企業再生支援協議会」を利用して事業再生を行う事業者は、次のような支援策を受けることができます。

ただし「協議会の利用」の他にも要件がありますので、支援策についてくわしくは各リンク先のウェブサイトをよくご確認ください。

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「中小企業再生支援協議会」を利用する流れ

次に、「中小企業再生支援協議会」を利用する流れをご紹介します。

相談対象となる事業者

支援協議会の相談対象となる事業者は、財務上の問題を抱えているが事業の収益性が見込め、事業再生意欲がある中小企業・個人事業者です。

事業拠点がある都道府県を管轄する協議会に相談できます。

たとえば次のような方は、利用をおすすめします。

  • 経営再建に向け、問題点などに対するアドバイスがほしい
  • 事業を継続しつつ、金融支援を得て立て直しを図りたい
  • 再生が困難な場合、新たな挑戦への支援がほしい

[流れ①]窓口相談(一次対応)

「中小企業再生支援協議会」を利用する流れとして、まずは一次対応となる、窓口相談に訪れます。

相談時には、次のような書類を持参しましょう。

  • 財務状況がわかる資料(直近三期分の決算書など)
  • 会社概要がわかる資料
  • その他、相談内容に応じて準備する資料

持参する資料は原則として提出するため、原本ではなく「写し」を持参してください。

この面談・提出資料の分析によって、経営上の問題点や具体的な課題を抽出し、担当者から課題の解決に向けた適切なアドバイスを行います。

たとえば、「関係支援機関の機能活用が適当である」と担当者が判断した場合は、よろず支援拠点などの支援機関を紹介。

「事業の再生が困難である」と判断した場合には、「再チャレンジ支援」の提案や弁護士など専門家を紹介します。

そして「再生計画の策定支援が適当である」と判断した場合は、次項の「再生計画策定支援」を行います。

 

[流れ②]再生計画策定支援(二次対応)

一次対応で協議会が必要と判断した場合には、二次対応として「再生計画策定支援」を行います。

そして二次対応には、大きく分けて次の6段階があります。

[二次対応①]企業概要把握

企業からの相談を受け、協議会では調査・検討を行って企業概要を把握します。

その後、相談者からの了解を得た協議会担当者が、相談者のメインバンクなどに財務・事業の状況と再生可能性を説明し、メインバンクの意向を確認します。

メインバンクの意向を踏まえ、協議会内で協議し、再生計画の策定支援を決定。
支援決定を相談者のほか、メインバンクなどに伝え協力を要請します。

支援決定後、協議会が専任した弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士などの専門家による「アドバイザーチーム」を構成。

そして「アドバイザーチーム」による次のデューデリジェンスを、1ヶ月ほどかけて実施します。

  • 財務精査デューデリジェンス:協議会が選定した公認会計士・税理士など外部専門家により実施
  • 事業デューディリジェンス:協議会が選定した中小企業診断士など外部専門家により実施

 

[二次対応②]事業計画策定

次に、協議会の以下のような支援を受けながら、相談者が主体となって具体的かつ実現可能な「事業計画」を策定します。

  • 事業見直し
  • 経営戦略(事業目標、重点課題設定)
  • アクションプラン(改善策、実施策) など

策定された「事業計画」については、公認会計士・税理士などが1ヶ月ほどかけて、次の検証を行います。

  1. 事業計画の数値検証
  2. P/L・B/S・C/F推移:年度別

[二次対応③]金融支援策策定

次に、以下のような手法のなかから、協議会でイメージして再生手法を提案。

  1. リスケジュール
  2. 協議会版暫定リスケジュール
  3. DDS
  4. 第二会社方式
  5. 債権放棄
  6. DES

再生手法は次のような要素をもとに、相談者とメインバンクなどが協議して決定します。

  • 金融機関の顔ぶれ
  • 税務問題
  • 保全状況
  • 保証人の状況 など

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[二次対応④]再生計画策定

「事業計画」に金融支援策を盛り込んで、「再生計画」を策定します。
この「再生計画」は、相談者の自助努力が十分に反映され、さらに次の内容が含まれていることが必要です。

  • 企業の概況
  • 財務状況(資産・負債・純資産・損益)の推移
  • 実態貸借対照表
  • 経営が困難になった原因
  • 事業再構築計画の具体的内容
  • 今後の事業見通し
  • 財務状況の今後の見通し
  • 資金繰り計画
  • 債務弁済計画
  • 金融支援(リスケジュール、追加融資、債権放棄等など)を要請する場合はその内容

再生計画案に金融支援を含む場合には、協議会が「再生計画」の内容の相当性・実行可能性を調査し、再生計画調査報告書を作成。
報告書は、対象となる債権者に提出されます。

[二次対応⑤]再生計画成立

次に、相談者・メインバンク・アドバイザーチームが協力のうえ、全ての対象債権者による債権者会議を開催

対象債権者のすべてが「再生計画」について同意し、その旨を文書などで確認した時点で「再生計画」が成立します。

 

[二次対応⑥]経営再建・フォローアップ

その後相談者は、成立した「再生計画」にもとづき、経営再建に向けた活動を開始

協議会の支援は再生計画が完了した時点で終了しますが、原則その後3年間はモニタリング(フォローアップ)を行います。

メインバンクと連携し、相談者の計画達成状況などについて確認。
必要に応じて外部専門家の協力を得て、再生計画の達成に向けた助言を行います。

「中小企業再生支援協議会」窓口相談の費用は無料

「中小企業再生支援協議会」への窓口相談(一次対応)は、何度利用しても相談費用は無料です。

また、再生計画策定支援(二次対応)は「アドバイザーチーム」への費用負担が発生しますが、国からの補助がありますので支援協議会にご確認ください。

中小企業再生支援協議会の「新型コロナ特例リスケジュール支援」

記事の最後に、中小企業再生支援協議会の「新型コロナ特例リスケジュール支援(特例リスケ支援)」についてご紹介します。

「特例リスケ支援」とは?

「新型コロナ特例リスケジュール支援(特例リスケ支援)」とは、新型コロナの影響で債務の支払いに悩む中小企業について、支援協議会が窓口相談・資金繰り計画の策定支援・金融機関との調整などを行う支援策です。

中小企業庁:新型コロナ特例リスケジュール

2020年4月にスタートし、具体的には次のような支援策が受けられます。

  1. 主要債権者の支援姿勢を確認のうえ、相談者に代わり、協議会が一括して最長1年間の既存債務の元金返済猶予を要請する
  2. 専門家による助言を受けながら、資金繰り計画を作成(希望する場合は、専門家の助言を受けながら、ポストコロナに向けた「事業継続アクションプラン」の作成も可能)
  3. 「特例リスケ支援」後の事業改善までの一貫したサポート

「特例リスケ支援」の対象となる事業者

「新型コロナ特例リスケジュール支援」の対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け資金繰りに悩む、開業届提出済みの中小企業・個人事業者です。

職種を問わず相談可能となっています。

「特例リスケ支援」を利用する流れ

「新型コロナ特例リスケジュール支援」を利用する流れは、以下のようになります。

流れ1:支援協議会に連絡

まずは、最寄りの「中小企業再生支援協議会」に連絡します。

中小機構:中小企業再生支援協議会の窓口一覧

なお、支援協議会によっては「事前相談申込書」を提出するところもありますので、事前に各協議会のウェブサイトも確認しておきましょう。

・例)神奈川県中小企業再生支援協議会:事前相談申込書(エクセルデータ)

流れ2:支援協議会に必要書類を提出

次に、支援協議会に以下の必要書類を提出します。

  1. 相談申込書
  2. 売上減の実態がわかる資料
  3. 借入についてわかる資料

流れ3:専門家によるヒアリング

支援協議会の専門家によるヒアリングが行われます。
現状の売上高減少と、向こう半年分の資金繰りを確認します。

流れ4:専門家が金融機関に連絡

次に、支援協議会の専門家が金融機関に連絡し、支援姿勢の確認を行います。
複数銀行がある場合でも対応可能です。

流れ5:元金返済猶予の要請

支援協議会で、複数銀行に一括して元金返済猶予の要請を行います。
短期間で既存債務の元金払いがストップ可能です。

 

流れ6:行動計画を策定し特例リスケ計画が成立

最後に相談者が、資金繰り計画や新型コロナ終息後に向けた「行動計画(事業継続アクションプラン)」を策定して、特例リスケジュール計画の成立です。

「行動計画(事業継続アクションプラン)」については、相談者が希望すれば、支援協議会による策定支援も行います。

その後、支援協議会では毎月の資金繰りの確認などを行い、相談者が希望する場合には、新型コロナ終息後の事業再生までのサポートも可能です。

 

「特例リスケ支援」の満足度

中小企業庁が実施したアンケートによると、「新型コロナ特例リスケジュール支援」の満足度は下グラフのようになり、利用者の97%が「満足」と答えています。

満足したおもな理由は次のとおりで、利用者からは高評価を得ました。

スピーディーな対応をしてもらい、ありがたかった
専門家のアドバイスを受けて、資金繰りを見直すことができた
複数いる債権者に対して、リスケを要請することができる点でありがたかった

また「特例リスケ支援」を利用した事業者は、過去に支援協議会を利用した者が73%。
そのため、中小企業庁では「支援協議会を利用したことがない方にもご利用いただけるよう、さらなる周知が必要」と述べています。

まとめ:「中小企業再生支援協議会」を利用して経営再建へ

この記事では、財務上の課題を持つ中小企業の経営者などの相談に応じてくれる「中小企業再生支援協議会」の基本情報、利用する流れ、新型コロナ特例リスケジュール支援まで解説しました。

ぜひ記事を参考に、「中小企業再生支援協議会」を利用して、企業の経営再建へつなげていきましょう。

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