「事業継続力強化計画」とは?ものづくり補助金の加点や税制優遇等のメリットも解説!

近年、日本では地震や台風などの大きな災害が毎年のように起きています。
また、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響により、思うように事業活動ができないという自体が発生しています。

災害や疫病により会社機能が停止してしまうと、従業員・取引先・地域の方・地域経済に支障をきたしてしまいます。

そこで災害時にも、会社や事業を継続できるような計画を検討する「事業継続力強化計画」の策定が推奨されているのをご存知でしょうか?

「事業継続力強化計画」は、策定し承認されることにより、最大1000万円が補助される「ものづくり補助金」の加点や、融資の低金利優遇・税制優遇などが受けられます

この記事では、事業継続力強化計画の具体的な内容やメリット・策定方法を紹介していきます。

事業継続力強化計画とは

「事業継続力強化計画」とは、中小企業が自社の台風・地震・疫病の流行などの災害リスクを認識し、防災・減災対策などの設備投資をする計画を策定した場合に、さまざまな支援が受けられる制度です。

災害に対する取組として認められるものは、以下のような内容です。

  • 災害時における従業員の避難・被害状況把握
  • 災害時における初動対策
  • 人員・設備・資金繰り・情報セキュリティなどで必要な対策
  • 従業員への訓練や計画の見直しの実効性の確保

参考:中小企業庁

いずれも、企業を経営する上で”もしも”の時に備えて検討しておくに越したことはない内容ですね。
平常時は見過ごしがちですが、次に説明するメリットもありますので、これを機に策定してみてはいかがでしょうか。

事業継続力強化計画のメリット

事業継続力強化計画を策定して認定を受けることにより以下の優遇を受けることができます。

金銭的なメリットにもつながるので、特に補助金・融資を考える企業は、取り組んでおくことをおすすめします。

 
  • 認定事業者に対する補助金における優先採択
  • 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
  •  防災・減災設備に対する税制措置

ここからは、それぞれの優遇内容について具体的に説明していきます。

最大1,000万円の補助を受けられる「ものづくり補助金」の採択で加点

ものづくり補助金」とは、中小企業や小規模事業者などが設備投資を行うことにより生産性を向上させる計画を策定したものに対して支援することが目的となる補助金です。

融資のように返済する必要がない最大1,000万円の補助を受けることができるので非常にメリットが大きいといえます。

この事業継続力強化計画の承認を受けた中小企業は、ものづくり補助金の採択で加点をしてもらえます。

事業継続力強化計画は、ワード数枚程度の申請書で、要領よく作成できれば半日程度で書き終わります。

ものづくり補助金の採択率を少しでもあげたい方は、必ず事業継続力強化計画を作成し申請するようにしましょう。

経営者コネクト
ものづくり補助金の2020年の傾向や申請のコツについてより詳細な解説を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください!

【2021年最新】ものづくり補助金(最大1000万円)を徹底解説(次回締切は8月予定)

経営者コネクト
また2021年春には、最大1億円が補助される「事業再構築補助金」の応募も始まる見込みです。
感染症拡大による経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業態・事業・業種転換等を検討される企業様は、ぜひ次の記事もお読みください。

【最大1億円!】事業再構築補助金とは?対象要件や補助金額・対象経費・申請方法なども解説します

日本政策金融公庫による低金利融資

日本政策金融公庫では、事業継続力強化計画の承認を受けた中小企業に対して低金利での融資制度を用意しています。

この制度を利用すると設備資金の融資で適用された基準金利の▲0.9%で融資が受けられます。

貸付期間は設備投資が20年以内、運転資金が7年以内です。
貸付限度額は中小企業事業では7億2千万円(運転資金が2億5千万円)、国民生活事業で7,200万円(運転資金が4,800万円)です。 
ただし、優遇金利が受けられるのは貸付限度額のうちの2億7千万円までです。

利用にあたっては日本政策金融公庫の審査もあるので、事業継続力強化計画の承認で確約されるものがないという点で注意が必要です。

政策金融公庫の制度についても詳しく説明した記事がありますので、こちらも参考にしてください。

創業融資で人気の「政策金融公庫」と「制度融資」のメリット・デメリットを纏め!融資以外の資金調達方法も紹介

取得価格の20%の税制優遇が受けられる

事業継続力強化計画が承認されると税制面でも優遇されます。

「中小企業防災・減災投資促進税制」では、認定された事業継続力強化計画の計画通りに取得した防災・減災のための設備について、取得価額の20%の特別償却が適用できます。

この制度の対象となる設備は、種類により利用できる要件となる金額が異なります。

 
  • 機械・装置…100万円以上
  • 器具・備品…30万円以上
  • 建物付属設備投資…60万円以上

適用される方は、青色申告書を提出する中小企業者で、中小企業等経営強化法第50条第1 項又は第52条1項の認定を受けた同法第2条第1項に規定する中小企業者に該当する者とされています。

この「中小企業者等」とは以下の通りです。

 
  • 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
  •  資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

 ※ただし、大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人等)との間に当該大法人による完全支配関係がある法人、2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人等、対象外となるケースがいくつかあるので、詳しくは制度をご確認ください。

 
  • 事業協同組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組 合連合会、商店街振興組合 
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主

税務申告の際は、「対象設備の償却限度額の計算明細書の添付」「認定通知書」「認定を受けた計画の写し」が必要となりますので大切に保管するようにしてください。

「事業継続力強化計画」申請書の記載方法・ポイント

ここからは、「事業継続力強化計画」の申請方法について詳しく説明していきます。

 

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • チェックシート
  • BCPなどの参考書類(作成している場合)
  • 返信用封筒(A4書類を折らずに入れられるもの、返信先住所を記載、切手を貼る)

申請書については中小企業庁のHPからダウンロードできます。

参考:中小企業庁

申請書は5枚にわたり、細かく計画について記載します。

以下の5つのステップを踏んで作成しましょう。

  1. 事業継続力強化の目的検討
  2. 災害リスクの確認・認識
  3. 初動対応の検討
  4. 人・物・カネ・情報への対応
  5. 平時の推進対応

それぞれのステップについて、気をつけるべきポイントを紹介していきます。

計画の目的をきちんと検討する

事業継続力強化計画を策定するにあたり、一番大切なのは「何のためにこの取組を行うのか」を明らかにすることです。

近年、中小企業の事業活動に大きなダメージを与える地震や台風などの大規模災害が増えています。
一方で、ITが発達し続けているため事業環境の変化は依然より早くなっているのが実情です。

このような状況で事業が断絶をしてしまうと競合他社に仕事を取られてしまうなど機会損失は大きくなります。

また、従業員や取引先、地域経済にも影響が及ぶでしょう。

ご自身の企業が事業継続力強化計画に沿って事業を遂行することにより、災害が起こったときに、経済活動や従業員・取引先に与える影響を減らすことができることを記載しましょう

ハザードマップを利用するなどして災害リスクの確認

事業継続力強化計画では、水害・地震・コロナなどの疫病による影響の中から一番業務に支障がありそうなものを選んで計画を作成します。

そのため、ハザードマップやJ-SHIS Mapを活用し、事業所や工場などが立地している水害や地震などの災害リスクを確認する必要があります。

また、コロナウイルス感染症が拡大する中で、改めて疫病が事業に与える影響が大きいことももわかりました。
申請書を作成するタイミングで、疫病についても、影響範囲や発生した際の対策について検討してみるのも良いでしょう。

たとえば、川のすぐ近くに工場があり、台風時に川が氾濫したら水没する可能性が他の災害と比べて高いならば、水害の観点から計画書を作成します。

一番影響を受けそうなものを選んだら、「ヒト(人員)」「モノ(建物・設備・インフラ)」「カネ(リスクファイナンス)」「情報」の四つの切り口から災害が起きた場合にどのような被害が想定されるかとその対策を考えます。

災害が起きた場合の初動対応はどうするか

災害が発生した直後の初動対応については、以下の取組が求められます。

 
  1. 人命の安全確
  2. 非常時の緊急時体制の構築
  3. 被害状況の把握・被害情報の共有

ヒト・モノ・カネ・情報のそれぞれの対応を考える

災害時における人・物・カネ・情報のそれぞれの対応策を計画する必要があります。

  • ヒト
    人については、災害直後にも会社を動かすことができるように、どうするかを考えます。
    たとえば、社員の多工能化を進め、災害時に人が集まらない場合にも他の仕事ができるようにしておくなどが考えられるでしょう。
  • モノ
    物(設備や機器など)については、停電に備えて自家発電設備を備える、取引先と連携して災害時には同社の生産設備を借り生産を継続するなど考えられます。
  • カネ
    税制優遇や日本政策金融公庫の設備投資に対する低金利融資を受ける予定であれば、所定の箇所に記載しましょう。

    また災害時には資金調達が難しくなることが予想されます。
    そのため、地震・火災保険の補償範囲を広げて災害時に十分な補償が受けられるようにしておくことや、メインバンクや商工会議所と災害時の緊急融資の話をしておくことなどを記載しましょう。
  • 情報
    情報についても、災害時に帳簿を紛失したり、個人PCに保存している場合にそのPCが破損することがあれば、仕事に大きな支障をきたします。
    データはバックアップしてクラウド化したり、サーバーに対する免震装置導入などの対応も計画に入れましょう。

年1回以上の訓練など平時の推進対応

災害が起きた場合に急に対応することは不可能などで、事業継続力の強化をするためには、平時から取組をすることが重要です。

以下の取組をすることを検討して、必ず記載することが求められています。

  • 平時の取組推進について、経営層の指揮の下、実施する体制を整える。 
  • 年1回以上、訓練や教育を実施する体制を整える。
  • 年1回以上、事業継続に向けた取組内容の見直しを計画する。

手続きの方法

手続きの流れとしては、中小企業が事業継続力強化計画を作成して各地域の経済産業局などへ提出します。

申請から認定まで約45日ほどかかり、審査に通り認定を受けることができた場合には、各経済産業局から「認定通知書」と「計画申請書の写し」が交付されます。

また、認定を受けた場合、中小企業庁のHPに事業者名等が公表され、経済産業省から認定を受けた印のロゴマークを名刺などに活用できます。


まとめ

事業継続力強化計画を作成して承認を受けると、最大1,000万円の補助が受けられる「ものづくり補助金」の採択で加点されます。

ものづくり補助金と日本政策金融公庫の低金利融資を利用すると災害に備えた大規模な設備投資も可能です。
また、災害対策として購入した設備投資の20%が特別償却され税制優遇されます。

申請書には災害に対する具体的な対策について記載する必要があります。
災害時にヒト・モノ・カネ・情報についてどのように対策をするかと、平時からどのような取り組みを行うかを明らかにすることが大切です。

今後どの地域で大きな災害が起こるかは予測できませんが、準備しておくと安心です。
災害対策をまだしていない場合はぜひ事業継続力強化計画を活用してみてください。

 

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