「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは?令和3年度の制度概要・採択率も解説

2021(令和3)年度から開始された、新規事業の「先進的省エネルギー投資促進支援事業」

「省エネ補助金」とも呼ばれた「エネルギー使用合理化事業者支援事業」を引き継いだ事業となっています。

しかし、対象設備や事業区分、省エネ計画など申請方法が複雑なこともあり、「制度がよく理解できない」という方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の基本情報や令和3年度の制度概要、採択率などを解説していきます。

「令和4年度(2022年度)の申請を検討している」という経営者の方は、ぜひご覧ください。

「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは?

まずは、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の基本情報をご紹介します。

「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは?

「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは、設備の導入によって省エネルギー対策を行う事業者を支援する補助金制度です。

令和3年度(2021年度)に新規事業として開始。
初年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の公募は6月30日で締め切られ、8月31日に採択結果が公表されました。

なお、補助金事業の事務局(補助事業者)は、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)です。

(参考)
SII:令和3年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業 公募情報

「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の前身は、「省エネ補助金」とも呼ばれた「エネルギー使用合理化事業者支援事業」。

「エネルギー使用合理化事業者支援事業」は平成23年度~令和2年度の期間に実施されています。
10年間の累計申請件数は約24,400件、採択件数は約14,900件となりました。

出典:SII

令和4年度も補助金公募は実施される?

現時点では、経済産業省や資源エネルギー庁のサイトなどを見ても、令和4年度の「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の公募実施は明言されていません。

しかし、経済産業省の令和3年度事業の資料では、成果目標の箇所で「令和3年から令和12年までの10年間の事業」と説明。
そのため、令和4年度も補助金公募が実施される可能性は高いと考えられます。

出典:経済産業省

(参考)
経済産業省:先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

令和3年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の採択率・採択金額

令和3年度(2021年度)の「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の採択率は、下表のようになりました。

  申請件数 採択件数 採択率
(A)先進事業
(B)オーダーメイド型事業
(D)エネマネ事業
70件 59件 84.3%
(C)指定設備導入事業 2,323件 1,241件 53.4%

(参考)
・SII:新規採択事業の結果について
・SII:区分A・B・D 交付決定案件一覧
・SII:区分C 交付決定案件一覧

(A)・(B)・(D)は採択率は高いものの、(C)にくらべ申請件数がかなり少なくなっています

さらに「(C)指定設備導入事業」の詳しい内訳は下表のとおりです。

(C)指定設備導入事業 ユーティリティ設備

  申請件数 採択件数 採択率
高効率空調 948件 594件 62.7%
産業ヒートポンプ 6件 4件 66.7%
業務用給湯器 20件 6件 30.0%
高性能ボイラ 376件 239件 63.6%
高効率コジェネ 7件 2件 28.6%
低炭素工業炉 16件 10件 62.5%
変圧器 53件 33件 62.3%
冷凍冷蔵設備 218件 135件 61.9%
産業用モータ 159件 101件 63.5%
調光制御設備 40件 26件 65.0%
合計 1,843件 1,150件 62.4%

(C)指定設備導入事業 生産設備

  申請件数 採択件数 採択率
工作機械 328件 92件 28.0%
プラスチック加工機械 149件 49件 32.9%
プレス機械 63件 18件 28.6%
印刷機械 79件 24件 30.4%
ダイカストマシン 9件 4件 44.4%
合計 628件 187件 29.8%

とくに「生産設備」の採択率が、全般的に低いことがわかります。

ここで採択金額をみると下表のとおりで、全事業区分で合計114.1億円となりました。

  採択金額合計
(A)先進事業+ (B)オーダーメイド型事業+ (D)エネマネ事業 24.3億円
(C)指定設備導入事業 ユーティリティ設備 45.3億円
(C)指定設備導入事業 生産設備 44.5億円
合計 114.1億円

そして後述するとおり、全ての事業区分を合わせた予算額は約114億円。

割り当てられた予算に対して申請数が多くなってしまったため、「ユーティリティ設備」にくらべ「生産設備」全般の採択率が低かったということも考えられます。

次回、令和4年度(2022年度)の公募申請では、「どの区分に申請するか」をよく検討することも必要なようです。

令和3年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の制度概要

次に、令和3年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の制度概要をご紹介します。

[制度概要1]事業区分

令和3年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の補助対象となる事業区分は、次の(A)~(D)に該当するものです。

  • (A)先進事業
    SIIが設置した外部審査委員会で審査採択した先進設備システムを導入する事業
  • (B)オーダーメイド型事業
    機械設計が伴う設備または事業者の使用目的や、用途に合わせて設計・製造する設備等(オーダーメイド型設備)を導入する事業
  • (C)指定設備導入事業
    SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録および公表した指定設備を導入する事業
  • (D)エネマネ事業
    SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化を図る事業

各事業区分で、補助対象となる設備が異なります。

ただし上記(A)~(D)は、次のすべてを満たす事業であることが必要です。

  1. 投資回収年数が5年以上である
  2. 「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社」は、省エネ法に基づき作成した中長期計画書等に記載されている事業である
  3. 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上の事業である
  4. 導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる事業である
  5. 導入設備がトップランナー制度対象機器の場合は、エネルギー消費効率の基準値を満たす

 

[制度概要2]補助対象設備

補助対象となる設備は次の(a)~(d)です。

  • (a)先進設備・システム:SIIがホームページで先進設備・システムとして公表した補助対象設備
  • (b)オーダーメイド型設備:機械設計を伴う設備又は事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備等であって、設計図書等の納品物があるもの
  • (c)指定設備:SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録及び公表したもの
  • (d)EMS機器:SIIが補助対象設備として公表したエネルギーマネジメントシステム

導入する補助対象設備によって、申請できる事業区分が決まります。

 

[制度概要3]申請する事業区分の選択手順

申請する事業区分は、以下の手順で選択します。
なお、大文字(A)~(D)は「事業区分」、小文字(a)~(d)は「対象設備」を意味します。

  • 手順1:導入予定の設備が(a)、(b)、(c)、(d)のいずれに該当するかを整理し、単独または組み合わせて省エネ計画を立てる
  • 手順2:各導入設備の更新範囲における省エネ計算を行う
  • 手順3:(d)を除く、(a)、(b)、(c)の省エネ効果を合算する
  • 手順4:「事業要件」及び手順3で算出した省エネ効果が(A)、(B)、(C)のどの「省エネルギー効果の要件」を満たすか確認し、申請する事業区分を選択する

そして、基本の申請パターンは次のようになりますが、事業区分を組み合わせて申請することも可能です。

  • 基本:(a)~(d)を単独で導入し、各事業区分の申請要件を満たして、(A)~(D)のいずれかで申請する
出典:SII

 

[制度概要4]補助率と補助金限度額

事業区分(A)・(B)・(D)の補助率は、下表のとおりです。

  (A)先進事業 (B)オーダーメイド型事業 (D)エネマネ事業
中小企業者等 補助率2 / 3以内 補助率1 / 2以内
※投資回収年数7年未満の事業 は1 / 3以内
補助率1 / 2以内
上記以外 補助率1 / 2以内 補助率1 / 3以内
※投資回収年数7年未満の事業は1 / 4以内
補助率1 / 3以内

なお、「(c)指定設備」については、設備種別・性能(能力等)ごとで定額の補助金額となります。
くわしくは、公募要領82~93ページの「別表1」をご覧ください。

また、1事業(申請)当たりの補助金限度額は、下表のようになります。

  (A)先進事業 (B)オーダーメイド型事業 (C)指定設備導入事業 (D)エネマネ事業
上限額 15億円/年度
(30億円/事業全体)
15億円/年度
(20億円/事業全体)
(30億円/事業全体(連携事業))
1億円/年度 1億円/年度
(1億円/事業全体)
下限額 100万円/年度 100万円/年度 30万円/年度 100万円/年度

()内は、複数年度事業の事業全体の上限額です。

 

[制度概要5]補助対象事業者

補助対象となるのは、以下の要件をすべて満たす事業者です。

  1. 国内において事業活動を営んでいる法人および個人事業主である
  2. 本事業を実施するために必要な経営基盤を有し、事業の継続性が認められる者である
  3. 本事業により国内において設置する補助対象設備の所有者であり、その補助対象設備の処分制限期間、継続的に使用する者である
  4. 本事業により取得した補助対象設備を、SIIが交付規程で定める取得財産等管理台帳に記載のうえ、善良な管理者の注意をもってその補助対象設備等を管理し、補助金の交付の目的に従って、その効率的運用を図る者である
  5. 経済産業省から補助金等停止措置又は指名停止措置が講じられていない者である
  6. 公的資金の交付先として社会通念上適切と認められない者でない
  7. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む事業所又は、それに類する事業所ではない
  8. 成果報告時に、補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告できる事業者である
  9. 会計検査院による現地検査等の受検に際し、事業者として会社単位で誠実に対応することが可能な事業者である

[制度概要6]補助対象経費

補助の対象となるのは、下表の経費です。

区分 内容
設計費
(c)指定設備は対象外
補助事業の実施に必要な機械装置、建築材料等の設計費、システム設計費 など
設備費 補助事業の実施に必要な機械装置、建築材料等の購入、製造(改修を含む。)又は
据付等に要する経費(但し、当該事業に係る土地の取得及び賃借料を除く。)
工事費
(c)指定設備は対象外
補助事業の実施に不可欠な工事に要する経費

ただし以下の経費については補助対象外となります。

  • SIIが補助対象外と判断した機器、設備、構造物、基礎工事等
  • 補助金交付決定が行われる以前に係る経費(事前調査費等)
  • 建屋等の建築物、外構工事費等、及び事業に関係のない工事費
  • 既存設備・システムの解体・撤去・移設に係る経費
  • 消費税および地方消費税

[制度概要7]審査項目・評価項目

申請書類について、SIIでは以下の審査項目・評価項目にしたがって審査を行います。

  • ①審査項目
    • 補助対象事業者及び補助事業の内容が、交付規程及び公募要領の要件を満たしているか
    • 補助事業の全体計画(資金調達計画、工事計画等)が適切であり、事業遂行の確実性、事業の継続性が十分であると見込まれるか
    • 補助事業に要する経費(設計費、設備費、工事費)は、当該補助事業と同程度の規模、性能を有する類似の事業の標準価格、工事事業者等の参考見積等を参考として算定されているものであるか
  • ②評価項目
    ・計画省エネルギー量
    ・計画省エネルギー率
    ・経費当たり計画省エネルギー量(補助対象経費1千万円当たりの計画省エネルギー量)

また、採択事業者の決定については、事業区分ごとに評価項目にしたがった審査を行い、外部審査委員会の評価を踏まえ、上位者から予算の範囲内で採択を実施。

以下の項目に該当する場合には「評価を行う」とされています。

  • 認定を受けた「経営力向上計画」に記載された事業
  • 「パートナーシップ構築宣言」登録企業の省エネルギー事業
  • 売上高に対するエネルギーコストの割合が10%以上のエネルギー集約型企業の省エネルギー事業
  • ベンチマーク改善に資することが認められる事業 など

「経営力向上計画」や「パートナーシップ構築宣言」について詳しくは、こちらの記事でご紹介しています。

「経営力向上計画」とは?税制措置などのメリットや書き方、申請方法まで紹介します

ものづくり補助金の加点にも使える「パートナーシップ構築宣言」とは?メリットや登録方法まで解説します

[制度概要8]予算額

全ての事業区分を合わせた予算額は約114億円

なお令和3年度(2021年度)公募の全事業区分での採択金額は、合計で114.1億円となりました。

  • (A)先進事業+ (B)オーダーメイド型事業+ (D)エネマネ事業:24.3億円
  • (C)指定設備導入事業:89.8億円

 

エネルギー使用合理化等事業者支援事業(省エネ補助金)の事例紹介

「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は新規事業で事例がまだないため、前身事業である「エネルギー使用合理化等事業者支援事業(省エネ補助金)」の事例を紹介します。

[事例1]工場・事業場間一体省エネルギー事業(東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社)

栃木県宇都宮市の清原工業団地には、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)が運営する「清原スマートエネルギーセンター」があります。

そしてTGESは次の3社7事業所と連携し、2019年に「清原工業団地スマエネ事業」を開始しました。

  • カルビー:3事業所
  • キヤノン:3事業所
  • 久光製薬:1事業所

この事業は、ひとつの事業所でできることには限りがあるため、「隣接する複数事業者が連携してエネルギー需要を集約する」という発想のもとでスタートしています。

「清原工業団地スマエネ事業」では、「清原スマートエネルギーセンター」および電力自営線・熱導管からの供給インフラを新設、運用しています。

これにより、資本関係のない3社7事業所のエネルギー供給を実施。
内陸型工業団地内の複数事業所間で、電力と熱を共同利用する、国内初の「工場・事業場間一体省エネルギー事業」です。

出典:SII

省エネ補助金の活用によって、エネルギーセンターでは次のような設備を導入。

  • 高効率小型ガスコージェネレーションシステム(5,770kw × 6基)
  • 排熱回収ボイラ(3t/h × 6基)
  • 貫流ボイラ(7t/h × 6基)
  • 独自のエネルギーネットワーク(総延長約8km)
  • 中央監視棟・エネルギーマネジメントシステム
  • 特高受変電設備

エネルギーセンターから送った電力と熱は約11,000klとなり、従来比で約20%の省エネ効果を達成しました。

久光製薬の担当者は「省エネ補助金により実現した本事業参画で、自社工場単独では実現し得なかった大幅な省エネ・省Co2が達成できた」と述べています。

[事例2]先進的な技術導入による大規模事業(レンゴー株式会社)

埼玉県八潮市で、おもにダンボール製品などの板紙製造を行うレンゴー㈱八潮工場。

製造工程のエネルギーのうち、約50%を使用する「乾燥工程の蒸気」を大幅に削減することが課題解決につながると考えます。

そこで平成24年に省エネ補助金を活用して、抄紙機に先進的脱水装置「高効率シュープレス」を導入。

「高効率シュープレス」は一般的な設備より高価ですが、補助金を活用することで、コスト面での懸念も解決され、高い省エネルギー効果が見込まれる設備投資が実現しました。

ほかにも、省エネ補助金を活用して、次の省エネ機器を導入しています。

  • 平成25年度:木質チップバイオマスボイラ(燃焼発電設備)
  • 平成26年度:5号抄紙機(高効率シュープレス)

結果的には、予想を上回る以下のような省エネ効果がもたらされ、生産性も約20%向上しました。

  実績省エネルギー量 実績省エネルギー率
1号抄紙機 高効率シュープレス 3,934kl/年 3.4%
木質チップバイオマスボイラ 24,044kl/年 20.4%
5号抄紙機 高効率シュープレス 3,475kl/年 2.9%

まとめ:「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の活用を

この記事では、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の基本情報や令和3年度の制度概要、採択率などを解説してきました。

ぜひ記事を参考に、補助金活用を検討してみてください。

なお経営者コネクトでは、同じ補助金制度である「事業再構築補助金」の応募を考える企業様向けに「無料相談サービス」を行っています。
ご関心のある方は、ぜひ下記サイトもご覧ください。

また事業再構築補助金以外にも中小企業が活用できる補助金はいくつもあります。
以下の記事でお勧めの16種類を纏めていますので、合わせてお読みください。

https://keieisha-connect.com/2021/01/06/smb-hojyokin/